贈与税とは、個人から財産をもらった時にかかる税金です。企業などの法人からもらった時にかかる税金は贈与税ではなく、所得税がかかります。

自分が払っていない生命保険金を受け取った時や、債務免除などにより利益を受けた時は贈与税がかかります。

自分が払っていない生命保険金の受け取りとは、誰が被保険者で受取人が誰かによって税務関係が異なります。保険料を払った人(契約者)が母親で被保険者が父親、保険金受取人が子供の場合、及び、契約者が子供で被保険者が父親、保険金受取人が母親の場合、いずれも贈与税がかかります。因みに、契約者が父親で被保険者も父親、保険金の受け取りが母親又は子供の場合は、贈与税ではなく相続税がかかります。

債務免除の利益とは、親が子供に貸したお金を返さなくて良い、といった場合、子供は親から無償でお金をもらったことと同じですから利益を得たことになります。但し子供が多大な借金を負って、親が肩代わりした場合は、例外的に贈与税が免除される場合があります。

贈与税は、あくまでも生前贈与です。亡くなった人が財産をあげる場合は贈与税ではなく、相続税がかかります。

民法第549条では、贈与とは基本的に生きている人(贈与者)があげます、と意思表示して、もらう人(受贈者)がもらいます、と意思表示したときに成立します。片方だけでは成立しないことになっています。

但し民法第550条で、贈与契約書などを作成しない贈与は取り消すことができる。としています。安易な口約束はトラブルの基になり易いことの戒めの意味です。

贈与と相続の違い

贈与と相続はもちろん違いますが、上記しましたように贈与は生前贈与です。但し贈与者が死亡したことによる贈与は贈与税ではなく、相続税がかかります。

また贈与は当事者間の意思表示が必要です(口頭あるいは書面)。当然名称も贈与者、受贈者となります。

相続の場合は、時期が贈与者の死亡時です。意志表示はありません。また名称も被相続人、相続人と呼び名が変わります。

贈与税がかかる場合

贈与税は上記に上げた以外にも多くの場合にかかります。特に親子間の財産の受け渡しに多く発生しますので注意が必要です。

① 贈与されたお金を使わなかった:親が子供に生活費として渡したお金は贈与税がかからないのですが、子供がもらったお金を使わないで貯金していた場合は、贈与税がかかります。

② 親子間の財産売買:親が所有している財産を市場価格より大幅に安い価額で子供に売却した場合は、安くした部分に贈与税がかかります。

③ 親子間の債務:債務免除により、子が返さなくてもよい、とされた場合、その価額は相続税がかかります。

④ 住宅ローンの肩代わり:子供が住宅ローンの返済ができなくなった。この時、親が肩代わりして支払った場合は贈与税がかかります。但し非課税枠がありますから、それを超えた部分にかかります。子供が親からの借入の形にすれば相続税はかかりません。契約書は必要です。

⑤ 不動産の贈与
・ 土地、住宅、マンションの贈与:年間110万円を超える部分に贈与税がかかる。
・ 住宅取得等資金の特例:子供のマイホーム購入資金を親が負担する場合、省エネ住宅は1,200万円、それ以外は700万円が上限。これを超えた部分に贈与税がかかる。
・ 住宅の使用貸借:親が所有する賃貸アパートに子が無償で居住する場合。賃貸料相当額に贈与税がかかる。但し年間110万円までは非課税。
・ 土地の使用:親が所有する土地に子供がマイホームを建てる。借地料が発生し、これに贈与税がかかる。

⑥ 親子間にかかる贈与税はまだあります
・ 相続時精算課税制度は2,500万円までです。
・ 子供の結婚、子育て資金の贈与は、一人当たり1,000万円までです。
・ 子供の教育資金は一人当たり1,500万円までです。
これらの限度額を超えると超えた部分に対して贈与税がかかります。

贈与税の計算方法

贈与税は、前述しましたように、個人が個人からもらった現金、有価証券、不動産などの財産に対してかかる税金です。1年間にもらった額が基礎控除額110万円までなら贈与税はかかりません。

110万円を超えると超えた分に贈与税がかかります。

贈与税の計算方法ですが、まず、課税価額を計算します。

課税価額=贈与された財産の総額―基礎控除額110万円

次に贈与税を算出します。計算は税率表で行います。

税率と控除額から贈与税額を算出します。これには一般贈与財産(一般税率)と特別贈与財産(特別税率)の2種類あります。特別税率とは、直系尊属(父母、祖父母)から、贈与により財産をもらった受贈者に限り、特別税率で贈与税額を計算することができます。

税率表は、国税庁のHPを参照ください。(参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

例えば、一般税率の場合

基礎控除後の課税価額が1,000万円の場合(税率40%、控除額125万円)

贈与税額=1,000万円×0.4-125万円=275万円

基礎控除後の課税価額5,000万円の場合(税率55%、控除額400万円)

贈与税額=5,000万円×0.55-400万円=2,350万円

特別税率の場合

基礎控除後の課税価額が1,000万円の場合(税率30%、控除額90万円)

贈与税額=1,000万円×0.3-90万円=210万円

基礎控訴後の課税価額が5,000万円の場合(税率50%、控除額415万円)

贈与税額=5,000万円×0.5-415万円=2,085万円

なお、基礎控除後の課税価額が4,500万円を超えた場合は、一般税率では一律、税率55%、控除額400万円、特別税率では、税率50%、控除額415万円です。

まとめ

贈与税は非常に課税税率の高い税金です。5,000万円くらいの贈与で半分近くが税金です。

かなりの圧迫感のある税法となっていますから、高額な財産の贈与をされる場合は、なるべく早くから税理士などの専門家との相談が必須です。贈与税はまた、非課税枠が色々ある税制です。

ここには贈与税がかかる場合を中心に説明しましたが、贈与税がかからない贈与も色々あります。

親から子供への生活費や学費、結婚費用や出産費用、年間110万円までの贈与、などです。贈与税がかからない贈与には、複雑な条件がついていますので、専門家の助言をもらいながら進めていくことをおすすめします。