平成27年度から相続税がかかる人が増加します。

税制改正により平成27年度から相続税のかかる人の範囲が拡大しました。これによって、今まで相続税は他人事と思っていた人までがかかるようになりますから注意が必要です。一部のお金持ちにかかっていた特別な税金ではなくなりました。

ではあなたは相続税がかかるかどうか、チェックしてみましょう。チェックリストにしてみましたので順番にチェックしてみてください。

1. あなたは法定相続人ですか?

相続税は相続人にかかる税金です。

2.あなたは法定相続人のどこに属しますか?

相続人の順位を確認してください。

法定相続人とは、被相続人の配偶者(夫又は妻)及び、第一順位直系卑属:被相続人の子、子が死亡している時は孫、養子、認知した子。

第二順位直系尊属:第一順位の相続人がいない場合、被相続人の父母、父母る場合は、その子(姪、甥)が相続人となる。

第三順位兄弟姉妹:第二順位に相続人がいない場合、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる。兄弟姉妹が亡くなっている場合はその子(姪、甥)が相続人となる。

3.被相続人の遺言はありますか?

遺言書があれば少々面倒なことになります。

被相続人の有効な遺言がある場合は、遺言書が優先します。

遺言者に財産の相続が記載されている場合は、遺言相続といい、法定相続よりも優先することが法律で決まっています。例え相続の対象者が法定相続人以外の人や社会福祉団体であっても有効です。

遺留分請求:遺言書により全財産が他人に相続されると、残された家族が生活に困ってしまいます。そのために遺留分という最低限受け取れる相続分が確保できる法律があります。

遺留分減殺請求書:法定相続人の代表者が相続した第3者に配達証明付き内容証明書郵便で送付します。これにより相続人は法定相続人の代表者にその権利分を渡さなければなりません。

但し、遺留分が認められているのは、配偶者、子など直系尊属までで、被相続人の兄弟姉妹は認められていません。直系尊属のみは遺産額の1/3、それ以外は1/2です。

なお、法定相続人以外の人が被相続人の遺言により相続した場合の相続税は、別途の相続税計算方式があります。

4.相続税がかかるかどうか?遺言書がない場合

相続税がかかるかどうかの判定は難しくありません。但し遺言書がない場合又は遺言書に第3者に相続する記載がない場合です。

相続税がかかるかどうかの判定は、遺産財産額が基礎控除額を超えているかどうかです。超えていれば相続税が発生します。納税の義務があります。

基礎控除額=3,000万円+600万円×相続人の数 (平成27年度から)

例えば、相続人が配偶者とその子供2人ならば、相続人の数は3人ですから基礎控除額は4,800万円となり、これを超える額があれば相続税がかかります。以内であればかかりません。何もしなくてもいいです。

5.相続財産の計算はできましたか?

上記のように相続税がかかるかどうかの計算式は簡単ですが、相続財産が多い人は、計算が簡単ではありません。特に土地や非上場株式、高価な骨董品がある場合は専門家の評価が必要となってきますし、借金のように負の遺産がある場合は正確な調査が必要です。

・ 現預金:被相続人が亡くなった日の金融機関の残高、通帳に日付け、残高を記帳。

・ 土地:国税庁の路線価で計算する。但し実際には土地の形、間口奥行き、周辺の環境により補正をかけなければならない。この計算は専門家の助けが必要です。

・ 建物:固定資産税評価額により、市町村役場から送付される固定資産税納付書に添付されている明細書で評価額が分かります。

・ 株式:上場株式は被相続人が亡くなられた日の時価(終わり値)により評価します。但し相場の変動が大きい場合は、相場発生日の1ヶ月前、2か月前、3ヶ月前の月の毎日の終値の平均値をとり、最も低い価額を評価します。

・ 非上場株:評価は非常に難しく専門家(税理士など)に依頼して評価してもらうことになります。

・ 家財:専門家の鑑定が必要と思えるものを除いて、概ね一式で算出します。

・ 美術品、骨董品:美術品、書画、陶器、刀剣など明らかに高価なものは専門家の鑑定が必要です。

・ 生命保険:民法上は相続財産ではありませんが、税法上はみなし相続財産となります。遺産分割する時には含めなくてよいが、申告する時に計算が必要です。

・ 他人名義財産:被相続人の配偶者や子、孫名義の財産のことです。実質的に被相続人の財産である場合は相続財産となります。税務署が一番関心を持っている部分です。

・ 負の相続財産:被相続人に属する支払い、借金、葬儀費用(お通夜、葬式費用)(初七日、四十九日法要の費用及び香典返しは対象外、他人の借金の連帯保証額も対象外)、貸しアパートの敷金、未払い税金など。

相続する、相続しない、の判定はできましたか?

相続財産が多いと予想される人は相続財産の計算が大変ですが、これを計算して出さない限り相続税が発生するかどうか、どのくらい相続税を払わなくてはならないか、が分かりません。

税理士、公認会計士等と相談して速やかに答えを出す必要があります。

相続税の納付期限が、被相続人が死亡されてから10ヶ月以内と定められていますから、速やかな対応をしなければなりません。

相続税を払う必要のない人は、何もしなくてもいいです。

但し、税務署は相続税を払う必要のある人は既に把握している可能性が高いと思ってください。

相続税申告書に関してのお知らせの文書がくる場合があります。これは、あなたは相続税納税の可能性があるので一度計算してみてください。という意味です。

税務署は市区町村に死亡届を出すと、市区町村は税務署にそれを連絡する義務があります。すると税務署はKSKシステムという蓄積された膨大なデータから相続税の申告が必要かどうかを判断します。

相続税納付の義務が発生していながら、申告しないと無申告加算税が余分に15%から20%かかりますから注意が必要です。

まとめ

相続税申告の必要があるかどうかは分かりましたか?実際に相続税を払う必要のある人は全体の10%に満たないことが予想されます。(平成26年度までは4%くらいでした)相続税を払わなければならない人が拡大したとは言え、まだこの程度です。ほとんどの人は関係ない税金です。

相続税を払わなければならないと決まったら、この後、相続財産の確定を行い、相続税の総額を計算します。そして相続人ごとの相続分の計算をし、控除額を差し引いて納税額を決定します。

相続税納税額の計算は、多少厄介です。税理士に相談した方が間違いない手続きができますから、税理士に依頼することをおすすめします。

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