補助金と助成金の明確な区分けは実際にはありません。厚生労働省の管轄では助成金が多いですし、中小企業庁管轄では補助金が多くなっています。

補助金、助成金は各省で毎年たくさんの補助、助成事業が採択されていますが、会社経営をするのに役立つ補助、助成事業は厚生労働省、中小企業庁管轄のものになります。さらに地方自治体でも各地域の中小企業育成のための多くの補助、助成事業があります。

補助金と助成金の違いですが、補助金は一般的に公募期間があり予算枠が決まっています。受付期間が比較的に短く、受付期間を過ぎると応募はできません。そして審査があります。

補助金の目的、主旨に沿った応募内容となっているか、事業の具体性に整合性があるかどうかなどが審査されますので応募すれば誰でも採択されるとは限りません。また応募件数が多ければ、採択倍率が高くなります。

助成金は助成金の目的、主旨に適合しているかどうかは当然チェックされますが、要件があっていれば給付されます。受付も1年中行っています。

補助金も助成金も返済不要の資金ですが、全て後払いであることに注意が必要です。

中小企業に役立つ補助金

中小企業や小規模事業者のための補助金は中小企業のHPでまとめて掲載されていますが、その中から特に役に立つと思われる補助事業を上げておきます。

① ものづくり、商業、サービス革新補助金

国内外のニーズに対応したサービスやものづくりの新事業を創出するため、認定支援機関と連携して、革新的な設備投資やサービス、試作の開発を行う中小企業を支援する補助事業です。

申請書は各都道府県地域事務局(中小企業団体中央会)に郵送してください。受付期間がありますので地域事務局に問い合わせください。

補助対象によって異なりますが最高1,000万円(補助率2/3以内)まで補助されます。

毎年採択率は概ね40%前後のようです。申請には認定支援機関の指導が必要です。認定支援機関とは地域の商工会議所、商工会、会計事務所、税理士事務所などです。

採択事例1

Y社:プラスティック成型加工会社、東日本大震災により工場が被害を受け、さらにマーケットが縮小したため、自社ブランドを立ち上げることを決め、将来は自社ブランドを事業の柱にすべく補助申請を行って採択された。補助金は自社ブランド立ち上げのための資金として使用する。

採択事例2

K社:プラスティック精密加工会社、創業から30年経つ加工、販売、研究開発の会社ですが、精密な製品の測定手段を持っていなかったため、補助金を申請して三次元測定機の購入を行うことができた。この機械の導入により測定工程の内製化、納期短縮、早い対応が可能となった。補助金申請には地元中小企業診断士の指導を受けた

採択事例3

M社:まくらの製造販売会社、まくらの性能を向上させるため、まくらの性能に関するデータを収集する目的でIT端末技術の開発を行うことになり。この資金の補助を申請した。地元の公的研究機関と連携し、認定支援機関の指導をいただいて採択された。

② 小規模事業者持続化補助金

小規模事業者が商工会議所、商工会と一体となって販路開拓した取り組みの費用にたいして補助されます。50万円から100万円が給付されます。

採択事例は大変多く、地元商工会議所、商工会の指導により、経営計画を作ることから始まり、この計画作成の過程で、数多くの売り上げ拡大や高い付加価値の商品の開発などのプランが出てきます。この補助金はこうした活動のための資金の補助として使われます。

③ 創業補助金(地域需要創出型等起業、創業促進補助金)

女性や若者などが地域での起業や後継者の新分野への挑戦を支援する補助金です。料理人や職人が独り立ちして自分のお店を持つため地域の認定支援機関(商工会議所、商工会)などと相談、指導を受けながら申請書の作成やコンセプトの作成などを行います。

④ 創業、第二創業促進補助金

新たな需要や雇用の創出等を促し、わが国経済の活性化させることを目的とし、新たな創業(第二創業を含む)を行うものに対してその創業に要する費用を補助する。とあります。

最高200万円(補助率2/3以下)。事業承継を契機として、既存事業を廃止して業態変換をする時にかかる費用については最高1,000万円(補助率2/3以内)となっています。採択率は概ね34%ほどです。

以上は比較的よく使用されている補助金制度です。これらの他にも非常に多くの補助金制度があります。会社の経営に役立つ補助金も、目的に応じて色々あります。中小企業庁や厚生労働省の補助金、助成金に関する案内もHPで詳しく掲載されています。

また地区の商工会議所や商工会などでは、中小企業者や小規模事業者からの補助金、助成金の相談や指導などを行っていますから出かけてみてください。地方自治体の補助金、助成金制度も見落としがないようにしたいものです。