企業の求人活動はネット人材紹介会社を選ぶことからスタートする

少子高齢化と人口減、経済環境の好転を背景として、求人倍率が徐々に上昇しており、就職戦線は益々激しくなっています。既に慢性的な人手不足に陥っている業界もあり、一部中小企業では人材の確保ができずに廃業に追い込まれるケースも見られます。

企業の人材確保は企業の存続にかかわる重大事であり、各企業の求人を担当する人事労務採用担当部署が熱くなってきました。企業の人材採用計画に基づいて採用担当が、適切な採用方法を企画、選択することになります。

今や、求人方法も多岐にわたり、新卒者、中途採用にかかわらずWEBサイトを使用しての求人が主流になっています。求職者の7割以上が就職活動に人材紹介会社を使用している、というデータもあります。もちろん従来からあるオーソドックスなハローワーク、新聞雑誌への求人広告、折り込みチラシの使用、フリーマガジンなどの併用も行われています。

WEBでの求人は、求人媒体運営会社(ネット人材紹介会社)への求人依頼が最も多く、さらに拡充されていくでしょう。これをベースに、ネットを使った口コミ、ツイッター、フェースブック、ブログ、企業ホームページなどSNSで補完していく方法も多くの企業で採用されています。

企業がこうした人材採用手法の中でネット人材募集を行う場合には、当然企業側とネット人材紹介会社とのマッチングが重要となります。

人材紹介会社も大手から中小まで非常に多くの会社(エージェント)があります。企業側の採用条件に合う人材紹介会社の選択が、採用活動の第一歩となります。

企業が人材紹介会社を選ぶポイントとおすすめは(中途採用の場合)

ネットによる人材募集は2つの方法があります。1つはWEB求人サイト、もう1つは募集から採用までのサポートを行う求人紹介会社です。いずれも非常にたくさんの会社がありますので、明確な採用方針、採用条件を持って対応しなければなりません。

WEB求人サイトに掲載する求人広告の内容のポイント

WEB求人サイトは求人広告を掲載するタイプですので、ハローワークや新聞広告に出す要領と同じですが、広告掲載料が発生しますから、ポイントを押さえた広告の出し方が必要です。

採用人数、採用職種、仕事の内容、賃金、待遇、福利厚生、採用条件、必要なスキル、採用したい人物像といったスタンダードな採用条件項目以外に、求人会社の特色、勤務地、特色ある福利厚生、先輩からのメッセージ、社長のコメント、採用担当課長のメッセージなどがあると、求人者が実際に働くイメージが描き易くなります。これがポイントです。

従って、企業がWEB求人サイトを選ぶポイントは、企業側の採用方針に合った求人サイトであること。企業側の広告予算に合っていること。広告掲載内容がなるべく詳しく網羅されていること。掲載内容の原稿に対して、求人者に分かり易い、信頼が得られやすい、応募したい、といった思いに至るような原稿の作り方指導が行われることも重要なポイントです。
いくつかご紹介します。(新卒、第二新卒対象は除く)

・マイナビ転職:求人サイト大手で安定感抜群、一般職、総合職向け、比較的リーズナブル
掲載料20万円/4週間~120万円

・@type:IT系エンジニア、ものづくりエンジニア向けに特化
掲載料35万円/4週間~100万円

・女の転職:女性求職者に特化、営業職、事務職系に強い
掲載料20万円/4週間~80万円

・日経キャリア:メーカー、金融関係、高度な専門家
掲載料35万円/4週間~100万円

* 掲載料は、原稿サイズ、募集職種、採用条件、掲載職種数によって異なります。

求人紹介会社

求職者が求人紹介会社に登録して、希望する会社に採用されるまで、いくつかのステップがありますが、それらの費用はすべて無料です。そのステップは、登録、キャリアカウンセリング、応募書類のアドバイス、面接対策、年収交渉、退職入社サポートなどの工程をいいます。

プロのエイジェント(コンサルタント)が1人の求職者に寄り添うようにカウンセリングから採用、入社までを担当します。

これらがすべて無料で求職者にサービスで行っているということは、当然採用企業側で費用負担が発生するということになります。その費用は非常に高額なものになるのが、この求人紹介方式の特徴です。

おおよその相場は、採用者の年収の30%~35%です。年収500万円で採用決定であれな、採用企業が求人紹介会社に払う手数料は150万円ということです。

従って企業側も紹介会社側も、求職者に対する対応は厳しく慎重です。当然企業側は採用後の対策として入社後3ヶ月や1年で退職されないよう、定着化対策フォローが必要ですし、人材供給側も、採用決定者に対するカウンセリングを、相談窓口を設けてフォローしていかねばなりません。

この部門もマイナビとリクナビの2強がシェアの大部分を占めています。

リクナビの人材紹介部門はリクルートエイジェントでマイナビはマイナビエイジェントです。企業登録数は両社ともほぼ互角で6万社程度ですが、企業の具体的な掲載数となると、2018年度はリクナビが約28,000社、マイナビが約21,000社となっていて数字上ではリクナビが優っています。

しかし内容となってくると色々特徴が出てきまして、リクナビは、東京、大阪など大都市にある企業からの登録が多く、さらに大企業が多い、という特徴があります。一方マイナビは全国区で中小企業やベンチャー企業からの登録が圧倒的に多い傾向にあります。

企業との契約にもとづく手数料は、リクルートエイジェントで1人当たり雇用契約時の年収の35%ぐらいと言われています。マイナビエイジェントのそれは30%くらいです。企業が払う手数料もこのように少し差異がありますが、実際の値段は個々の契約条件により大きく異なります。

リクナビ、マイナビ以外のおすすめの人材紹介会社は、この2社の総合力に対抗するのではなく、業種や地域を絞った専門性を前面に出している会社がほとんどです。

例えば、JACリクルートは外資系企業に圧倒的な強みを発揮していますし、type転職エイジェントは、ITエンジニア、工学系エンジニアに特化しています。メイテックネクストは愛知県にあって、この地域で強みを出し、さらにトヨタ系の企業を中心に技術者を多く送り出しています。DODAも大手に入る紹介会社ですが、技術系に強みを発揮しています。手数料もほとんど横並びで年収の30%から35%となっています。文系、商科経済法科系はリクナビ、マイナビなら間違いないと思われます。

まとめ

上記のように人材紹介会社の場合は、求職者1人に対してエイジェント(コンサルタント)1人が専任でつき、カウンセリングから面接の段取り、年収交渉、雇用契約サポートまで一貫して行っています。

そして、求職者に紹介できる登録企業も非公開案件も含めて非常に多く確保しており、求職者とのマッチングが精度の高いものとなっています。

そのために人材紹介会社は多くの資金を投じているため、必然的に登録企業が払う手数料も高額となります。

それでも、人材紹介会社と企業、そして求職者が念入りにマッチング作業を行っても、雇用契約後3ヶ月とか6ヶ月後に退職する人がいます。こうした場合は、人材紹介会社にペナルティーが課せられる場合が多いです。

退職してしまったら、即刻、人材紹介会社はそれ以上の質の高い求職者を紹介する。もしそれができなかったら、手数料は全額返金する。厳しいようですが、大体このようなビジネスモデルができあがっているようです。

おすすめできる人材紹介会社はおおよそ上記のようなところですが。この中でエイジェント(コンサルタント)の役割が大きく、このコンサルタントの能力によりマッチング率が大きく振れることになるようです。