所得税には総合課税と分離課税があります。

そのほとんどの取引で総合課税にするのか、分離課税にするのかは納税者は選択ができません。

ですが、総合課税と分離課税はどちらが納税者にとって有利になっているのでしょうか?

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総合課税とは

所得税での総合課税とは、所得によって税率が変化する課税方式のことです。

5%から40%までに分かれています。

分離課税とは

分離課税にはいくつかの種類があります。

総合課税が基本と考えていますので、分離課税とは分離つまり、分けられて課税されるという課税方式のことです。

・源泉分離課税

源泉徴収という言葉があります。

源泉徴収というのは、儲けからあらかじめ所得税を徴収していますよという意味です。

所得税の前払いということが源泉徴取です。

源泉徴収は収入金額から基本的な控除額を控除した残額に課税したものを所得税として徴収しています。

所得税では給与所得者の場合は、給与所得控除額を控除した残額に総合課税した税率を源泉徴収しています。

ですが実際は、その人が住宅借入金を保有していたり、医療費を使ったりしますから、給与から控除されるべき額も多くなっていることがあります。

それを加味して再度収入から控除額を引いた残額は、源泉徴収されたときの残額よりも小さくなっているはずです。

その差額を還付してもらうことになります。この還付の手続きを確定申告で行います。

これが源泉徴収です。

源泉分離課税は対象となる所得からあらかじめ所得税を控除するところまでは同じです。

源泉分離課税と源泉徴収との違いは、控除されたら、それで終了ということになるということが違います。

還付ということはないということです。

利子所得では源泉分離課税が適用されています。

銀行の通帳に印字されている利子は、あらかじめ所得税が20.315%控除された残額が印字されています。

源泉分離課税の納付の仕方は、税金を納付するという申告型(申告納税方式)ではなく、収入金額から自動的に税金を引くことで、税金を間接的に(収入から)徴収しているということになります。

・申告分離課税

源泉分離課税では収入から所得税が徴収され、確定申告は不要でした。

ですが申告分離課税では、総合課税とは違う課税(税率が違う)の仕方ですが、源泉分離課税とはちがい、確定申告が必要な課税方式だということになります。

総合課税と申告分離課税の違い

では、本題です。

所得税では総合課税と分離課税があります。総合課税と分離課税はどうして別れているのでしょうか?

総合課税は納税者の所得に応じて税率が決まっています。

所得が高い人は税金を多く支払うシステムです。

5%から40%までに区分されています。

分離課税には源泉分離課税と、申告分離課税があります。

所得税法でなく、租税特別措置法が申告分離課税となります。

株式でみてみましょう。

株式の場合は譲渡所得で課税されます。譲渡所得も総合課税と申告分離課税とに分かれています。

総合課税は納税者に課税するという傾向が強いので、納税者の所得によって税率が変わることになります。

ですが、分離課税は、納税者主体でなく、所得を生む取引を対象に課税していると考えられます。

ですから一律の税率になっています。利子の場合ですと、源泉分離課税という分離課税です。

年間の所得に関係なく、1,000円預けたなら、そこには利子がつきますが、その利子には国税15.315%、地方税5%の20.315%が課税されるというのが分離課税です。

株式の場合は分離課税のうちの申告分離課税で上場株式も非上場株式も国税15.315%、地方税5%の20.315%で課税されます。

どうして株式は総合課税ではないのかというと、株式で大儲けしてもそれは、その人が事業で儲けたわけではないので、個人に負担を課するということはしないためです。総合課税は金額に課税します。

株式等に係る譲渡所得という申告分離課税などの分離課税では、取引に一律20.315%が課税されていると考えます。株式投資という取引をした人にはその儲けに対して一律税率がかかるということになります。



申告分離課税では得をする場合も損をする場合もある

総合課税では所得の少ない人に過剰に税金がかかるということはありません。

総合所得で5%の税率だった人が株式投資をした場合に利益を出したとします。この時の利益には20.315%の税率で所得税がかかります。ですからこの場合は損をしていることになります。

ですが、所得の高い人が総合所得では40%だったけれど株式投資による利益は20.315%なので得をしているということになります。

ですが申告分離課税の税率が20.315%だったとき、総合課税で同じ税率分の儲けよりも多い儲けという所得を得たときまたはそれ以上の所得になったとき、申告分離課税のほうが得ということになります。

土地建物等の譲渡については、申告分離課税になっています。それは土地建物を譲渡すると、譲渡所得額は大きくなります。

このとき総合課税で課税すると最大税率40%の適用所得である1800万を超えてしまう場合が多くなるからです。総合所得では5%の人が、土地建物を譲渡して総合課税になると途端に税金が多くなるということになってしまいます。

ですから申告分離課税は低所得者にとって一見負担の大きい税率だと考えられますが、取引そのものを一定の税率にすることで、大きな所得を得た場合にも一定税率以上の税率の適用はないということで、低所得者に配慮された課税方式であるともいえます。