会社・事業が倒産しかけている時に取るべき施策は経営者側と従業員側双方にあります。

ここでは従業員側の取るべき施策を述べます。
(経営者側の施策こちら⇒会社が倒産しかかっている時に取るべき施策(経営者側)

会社倒産の兆候

会社が倒産しかかっている、と言っても従業員にはその会社の実態がなかなか掴めないのが普通です。しかし会社が最近どうもおかしい、と感ずる前兆は色々あります。

  • 仕事量が最近急に減ってきた。
  • 経理課長の顔つきが厳しくなって、いつもいらいらしている。
  • 社長が不在の時が多く、取引銀行に出向く機会も多い。
  • 取引先への支払いが遅延するようになった。
  • 取引先から支払いの督促を受けるようになった。
  • 給料の遅配が始まった。
  • 給料で手当てが削られた。
  • 残業代がカットされた。
  • ボーナスがゼロになった。
  • 給料の一定額がカットされた。
  • 希望退職者の募集が始まった。
  • リストラが始まった。
  • 有能な社員の退職が続いている。
  • 取引先から掛け取引ではなく現金決済を要求された。
  • その他

これらのような状況が出てきたら会社は大体が遅かれ早かれ倒産への道をたどる場合が多いです。

従業としてとるべき選択は二つ 残るか出るか

そこで従業員としてはどうするか。選択は2つ。残るか出るかのどちらかです。

実は倒産が近い場合の従業員がとるべき施策はあまりありません。ほとんどこの2つに集約されます。

その判断ポイントは、給料が遅配されたりリストラが始まったりする時点でしょう。

希望退職者の募集があれば、これに応募するかどうかです。

この時点で従業員の態度は2分されます。

会社が倒産しようがしまいが、最後まで会社とともに共倒れになっても居続ける、必要とする業務や倒産処理の事務などを積極的に行う。

会社が倒産しそうになっても退職しないで最後まで会社の業務を遂行する従業員は日本の場合は少なくありません。

倒産直前では給料はゼロになり、倒産後会社が無くなった時の自分の身の振り方も当然考えていない人ばかりです。

完全燃焼型の責任感が強い人達で、最後までやり遂げたという充実感が得られます。

こうした人達の再就職は雇用先から好感を持って迎えられる場合が多々あります。

特に営業関係や、技術職の場合は得意先や仕入れ先、同業者などが、よく見ていますので、落ち着いたらぜひうちで働いてほしいという事例も多く見られます。

転職をするならできるだけ早く転職活動をしよう。

給料の遅配を目の前にして、この会社の将来に託すことを危惧し、勤務を断念して退職する人も多いです。

転職情報が溢れるほどあります。できれば早ければ早いほど就活に時間が取れますから有利な転職先が見つかります。

特に預金がなく倒産しそうになって、給料や残業代がカットされたら生活そのものが成立しなくなる人は、即座に転職して生活を維持しなくてはなりません。

働きながら転職活動をするには転職サイトを利用することがおすすめです。できれば上司にバレずに転職活動をする人にも便利です。

転職までに期間に余裕があるのであればリクナビNEXTのスカウト登録しておくと企業からのオファーを待つことができます。

できるだけ早くというならDODAマイナビエージェント等の転職エージェントに依頼して転職先を探してもらうのがいいでしょう。

ただ気をつけなければならないことは、転職予定会社への履歴書には間違っても会社が倒産しそう、などという転職理由を記載してはいけません。面接でも同じです。

当然転職理由は聞かれますからそれ以外の人間関係とか待遇面での不満とか、自分がやりたい仕事がさせてもらえないとかの理由を考えておかねばなりません。

会社が倒産しそうになったら従業員各自が念頭においておかねばならないことがあります。倒産前退職でも、倒産後であっても、離職票と健康保険資格喪失通知書のコピーは必ず会社から発行してもらうことです。

通常退職者には会社が離職票と資格喪失書コピーを一緒にして渡してくれます。これがないと失業給付金の給付がされなくなり、健康保険から国民健康保険への切り替えができませんので保険証がない状態となり病気になった時に非常に困ります。

これら離職票や資格喪失通知書のコピーがなくてもお役所の職権で発行してくれる場合もありますが、かなり長い時間がかかります。実際倒産の混乱している中では、このような従業員にとって大切な書類の発行ができない場合が多く見られます。

もしも倒産が確定したら賃金台帳や給料明細、事業主の印鑑の確保。事業主が年金事務所に対して、健康保険の資格喪失手続きを行う確認を取る。などの対策が必要です。

倒産時の未払い給料及び退職金は地区の労働基準監督署で支払いの手続ができます。

労働福祉事業団が立て替え払いをしてくれます。但し一定額です。手続きには賃金台帳、給料明細書、退職金規定のある就業規則などの書類が必要です。従業員がバラバラで行くのではなく団体で交渉する方が有利です。