ドライマウスは、ストレスや口内の炎症などが原因で起こる、口内の乾燥です。唾液の分泌が少なくなりがちな現代人は、自覚のないままドライマウスを発症していることもあります。

このドライマウスは、ホワイトニングを効率よく行いたい人にとっても厄介な症状です。唾液分泌が減少すればするほど、歯に付着した汚れを洗い流すことができにくくなります。加えて、虫歯菌が繁殖しやすい口内環境を作ってしまいます。

ホワイトニングのためにも、口内の健康のためにも、ドライマウスは改善したいもの。しかも近年の研究では、ドライマウスが間接的に脳梗塞のリスクを上げている可能性も出てきました。

ドライマウスが起こると口内環境はどう悪くなるの?

c4c2cd77c0f92aafce665418d4e22fe9_s

ドライマウスとは、簡単に言えば口内が乾燥した状態のことです。といっても、風邪の時などに経験するような一時的な乾燥ではなく、常に唾液分泌が少ない、慢性的なものを指します。

ホワイトニングの邪魔となってしまうドライマウスは、その他にもあらゆる影響を私たちへ与えています。

<ドライマウスの影響>

  • 口内の汚れが洗い流されない
  • 口臭が悪化する
  • 虫歯ができやすくなる
  • 他の歯周病もなりやすくなる
  • 口内が炎症している可能性
  • 体調を崩しやすくなる

口内が乾燥していては、唾液による口内洗浄効果が期待できません。多少の汚れであれば唾液により洗い流されるのですが、十分に唾液分泌がなされていない口内では、そのわずかな汚れすら洗えていないのです。

口内に汚れが溜まれば、それらを餌とする虫歯菌も繁殖しやすくなります。唾液で洗い流されることもないため、虫歯菌にとってとても簡単に繁殖することができる環境と言えます。菌の繁殖は口臭の原因にもなります。

虫歯菌だけではなく、その他の雑菌も繁殖し放題。歯周で起こる炎症などの病気を総合して歯周病と言うのですが、あらゆる雑菌が繁殖するドライマウスの人の口内は、歯周病になりやすい状態です。そのため、炎症も起こしていることがあります。

実は、口内の炎症は珍しくないもの。アルコール入りのマウスウォッシュや歯磨きの際にブラシで擦ってしまっただけでも、歯茎や頬の内側は炎症を起こしてしまいます。雑菌の繁殖でもろくなった口内であれば、なおさらです。

口内の炎症は、口臭予防のためにも避けたいもの。そのまま放置して炎症が日常的になれば、ドライマウスを悪化させるだけではなく、雑菌が血管内へ入りこみやすい状況を作ってしまう可能性があります。

歯周病や虫歯、口内粘膜の炎症などが原因で、口内の雑菌が血管へ入り込み、全身の病気の原因となることが研究で分かっています。虫歯菌が脳へ達したために死亡した例もあるほど、実は深刻な問題なのです。

このように、ドライマウスは口内環境を悪化させ、虫歯や口臭の原因となります。さらには、全身の体調不良を呼び起こす可能性もあり、早めに対処しなくてはなりません。

ドライマウスが脳梗塞の原因となる理由

364806

ドライマウスは口内環境を悪化させ、虫歯や歯周病が起こりやすい状態にすることをご紹介しました。これにより、腫れた歯茎や頬の内側など口内の粘膜部分から菌が血管へ入り込んでしまいます。

雑菌が入り込んだ血管は、菌を体内の各所に運びます。運ばれた菌はあらゆる場所で炎症を起こし、時には重大な病気を呼び起こすこともあります。そのうちのひとつが、ラクナ梗塞という脳梗塞の症状です。

ラクナ梗塞は脳梗塞の約半数ほどの割合を占めており、さらには虚血性脳卒中の原因の25%ほどにも及びます。日本人では最も多い脳梗塞です。脳の深いところで起こって、自覚しないまま進行することも珍しくないことから、無症候性脳梗塞とも呼ばれています。

夜間から早朝にかけて発症することが多く、ある程度進行してからようやく手足のしびれなど異常に気づくのです。

このラクナ梗塞を引き起こすのは、全身性の炎症による血管へのダメージです。その全身性炎症を引き起こす原因となるのが、歯周病などによる口内の菌の血管への侵入です。

スペインでの研究結果によると、脳卒中患者の69%が歯周病を患っていたというデータが残っています。歯周病の重症者も、脳卒中患者が多かったそうです。

悪化や再発を起こしやすい無症候性脳梗塞

ラクナ梗塞、すなわち無症候性脳梗塞を引き起こした人は、治療した後も脳梗塞を再発させる危険があります。脳神経外科の医師によると、脳ドックを受けた患者のうち、およそ10%は以前に無症候性脳梗塞を患ったことのあった人であった、という調査結果もあります。

また、脳神経外科的には高血圧の人ほど発症しやすいと言われていますが、歯科学的な面もあわせて見ると、高血圧だけではなく、歯周病が原因となっているケースも考えられています。

あくまで複数の患者のデータを基にした、未だ研究段階の話ですが、スペインの研究者は「歯周病治療が全身性の炎症や脳梗塞のリスクを軽減する可能性がある」と結論づけた論文を発表しています。

つまり言い換えるのであれば、高血圧に注意しつつ、さらに歯周病予防と歯周病を引き起こす菌が血管に入り込まないように対策すれば、脳梗塞リスクを軽減することができるということ。そのために自宅でできるもっとも簡単なことが、ドライマウス対策なのです。

ドライマウスを改善すれば、歯周病菌の繁殖や血管への侵入に対策ができます。虫歯菌の繁殖も軽減させ、口内洗浄力を改善するため、口臭予防にもなります。

口内環境を悪化させるドライマウスの対策をするだけで、間接的に全身の病気予防にもつながります。

ドライマウスを改善する方法とは?

もっとも重要なのが、ストレスを減らすこと。現代人のドライマウスの主な原因となっているのが、ストレスだと言われているためです。心身的なストレスだけではなく、睡眠不足や運動不足、栄養不足などの身体的ストレスも含まれます。

健康な口内環境であれば、唾液は1日あたり1,000~1,500ccほど分泌されるものです。食べ物と混ざり合うことで消化を良くしたり、飲み込みやすくする役目もある唾液が減ると、酷い場合は食事も満足にできなくなります。

重症の場合は病院で治療を受けることになりますが、軽度であれば日常生活を変えるだけで改善可能です。

<日常生活でできるドライマウス改善>

  • 水分を適度にとる
  • 会話や笑顔で表情筋を動かす
  • 歯磨きをする
  • 刺激の強いものを避ける
  • 睡眠時間をきちんととる
  • 栄養のあるものを食べる
  • 食事はよく噛んでたべる

まずは常に乾いている状況を変えましょう。水分をこまめにとったり、うがいをすると口内が潤います。会話をしたり、笑顔を作ると表情筋とともに唾液腺も刺激され、唾液が出やすくなります。

もちろん、口内環境の改善には歯磨きなどのオーラルケアも重要です。歯磨き粉やマウスウォッシュ、洗口剤などは刺激の弱いものを使用するようにしましょう。

ノンアルコールの洗口剤の他、ドライマウス改善のための成分が配合された歯磨き粉も販売されているため、それらを使用するのも手です。食べ物も熱すぎたり辛すぎるものは避けて炎症が起こりにくいようにします。

睡眠時間はきちんととり、食事も栄養バランスを考えた献立にします。粘膜作りに必要なビタミンAや血行改善に良いビタミンEなどを意識してみるだけでも違います。免疫力に欠かせない、ビタミンB郡を複数含んだ卵を毎日食事に取り入れてみるのも、手軽でおすすめです。

ドライマウスが重症化すると食べ物を飲み込みにくくなると書きましたが、予防段階からよく噛んで食べる癖をつけておきましょう。食べ物が消化しにくいと体に負担がかかり、ドライマウスの原因になってしまうためです。

ドライマウス対策におすすめの歯磨き粉

ドライマウス改善のための成分が配合された歯磨き粉があると前述しましたが、私が以前レビューしてみた『モリンガ モイスト クリーンブレス プラスアクア』もドライマウス対策用歯磨き粉です。

DSC_0125

消臭効果や虫歯予防効果が期待できる天然成分を複数配合しています。ドライマウスの原因のひとつでもある口内の炎症を抑え、血行促進を促すシャクヤクエキスや、美容でもおなじみのモリンガなどが含まれています。

モリンガ モイスト クリーンブレス プラスアクアの面白い点は、これらのドライマウス予防や口臭予防としての成分だけではないところ。口内を潤す海草由来の天然成分、フコイダンも配合されているのです。

フコイダンについて調べてみたところ、医療法人などの専門業界でもしっかりと「保湿作用」「免疫増強作用」「抗炎症作用」などの効果が紹介されていました。また、九州大学をはじめ医療業界でもフコイダンの持つはたらきに注目し、がん治療への活用などが研究されているそうです。

近年では保湿効果を期待し、化粧品の成分としても用いられています。化粧品にも使われていると聞くと、口に入れても大丈夫なの?と思うかもしれませんが、その心配は不要です。フコイダンは昆布やもずく、これらの海草に含まれているため、海草を昔から口にしていた日本人の体には馴染み深いものだからです。

体臭や口臭予防として使用されているカキタンニンや殺菌作用のあるティーツリーと、昔から人々に使われていた天然成分も複数配合されています。

発泡剤もアミノ酸系の成分なので、市販品によく使用されているラウリル硫酸Naは配合されていません。シャンプーにも配合されているラウリル硫酸Na入りの歯磨き粉は怖くて使えない、という方にもおすすめです。

ホワイトニングの効率化や脳梗塞予防に大切なドライマウス対策まとめ

ドライマウスは誰もがなる可能性のある現代病とも言える症状ですが、日常の簡単な工夫で予防できるものです。心だけではなく、体にもストレスがかからない生活をしましょう。

口内が乾くだけで歯の汚れや歯周病などを招きます。ホワイトニングの邪魔となるのはもちろん、悪化すると全身を菌が巡り、脳梗塞につながる可能性もあるのです。

近年の口臭予防歯磨き粉の中には、ドライマウスにも配慮した成分を使用したものがあります。こういった歯だけではなく、口内環境にも優しい歯磨き粉を使うと、効率よくホワイトニングできる口内を作れます。

ホワイトニングをする際は、歯と歯茎、口内粘膜など口内のあらゆる点に注意しましょう。環境を整えるだけで、ホワイトニング効果の長持ちにもつながります。

※ドライマウスの起こす弊害については、こちらでも解説中です。
→→『ドライマウスはホワイトニングの大敵!~口臭や虫歯予防のためにも対策しよう~』へ