儲かっていても、資金繰りに悩む中小企業は多くあります。資金繰りを改善するためには、自社の資金繰り悪化の原因を把握し、早急にそれに見合った対策を取ることが必要です。

では、資金繰り悪化の原因は何なのでしょうか。また、どのような対策を取ればよいのでしょうか。

資金繰り悪化の原因と対策は

資金繰り悪化の原因は主に4つあります。

1つ目は、利益の減少です。中小企業で最も多い原因です。売上減少や、売上は伸びていても、それ以上に仕入れや経費にお金がかり、利益が減少することがあります。

2つ目は、売上債権の回収遅れです。業種によって回収サイトは異なりますが、現金取引以外は、回収が遅れるほど、資金繰りに悪影響を及ぼしてしまいます。

3つ目は、在庫の増加です。仕入に支出を伴ったものの、現金化されない状態が長く続くとことや、在庫の陳腐化により、現金が思うように回収されず、資金繰りが悪化します。

4つ目は、過大な設備投資や返済計画に無理のある借入です。設備投資は設備の投下により生み出される利益で投資を回収し、融資返済は企業を経営している中で得られる利益をもとに返済しなければ、資金繰りを急激に悪化させかねません。

では、資金繰りを改善させるためには、どのような対策を取ればよいのでしょうか。中小企業で最も多い、資金繰り悪化の原因である、利益の減少に対しては、売上の増加とコスト削減が必要です。

コスト削減も重要ですが、限界もあるため、利益を残すための売上の増加が重要です。

利益を残すための売上増加

売上は基本的に、客数×客単価で構成されています。

この要素の数字を上げることが必要です。

まず、客数に対しては、起業時は積極的な営業や広告戦略により、増やすことが必要ですが、客単価やサービスの維持との関係を踏まえて考える必要があります。

例えば、A会計事務所では、顧客数を増やすために、B会計事務所から顧客を引き継ぎましたが、赤字企業が多く、客単価が低いにもかかわらず、業務量が増加し、利益率の減少と従業員の負担増加を招いてしまいました。

逆に、イタリアンレストランCは、客数を制限することで利益の確保とサービスの質の維持を両立しています。以前は客数を制限しないで営業していましたが、口コミで客数が増加し、遠方から来ても予約をしていないお客様をお断りすることが出てきてしまったため、完全予約制で1日6組までに限定しました。

余裕のある接客でサービスが維持でき、アルバイトを雇わずに夫婦だけで運営できるようになり、利益も確保しています。次に、客単価に対しては、付加価値によって高単価で提供できるようにする他にも、業種によっては、取引先を成長させて取引額を増やす方法もあります。

看板資材卸売D社の営業マンEさんは、取引先F社に資材をより多く買ってもらうために、利益率の高い商品を提案し、資金に余裕が出てきた段階で、より利益が見込める出力事業の進出のために、機械の導入を提案しました。今では、当初の4倍以上の取引額になっています。

社長の資金投入が必要な時も

資金繰りが上手くいっていても、企業経営には波があり、苦しくなることも多いのが現状です。そのときの手段の1つとして、社長個人の資金を投入することも必要になってきます。

積極的な投資をあきらめないためにも、苦しい状況を乗り越えるためにも、取れる時に適正な役員報酬をしっかり取っておき、一部を別口座に入金してストックしておくなどの備えも重要です。