中小小売業への期待は商品、サービスの提供にとどまらず、地域の担い手としての役割へと高度化しています。その実現に向けて、個々の中小企業事業者の取り組みに加え、関連事業者、市民、行政との連携、協働が不可欠です。

人口減少、高齢化という新しい時代をにらんで、暮らしやすい社会、豊かな生活の実現に向けて各地域に根付いた中小小売事業者による新たな事業、新しい仕組みづくりでのチャレンジが求められています。

特に地域の商店街においては、商店街組合が作成する商店街再開発計画や活性化計画、まちづくり計画などの存在と実現の可能性が個々の商店経営に直接的に影響があります。また個々の事業者が金融機関から融資を得るためには、この組合の計画実現が大きな判断材料とされます。

事業計画の前提

こうした現在おかれている経営環境や地域の商業特性、地域の金融機関の状況などを十分に踏まえて、これから先の展望を事業計画に盛り込むことで信頼性の高い計画ができます。

金融機関が求める事業計画書とは

経営者自らの手で作った事業計画書であり、会社の将来の展望や数値が明らかになった計画書でなければなりません。事業計画書は銀行の融資に必要な書類ですが、それ以前に経営者自身が自社を今後どのように運営していくかの行動指針を表した書類です。ですから金融機関は融資の際に事業計画書を求めるわけです。

事業計画書の作成方法

  1. 事業の現状(外部、内部)について、経営者自身がどのようにとらえているかを明確にしておきます。ここが計画の出発点です。上記にあるような小売業の現状と対策などを明確にしておきましょう。商店街組合の再開発計画など事業の発展にかんする具体的な内容や自社の置かれた立場や果たす役割なども明記しておきます。
  2. SWOT分析で自社の経営上の強み弱みを分析し、同業他社との比較、予想される脅威などを具体的に列記しておきます。
  3. 今後の事業目標・・経営者自らが描く会社の将来像、目標売上高、目標利益、目標とする事業規模などを明記。
  4. 上記から、目標貸借対照表、目標損益計算書、販売計画書、売上構成、人員計画、などをつくる。
  5. 商品別、客先別、年度別売上予定表を作る。
  6. 資金計画(借り入れ計画)、返済計画を作成。
  7. 借入金希望額、借入金の使途、借入金導入によるメリットを明記する。
  8. 他に資金繰り表、試算表、決算書(3期分)、カタログなどが必要です。
  9. 会社の直近決算書が赤字の場合は再建計画書が必要です。

上記の事業計画書の他に

  1. 新たな担保、保証人
  2. 有休資産、不良在庫の処分方法、時期
  3. 人員削減の数、方法、時期
  4. 経費削減の方法と対象科目
  5. 原価管理の見直し
  6. 役員報酬の減額
  7. 新商品、新サービス開発計画、販売戦略の見直し

などを盛り込んだ事業計画書が別途に必要です。

小売業の場合は具体的な販売戦略の内容が問われます。

例えば、販売の対象となるターゲットの層(年齢、職業、男女など)は?

一般消費者か特定の企業か?ニーズはどのくらいあるか?どのくらい取り込めそうか?新規ネライかリピーター狙いか?

などはできるだけ調査をして具体的な数字にしておくことが必要です。

また、売り上げる商品又はサービスは何で、価格はいくらに設定するか。広告宣伝の方法は?なども重要なポイントです。

その他、今あるニーズを対象とするだけでなく、一般消費者のニーズの掘り下げも必要です。すでに顕在化しつつある消費者ニーズにこたえていくアクションも大事ですが、今後ニーズと成り得るであろう顧客の開発も同時に行っていかねばなりません。販売計画においてこうした視点も持ちながら作成していきましょう。

融資を受ける場合は事業計画の目標をどこにおくかも重要です。

金融機関が最初に見るのは財務計画を織り込んだ事業計画です。まずは事業計画達成年度をいつにするかです。1年計画なのか、3年計画なのか、あるいは5年計画なのかを決めます。

例えば、お店の売上を3年後には倍にしようという目標を立てた時、その目標値を達成するのにどのような販売方法を取るのか、その時に見込める利益はいくらか。この事業は儲かります、というメッセージが強く出ていないといけません。

ただ数値を並べた絵に描いた餅では全く意味を成しません。その魅力的な目標値が説得できる方法論によって裏付けられていないといけません。

そこで前記したようなターゲットやニーズ、商品の魅力などのデータが必要になってくるわけです。

数値目標も重要です。飲食業の場合は材料費と人件費の合計額が健全と言われている売上高の60%ほどになっているか、家賃がある場合は売上高の10%以内になっているかどうかなどのチェックが必要です。

また小売店やサービス業の場合は、客単価や顧客の数、あるいはお店の稼働時間、回転数など現状をベースに積み上げて目標値と近いものになっていなくてはなりません。また商店運営上のあらゆる費用、仕入れ材料費、人件費、販売一般管理費などがどのようになっていくか具体的に試算しておかねばなりません。

そして資金計画です。

財務計算をして目標に対して、売上がどの段階で売掛金となっていつ入金となるのか、どんな費用がどの時期にいくら必要か、を時系列に表にしたものが資金繰り表ですが、目標売上高がどの段階でいくら入金となってくるかを見極め、どの段階でいくら資金が不足するかを予測します。

このデータにより金融機関からどの時期にいくら融資を依頼するかが判明します。この融資資金の必要性については具体的な財務計算データを見れば理解してもらえるでしょう。

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