遺言書の作成はどこに依頼する?

遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言そして秘密証書遺言の3種類あります。

一般的には公証役場で証人2人と一緒に行って作る公正証書遺言が最も多いようです。また、この方法がもっとも確実で有効な遺言書ができます。

次に多いのが自筆証書遺言です。わざわざ公証役場に行かなくても、遺言書として必要な事項が盛り込まれていれば、自由に書くことができる方法で、自ら書いて自ら保管をします。

但し、相続が発生した時に、相続人はこの遺言書を家庭裁判所に届け、相続人全員の立会のもと、開封されます。

秘密証書遺言を作る人は非常に少ないです。誰にも見られることがなく、自由に書いて封印して、公証役場で遺言書の存在を証明します。この時証人2が必要です。この遺言書も家庭裁判所に届け、裁判所での検認が必要です。

いずれの遺言書も遺言書としての効力を持つためには、法律で定めた一定の要件が満たされていることが必要です。

実は、自筆証書遺言や秘密証書遺言では、誤った記載や一定の要件が満たされていない遺言書が少なくありません。この場合は折角の遺言書ではありますが、無効となる場合があります。

このように、遺言書作成においては、書き方に一定のルールがありますので、適格な遺言書を作るためには専門家の指導を受けることをおすすめします。

遺言書の作成指導の専門家は司法書士、弁護士、税理士、行政書士です。この4つの士業なら、どこに依頼しても問ありません。

これらの専門家では、どこでも遺言書作成指導を行っています。

遺言書作成指導とは、遺言者の家族構成や財産の内容を聞いて、そこに本人の希望を加えて、適切な遺産分割による遺言書を提案し、遺言書の文案として作ってくれます。これを本人が見ながら自筆で書くことになります。

公正証書遺言の場合は、あらかじめ専門家と相談して、遺言書で必要な事項をまとめておき、公証役場に行きます。公証役場では公証人が適切な遺言書になるよう指導もしてくれます。

遺言書作成依頼は相続のことも念頭に入れる

遺言書作成の指導は上記の4士業の専門家ならどこでも相談にのってくれますが、相続の発生時点のことを考えた選択も一方では必要です。遺言の中に不動産があれば、必ず変更登記がありますから、司法書士が専門です。遺言作成段階で贈与や節税の問題と、相続税の申告に関しては税理士の協力がどうしても必要です。

遺言書を作っても、相続の段階で、裁判所がらみの問題が発生する懸念があるようでしたら、弁護士でなければなりません。

従って、遺言書を作る段階で、相続発生以後に、遺言書の内容がどのように展開していくかも念頭に入れて作ることが肝要です。そのためには、相続も含めた対策ができるような専門家の選択も必要になってくるわけです。

できれば、遺言書の作成段階から相続に関する相談、遺産分割協議書の作成までを一貫して同じ専門家に依頼する方法もあります。かなり長期にわたりますから、誰でもいいわけでなく、早い段階で信頼できるひとを選んでおくことになります。

遺言執行者について

遺言書に明記しておくと、遺言の執行がスムースに行えます。この場合は、大体において専門家がこの任に就く場合が多いです。

遺言執行者とは、遺言書に書かれた内容を、相続が発生した段階で、必要な手続きをしたり、債権があれば、督促したり、回収したりする財産管理を行う人です。

遺言者が遺言書で指名しておけば、遺言書の内容が確実に実行されます。

遺言執行者は、遺言書作成時点で相談にのってくれた信頼できる専門家がベターです。

司法書士、弁護士、行政書士などです。

遺言書の作成を依頼すると費用はどのくらい?

依頼する士業は、司法書士、弁護士、税理士、行政書士で、どこに依頼しても問題ありませんが、相続のことを考えた選択が必要です。一般的な遺言書作成の手順は

1、 相談
2、 相続人調査
戸籍謄本収集
3、 財産目録作成
不動産調査
登記事項証明書の収集
4、 遺言書作成指導
5、 遺言書作成
6、 公証役場で手続き
7、 公証役場手数料及び諸費用支払い
8、 遺言書の保管
など大体このぐらいの手順があります。

そして遺言書の種類が、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類あります。

弁護士を除く他の3士業にかかる費用は相場的にはほぼ同じくらいで、秘密証書遺言の場合は少し安くなっているようです。

上記の1から4まで、(遺言書作成は本人が作る、公正証書遺言の場合は下書き)の項目一括で概ね70,000円から200,000円でしょう。秘密証書遺言の場合は少し安くて約70,000円~140,000円。

但し、役所や法務局に支払う手数料(戸籍謄本、登記事項証明書など)が実費で別途に必要です。

公証役場の手数料も別途です。秘密証書の公証役場の手数料は11,000円の定額です。

自筆証書遺言は、遺言書作成で、それ以後の費用は不要です。

公証役場の手数料(公正証書遺言の場合)は遺言に記載された財産の価額により異なります。

作成代

100万円まで5,000円
1,000万円まで17,000円
1億円まで43,000円
加算 1億円以内 11,000円

これに用紙代がかかります。

弁護士に依頼する場合は、これら3士業よりも高額になります。

基本的に遺産の総額により費用が異なります、概ね20万円から50万円ですが、遺産総額によっては200~300万円になる場合もあります。一般的に遺産総額が大きく、またご家族の関係が複雑になっている場合は、費用の金額について個々に相談されるしかありません。

まとめ

遺言書はどの専門家に依頼するか、悩ましい問題ですが、上記しましたように相続のことも考えた専門家の選択が望ましい、と言われています。

一般的には、相続財産が基礎控除額以内なら司法書士、基礎控除を超えるような相続財産がある場合は、司法書士と税理士。相続財産に不動産がある場合は、司法書士と税理士、土地家屋調査士。相続争いの懸念がある場合は、司法書士又は弁護士。

司法書士と税理士の意味は、手続きに両方の専門家が必要となる、ということです。どちらに依頼しても一括対応してくれます。弁護士に依頼した場合は、相続税の申告に関しては弁護士の方で税理士に依頼する、不動産変更登記に関しては司法書士に依頼する形になります。