贈与税の節税テクニックは知っている人だけの特典

贈与税には数々の節税テクニックがあります。

しかし贈与税の節税というのは、節税の方法を知っている人だけが恩恵を受ける、という特徴があります。

多くの財産を所有する資産家などは知らない人はいないでしょうが、一般的には知らない人の方が多いかもしれません。

これには国の意図があります。積極的に広報活動をしていないのです。

これに対して相続税は、相続が発生すると、誰でも基礎控除額以上の遺産に対して相続税がかかり、国としては、ほとんど徴収が可能です。

又、贈与税と相続税を比較して見ますと、贈与税の方が圧倒的に重税です。

国は、贈与税は高いですから、相続税で払ってもらった方がお得ですよ、と言っているわけです。

贈与税を安くすると、みなさん相続の前に財産を贈与して、相続で税金を払う人がいなくなってしまうからです。

しかし最近になって、国の施策が変わってきました。贈与税の節税に大きく寄与するであろう施策です。2,500万円までの贈与なら税金は免除します。という特例です。

相続時精算課税制度という制度です。大きな節税効果が出る制度です。この制度を見ていきましょう。

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相続税精算課税制度はメリット、デメリットがあります

相続税精算課税制度もまた、知らないと何も起こりません。税務署も積極的に教えてくれません。

この制度を使えば、贈与税を大幅に減額できます。大きな節税対策となります。

この制度を要約するとつぎのようになります。

60歳以上の親が、20歳以上の子や孫に財産を贈与する時、2,500万円まで無税とする。これを超える場合は、超えた部分に1律20%の贈与税を課す。

そして、相続税を支払う時は、過去の支払った贈与税を精算する。とあります。
国税庁HPを参照ください )(平成28年4月1日法令)

精算するという意味ですが、相続が発生した時、相続税を計算して、過去に支払った贈与税を差し引いて納税する、ということです。

〇メリットの概要

① 上記のように2,500万円まで税金がかからない。

② この制度は、贈与時にかかる贈与税を相続が発生する時まで、納税を先延ばしする制度と考えた方がいいです。贈与をもらったお金を貯めておいて、相続税の納税資金とすることができます。

③ 相続時精算課税制度を使用した後に相続が発生した時、贈与をした財産は、相続財産に戻さなければなりません。この財産の評価は贈与時の評価が使えることになっています。相続時に贈与分の財産価値が上がっておれば、大きな節税対策となります。下がっておれば節税にはなりません。

又、贈与を受ける子などが、賃貸アパートの形で財産を贈与された場合は、その賃貸料は課税対象になりません。

〇デメリットの概要

① この制度を使用する時は税務署に届け出が必要です。この制度を選択すると暦年贈与(年間110万円の基礎控除)の使用ができません。

② 小規模宅地の特例が受けられません。

③ 不動産取得税、登録免許税が相続時よりも高いです。

④ 相続時精算課税制度を使用した財産も相続に課税されます。相続財産に加えて相続税が計算されます。従って必ずしも節税対策とはならない場合があります。

⑤ 申告が必要です(贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日まで)。

このように相続時精算課税制度は、メリットもデメリットも両方ある制度です。

所有する財産の額や財産の種類によって、メリットが出る場合と出ない場合がありますので、制度の使用については、よく検討しなければなりません。税理士との相談をおすすめします。

他の節税テクニック

相続時精算課税制度以外にも次のような節税方法があります。いずれも受贈者が届け出をしないと制度の適用がされません。

① 1人年間110万円(基礎控除額)までの贈与は非課税。

② 贈与税の配偶者控除を使用する。配偶者間(夫婦間)で居住不動産の購入又は建築資金を贈与した時は2,000万円までは贈与税がかからない。(但し一生に一度だけ)

③ 住宅取得資金贈与を使用する。住宅取得のための資金を贈与する場合は1,200円まで非課税。

④ 教育資金の一括贈与、子1人につき1,500万円までの贈与が非課税。

⑤ 結婚、子育て資金の一括贈与、平成27年4月1日から平成31年3月31日までの期間限定で20歳から50歳未満の人に対して1,000万円まで非課税(金融機関経由)。

まとめ

日本の税金は世界一高いです。贈与税・相続税も世界一高いです。

国は高い税金を徴収している一方で非課税となる制度を色々準備しています。

贈与税は相続税と比べてかなり高いですが、徐々に贈与税の税率も下がってくるのでしょうか。

節税のテクニックは、最初にどんな節税対策があるのか知ることから始まります。知らないと大損することになります。そして各種の非課税制度を徹底的に研究して100%使用することです。節税のテクニックを知ることにより生活防衛が可能です。