ホワイトニングに興味はあるけれど、やっぱり知覚過敏などの後遺症が怖い、という方は少なくないでしょう。今回はホワイトニングは本当に体に悪いことなのかについて調べてみました。

そこで分かったのは、ホワイトニングで歯を白くするよりも、歯周病菌に感染することの方がずっと体に悪いということでした。

今回は、ホワイトニングが体に与えるリスクと、それ以上に注意すべき歯周病菌のリスクについて、あわせてご紹介します。

ホワイトニングは安全か?現代の危険性について

漂白剤を浸透させることで歯を白くするホワイトニングは、知覚過敏や味覚障害などの後遺症が懸念されています。すべての人が経験するわけではありませんが、歯の表面を覆うエナメル質が薄い日本人は、知覚過敏のリスクを無視することはできません。

よくホワイトニングの後遺症としてあげられる知覚過敏が起こる理由は、施術に使用する薬剤にあります。歯を白くするために使用する過酸化水素は、口内の水分を吸収しますが、その際に歯の表面の水分も吸収してしまいます。結果、歯の表面が脱水状態となり、微かな刺激にも敏感に反応するようになるのです。

しかし、これは一時的なものと言われています。もともと知覚過敏を起こしていたり、虫歯など歯の表面に欠けがある場合は症状が長引く可能性がありますが、そもそもそのような状態の方はホワイトニング自体を受けられません。よって、知覚過敏がいつまでも続くようなケースは非常に少ないのです。

過酸化水素自体、ヒトの体内で産生される成分です。歯科医療分野で先進国とされているアメリカではホワイトニングを取り扱っていない歯科医の方が珍しいほどに浸透しており、その点でも人体への深刻な影響の心配はないと分かります。

また、近年では日本人向けにエナメル質を施術後にケアするホワイトニングも一般化しているため、安心してホワイトニングを受けられる環境となっています。象牙質の黄色が濃く透けるほどエナメル質が他人より薄いという方も、虫歯などの問題がなければ問題なく歯を白くできます。

このように現代のホワイトニングは危険性も少なく、安全対策もしっかりされており、健康な歯であれば誰でも受けることが可能です。問題とするなら、数万円以上かかる施術料や色戻り対策のためのケア代と、金銭的な事情でしょう。

加えて、もし虫歯や歯周病、知覚過敏などのトラブルを抱えている場合は、それらの治療費も上乗せして考えなくてはなりません。トラブルを抱えたままでホワイトニングをすれば、いくら現代の安全対策が万全なホワイトニング施術でも、後遺症は避けられなくなります。

ホワイトニングのリスクよりも怖い歯周病の問題

ホワイトニングのトラブルは、今やほとんどが対策も用意されており、後遺症の可能性も随分低くなっています。また、仮に知覚過敏や味覚障害が起こっても一時的なもので済む場合が、多くそのどれもが歯を失うものではありません。

むしろ、現代人が注意すべきは歯周病菌など歯を失う危険のある症状の方です。インプラントとホワイトニングの両方を取り扱う歯科医さんの話では、歯周病によりインプラントを受けることになった方は、また歯を失う確率が高いそうです。

実際、スウェーデンなどインプラントでも先進国となっている欧米の調査では、インプラント手術を受けた人の半数以上が定期ケアを途中で止めてしまったり、インプラント歯周炎(歯周病の仲間)だったそうです。

この結果から、インプラント技術の発展により、「歯周病で歯を失ってもインプラントで解決できる」と口内ケアをおろそかにする人や、軽視する人が多くなったと考えられています。

歯周病は、口腔内の菌が繁殖して歯茎や骨を溶かしてしまう病気です。恐ろしいことに日本人の80%がこの歯周病を患っており、半数は治療を行わなくてはならないほど進行していると言われています。史上最大の感染症とも言われ、ギネスにもその感染範囲の広さが記録されているほどです。

それでもインプラントの普及により、歯周病をそれほど深刻なものと考えない人はまだまだ多いです。インプラントで失った歯は取り戻せると思い、予防を軽視するというのは、虫歯やホワイトニングにも言えることではないでしょうか。

虫歯も詰め物をすれば解決でき、ホワイトニングもお金をかければ解決できると思っていませんか?これらは歯周病と同様、技術発展による代替品があってもけしてケアを怠って良いものではありません。

また、ケアを怠れば虫歯が歯周病に発展したり、ホワイトニング後の歯が歯周病で抜け落ちたりする可能性も出てきます。虫歯になってもまた治せば良い、色戻りが起こってもまたホワイトニングすれば良いと思っている方は、今一度ご自分のケア方法について考えてみましょう。

きちんとしたケアを心がけていれば、虫歯やホワイトニング後の歯の抜け落ち、色戻りなどは勿論、将来的な歯周病によるインプラントのリスクも減らすことができます。

歯周病も、虫歯も、歯の汚れも、すべてが同じ方法でケアできる問題です。いずれ歯科医院でホワイトニングを受けるつもりの方も、滞りなく施術を受けられるよう、今からでも口内のケア方法を改めましょう。

歯周病も虫歯も予防できるホワイトニングのためのケア方法

ホワイトニングがスムーズにできる歯は、虫歯や酸う蝕、知覚過敏のない健康な状態のもののみです。前歯数本のみをホワイトニングする場合は奥歯の虫歯程度は問題ないとされることもありますが、長く綺麗な歯を求めるのなら、奥歯もしっかりと健康な歯を維持しておきましょう。

歯周病も虫歯も、予防できるのは正しい歯磨きです。表面を磨くだけではなく、歯と歯の間もデンタルフロスや歯間ブラシなどで磨き、徹底的に歯から汚れを落とす必要があります。

<歯磨きのポイント>

  • 歯ブラシの当てる角度に注意する
  • 歯と歯の間も綺麗にする
  • エナメル質に傷がつかない磨き方をする
  • 舌の汚れも綺麗にする
  • 歯茎の状態をチェックする

使用する歯磨き粉は、それぞれに合ったものを選びましょう。知覚過敏が気になる人は、知覚過敏ケア用の歯磨き粉を使用します。知覚過敏ではないけれど、歯ブラシを強く押し付けるくせがある、という場合はジェルタイプなど研磨剤の入っていないものがおすすめです。

すでにしつこい着色汚れが歯についている方は、研磨剤入りの歯磨き粉である程度はこそぎ落とす必要があります。ただし、毎回使用していると歯の表面が傷付き、さらに着色汚れしやすくなるため、研磨剤が使用されていない歯磨き粉と交互に使うなどして歯を傷付けるリスクを減らしましょう。

磨き方は、歯ブラシを歯に対し垂直になるように当てて磨きます。一本一本磨くようにして、最初は磨き残しが起こりやすい前歯から重点的に磨く方法がおすすめです。歯並びが悪い人や、磨きにくい犬歯のあたりは、歯ブラシを縦に持ち替えて磨くと綺麗にブラシが当たります。

全体的に垂直状態で磨き終わったら、今度はブラシが斜めに歯に当たるようにし、歯茎と歯の境目を磨きます。歯茎のいわゆる『歯周ポケット』にブラシが入り込むように意識しながら磨きましょう。こうすることで歯周病菌が溜まりやすい歯茎付近の汚れを落とせます。

磨き終わったら、デンタルフロスや歯間ブラシで歯と歯の間の汚れもこそぎ落とします。ただし、歯と歯が密接していて隙間がない場合は、無理に磨く必要はありません。こういった歯間ジェットクリーナーなどもあるので、自分の歯並びに合ったケア方法を選びましょう。歯科医院での定期的な歯石除去も効果的です。

いずれの場合も、気をつけたいのがエナメル質への傷です。研磨剤入りの歯磨き粉を使用している場合は1度の量を歯ブラシの3分の1以上は使わないなど、研磨剤で歯が傷付くリスクを減らすようにしましょう。研磨剤入りの歯磨き粉で気になる汚れ部分のみを磨き、一度口をゆすいでから研磨剤なしの歯磨き粉で全体をブラッシングする方法も良いですよ。

歯が綺麗に磨き終わったら、舌のケアも忘れずに。食べかすが残っていると口臭の原因となるだけではなく、虫歯菌や歯周病菌などの温床となります。いくら歯を綺麗にみがいても、舌が汚れていては虫歯リスクや歯周病リスクを減らしたとは言えません。

歯ブラシで磨くのも良いですが、舌ブラシの方が広範囲を一度に磨けて便利です。強い刺激は逆に舌を傷つけ、菌が入り込んで口臭が発生しやすい状態になります。舌ブラシを選ぶ際もやわらかいタイプを選んで、優しくケアしてあげましょう。

歯周病を予防するには、早期発見も重要です。毎日歯磨きをする際に、歯茎の状態もチェックしてみてください。歯磨きで歯茎がヒリヒリ痛んだり、血が出てくるようであれば、歯周病の初期症状が疑えます。早めに歯科医院で見てもらいましょう。

歯周病菌は、経口感染が主です。つまり口移しで移ったり、同じ食器を共有したりすることで移るものです。一度感染すると完全に歯周病菌を死滅させることは難しく、一生ケアをしていかなくてはなりません。

もし歯周病を放置すれば、歯茎や歯が溶け、歯が抜けていきます。せっかくホワイトニングで綺麗にしても、綺麗にした歯が抜けてしまっては審美性も損なわれてしまいます。美しい口元を維持するには、白さと同時に土台となる歯茎の維持も意識しなくてはなりません。

白い歯を維持するために歯周病菌について調べられるDNA検査もおすすめ

ホワイトニングで白くした歯を長く維持するために、歯茎の健康にも気を配るには、まず自分がどれほどの歯周病リスクを抱えているかどうかを知る必要があります。

歯周病の検査を受けてみましょう。歯周病の検査ではプロービング検査、歯の動揺度検査の他にDNA検査があり、もっとも安全なのがこのDNA検査です。

DNA検査は歯周ポケットにたまったプラークをとり、DNA検査でどのようなタイプの歯周病が存在しているか調べるというものです。検査時の痛みはなく、傷もつきません。歯周病菌は血管内に入り込むこともあるため、出血を伴うことのないこの検査は全身の健康のにも配慮されていると言えます。

逆に出血を伴う可能性のあるプロービング検査や歯の動揺度検査といった保険診療範囲で受けられる検査は、血管内に歯周病菌が入り込む可能性があります。DNA検査は1~2万円と高額になりますが、安全性を考えるならDNA検査の方を選ぶべきです。

検査で歯周病菌のタイプが判明すると、より効果的な薬を処方してもらえ、歯周病リスクをかなり軽減できます。診療時に口内の健康状態も一緒に見てもらえるので、虫歯など他の心配がある方はまとめて相談が可能ですし、歯周病ケアに効果的な歯磨き指導も受けられます。

歯周病も防いで歯の健康も白さも維持できるホワイトニング生活を

歯周病が進行すると糖尿病や動脈硬化といった別の病気も発症しやすくなります。ホワイトニングをしても全身の健康が良くなければ歯がボロボロになる危険もありますし、何よりホワイトニング自体が受けられなくなります。普段からきちんと意識をしたケアで、歯周病対策を行いましょう。

ちなみに、歯磨き粉の中には歯周病予防効果とホワイトニング効果をうたったものも存在します。これらを選んで使用することで、毎日の歯磨き効果がアップします。たとえばOraPearl(オーラパール)のように、歯周病予防とホワイトニング効果の両方をPRしている商品を使えば、さらに効果的なケアとなるでしょう。

orapearl

このOraPearl(オーラパール)は殺菌成分が複数種類配合されているので、他の殺菌成分入り歯磨き粉よりも多くの菌に対応することが期待できます。より殺菌効果を得たいなら、このように複数タイプの成分が配合されたものも試してみてください。※ただし、こちらは鶏卵アレルギーの方は使用できない商品だそうです。

健康な歯と歯茎を維持することで、ホワイトニングをより安全に受けられ、綺麗な口元の維持につながります。毎日の歯磨きは誰しも行うケアです。使用するアイテムや方法を少し工夫するだけなので、早めに意識したケアをしてみてはいかがでしょうか。