平成27年度より税法が改正となり、いよいよ運用されることになりました。相続税を払わなければならない範囲が広がりました。贈与税も改正になっています。ごく一部のお金持ちの人に限られていた相続税も少し身近な存在になりつつあります。

子や孫のいる世帯では、相続や贈与について、一度学習してみるといいでしょう。

相続や贈与は、色々な方法があります。色々なケースがありますので、その状況に応じて選択していかなければなりません。頭のいい財務省の官僚が知恵を絞って考えた税法です。不公平感が最少で、確実に納税させるよう国策に沿った徴収システムです。しかし内容は難しく、誰でも簡単に理解できるレベルではありません。

相続税、贈与税は重税です。相続税は、相続財産及び法定相続人の数により異なりますが、相続税は、正味の遺産総額から基礎控除額を差し引いた残りの額を民法で定める相続分により、按分した額に税率を乗じ、さらに控除額を差し引いて算出します。

例えば、法定相続人に応ずる取得金額が3,000万円以上(1,000万円以上)の場合の税率は15%、控除額は50万円です。

贈与税(一般贈与と特例贈与の2種類ある)は、例えば親から子(未成年者)への贈与の場合、贈与額が600万円から1,000万円以下で税率は40%、控除額125万円です。

このような税制体系になっているため、相続税、贈与税に関しては、様々な節税対策が存在します。今回はその中で、生前贈与で生命保険を使う節税対策について述べます。

生命保険を使った生前贈与

生前贈与には様々な方法がります。節税のための生前贈与の方法は、アパートやマンションの建設や養子縁組、遊休地利用、借入金をする、などがありますが、生命保険に加入するのも1つの選択肢です。

生命保険を使った生前贈与のメリットは、1つ目として、加入した生命保険の保険金が全額損金扱いとなります。

2つ目は、被保険者が死亡した時、生命保険金が受取人には生命保険の非課税枠が設定されていて、非課税枠に収まれば、遺族は非課税で相続財産を受け取れます。(非課税枠=500万円×相続人数)。

3つ目は、生命保険は納税資金として使用できるということです。相続が開始されても、主な財産が土地や建物、非上場株などとなっていると、換金できたとしてもかなりの時間がかかる場合があります。

納税期限が、相続が開始(被保険者が死亡した日)されてから10ヶ月以内となっているため、この生命保険金は余り時間がかからず受取できますから納税資金として有効です。

生前贈与されたお金で生命保険に入るメリット

生前贈与に生命保険を使う理由としては、現預金をそのまま子や孫に渡すと、すぐに浪費してしまう恐れがあり、金銭感覚が狂って、日々の生活に支障が出るなどの心配があります。

このような心配がないような生前贈与の方法が、この生命保険を使う方法でできます。

例えば、相続したい父が生前贈与したい子に贈与するケースで見てみましょう。

子は贈与されたお金で目的に応じた生命保険(終身保険)に加入します。

保険契約は、受贈者・契約者が子、被保険者が子又は父、保険金受取人が孫、とした時、メリットとして、保険会社が保険料を運用して、受取額が増加する場合がある。名義預金として認定される可能性が薄い。生命保険金の受け取り時期が指定できる、一括でも分割でも可能。

生前贈与を基礎控除額以内で節税対策をして子に渡す

親から子に贈与されたお金で生命保険に加入して、相続税を節税する人は多く、その贈与をさらに基礎控除額以内なら無税で贈与できる制度を使用している人もたくさんいます。

基礎控除額は1人年間110万円です。贈与額年間110万円以内なら相続税はかかりません。

子や孫に贈与税がかからない範囲で資産を贈与できる方法です。

3人のお孫さんに1年に一度110万円を、10年間贈与を続けますと総額3,300万円が無税で贈与できます。但し無条件でできる制度ではありません。毎年同額を同時期に贈与を行っていると、税務署は単なる財産の分割贈与とみなし、贈与税がかかる場合があります。

これを避けるための対策として、毎年贈与契約書を作る、毎年違った金額を贈与する、毎年違った期日に贈与する、などがあります。し面倒ですが、仕方ありませんね。

ジュニアNISAを使用する

2016年から始まった新しい制度です。生前贈与で、基礎控除額以内で節税した資金を贈与されたお子さんやお孫さんなど未成年者(0~19歳)が対象です。年間80万円分の投資・非課税投資枠から得られた譲渡益、分配金、配当金に対し、税金が非課税となる制度です。

制度の目的は、株式市場の活性化及び親から子への資金移動です。当然まだ未熟な子供が直接資金運用することは難しいですから、実質的には親が運用することになります。株や投資信託などが増え、投資が促進され、下の世代へと資金が流れていくことを期待しています。

但し、子が18才になるまで資金の引き出しができません。非課税投資枠は毎年80万円まで、期間5年間、投資総額400万円までです。(取扱い金融機関:楽天証券、SBI証券、マネックス証券、野村証券など)

まとめ

相続税や贈与税の仕組はかなり難しい制度です。突然その当事者になった場合は何からどのように進めて行ってよいか分かりません。おまけに人によって、1人ずつ状況が異なりますから、とてもマニュアル通りにはいきません。日頃から関心を持って少しづつ情報を仕入れ、学習していくしかありません。

相続税や贈与税は、正しく知識を持って、適正に申告しないとペナルティがあります。納付期限内でも申告額が過小の場合、間違っている場合、納付期限が過ぎた場合、脱税行為が見つかった場合、納付しなかった場合など、全てに何らかのペナルティが付きます。

また、正しい知識を持っていなと、相続時に兄弟同士、親族間などでトラブルになることもあります。相続税や贈与税の知識や情報は注意して身につけるように心がけましょう。

参考記事:超定番!生前贈与を受けた子や孫が生命保険に加入する相続税対策