久々にホワイトニング関連の都市伝説についてまとめてみました。今回ご紹介するのは、一時期話題となっていたバナナホワイトニングについてです。

使う材料がバナナの皮のみとあって、インターネット上では「無料でできる」と言われたり、「100%天然モノだから安心!」と言われたりしています。はたして本当なのでしょうか?

今回は、バナナの皮を使ったホワイトニングの効果と、バナナに含まれている果糖の虫歯リスクに関してご紹介します。バナナホワイトニングは効果があるの?虫歯になったりしないの?と気になった方はぜひご覧ください。

バナナホワイトニングのメカニズム

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うわさのバナナホワイトニングの方法は、バナナの皮で歯の表面を擦り、唾液で流れないように乾燥させた状態で10分~15分置きます。その後、乾いた歯ブラシで歯を磨くというもの。中にはバナナ自体を歯磨き後代わりにすると良いと書いているサイトもありました。

バナナに含まれるミネラルやフルーツ酸が、歯の着色汚れを分解してくれるという効果があるそうです。

1日に1回この方法を数日間続ける必要があり、即効性はありません。ただ、歯科クリニックで行うホワイトニングよりも格段にかかる費用が安いこともあり、気長に実践してみたり、駄目もとで行う人もいます。

ここで注意したいのが、あくまで着色汚れを分解する、という効果のみであること。歯の芯にあたる象牙質部分が黄色い方の場合は、どれだけ歯の表面の汚れを綺麗にしても真っ白な歯を手に入れることはできません。

日本人は人種的に象牙質が黄色みが強く、エナメル質が薄いと言われています。そのため、大人になると多くの人が象牙質が黄色くなり、エナメル質の内側から透けて歯全体が黄ばんだように見えます。バナナホワイトニングでは、とうていこの黄ばみを解決することはできません。

バナナホワイトニングの効果が出る可能性が高いのは、着色汚れによる歯の黄ばみ、くすみが起こっている人のみです。

ちなみに、歯科医の中には「効果は保証できないけれど、試してみても良いのでは」という人と、「まったく効果がないどころか、別の問題が考えられる」と言う人がいました。専門家としても成分を見る限りではもしや?という可能性は否定できないものの、必ず効果があるとは言い切れないようです。

気になったのが、別の問題が考えられるという点です。バナナホワイトニングで起こる問題とは、何があるのでしょうか。

バナナホワイトニングは危険?虫歯リスクを高める可能性

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バナナホワイトニングを試してみても良いのでは、と言う歯科医は、歯を削る研磨剤が配合された歯磨き剤を使うよりは歯の表面に優しいと考えているそうです。ただし、ご本人のブログで「効果が必ずしもあるとは言い切れない」とも語っています。

逆に問題があるとする歯科医の話で挙げられるのが、虫歯リスクを高める可能性です。

バナナには、果糖が含まれています。果糖とは、つまり果物などに含まれる自然界の糖分で、虫歯菌のエサとなるものです。バナナホワイトニングはバナナの皮で歯を磨いた後に放置し、さらに乾いた歯ブラシでバナナをこすり付ける方法です。歯と歯の間や歯茎の歯周ポケットにバナナが入り込む危険があります。

バナナホワイトニングの後は通常の歯磨きを行うのが正しい方法だそうですが、ここで思い出して欲しいのが日本人の歯磨き事情です。

日本人の多くは正しい歯磨きを行えていない状態です。歯科クリニックで歯磨き指導を受けていなかったり、昔の『食後30分以内に3分間磨く』という間違った方法を続けていたりと、日本人の多くは間違った歯磨きをしています。

正しい歯磨き方法を知らないままこのバナナホワイトニングを行うと、歯と歯の間や歯茎の歯周ポケットなど、虫歯になりやすい部分にとくにバナナの糖分が残ってしまう可能性が高いのです。

さらに、汚れを分解してくれるフルーツ酸も危険です。虫歯ができるのは、虫歯菌が砂糖などを食べた時に発生させる酸が歯の表面を溶かすため。フルーツ酸も虫歯菌が出す酸と同じく、歯の表面のエナメル質を溶かしてしまう危険があります。

通常であれば多少の酸は唾液で洗い流したり、唾液のアルカリ性で中和されたりします。しかし、バナナホワイトニングはバナナの成分が流れないよう10分ほど歯をむき出しにした状態で放置しなくてはならず、唾液が歯の表面に付いたフルーツ酸を洗い流すことができません。

日本人の多くの歯磨きでは果糖を十分に落とせないこと、フルーツ酸を歯に付着させて10分以上置くこと。この2つの危険により、バナナホワイトニングは虫歯リスクを高めるものでしかないことが分かります。

バナナホワイトニングより安全なホワイトニングをしよう

バナナホワイトニングは、『多少の酸では虫歯にならないくらい丈夫で厚いエナメル質を持っていて、正しい歯磨きができる方』でなければ安全とは言い切れません。この条件に当てはまる人が多いのは、残念ながら日本人よりも欧米人が多いです。

欧米人のように厚いエナメル質に覆われた歯を持ち、なおかつ虫歯予防に力を入れていて正しい歯磨き方法を実践しているというのであれば、バナナホワイトニングは画期的な方法です。私たち日本人が真似をするのは、リスクの方が大きいため、おすすめできません。

そもそも、バナナホワイトニングのメカニズムはあくまで着色汚れを落とすというもの。これは、市販のホワイトニング歯磨き粉でも十分に体験できる程度のホワイトニングです。(正しくはクリーニングに当てはまります)

市販品では研磨剤が多くて不安という方は、歯科医がおすすめしているコンクール ジェルコートFなどのジェルタイプ歯磨きを選ぶと良いでしょう。研磨剤不使用なので、歯の表面を傷つけることなく磨けます。着色汚れを効果的に落としたい場合は薬用ポリリンジェルEXのように着色汚れ除去に特化したものを選びましょう。

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ちなみに、薬用ポリリンジェルEXは私もお試ししてみた商品です。感想や効果についてのレビューはこちらです。(『ポリリンジェルEXの評判と実際の体験レビュー』へ)

ホワイトニング効果を優先して一時的にバナナホワイトニングを試してみたい、という方もいるかもしれませんが、歯の表面が溶ける以上、新しく着色汚れがつきやすい状態になるだけ。むしろホワイトニングとは程遠い結果になってしまいます。

本当に歯を白くしたいなら、着色汚れがとれた後のことも考えましょう。ケアの後は新たな着色汚れがつかないよう、歯表面は傷のない状態を作るべきです。傷のない歯は汚れが入り込む場所がなくなるため、着色汚れの予防になるうえ、虫歯菌も留まりにくくなります。

結局のところ、バナナホワイトニングと同じく着色汚れを落とす、バナナホワイトニングよりも安全な方法、それは『歯に優しい着色汚れに強い歯磨き粉で正しい歯磨きをすること』なのです。