資金繰りの改善や売上・利益拡大のための経営改善はしたいが、専門家に頼む金銭的な余裕はない、またはそのお金を他に使った方が良いと考える中小企業は多いです。

そんな中小企業に利用してもらいたい制度があります。経営改善計画策定支援事業による、補助金を使ってできる経営改善です。

経営改善計画策定支援事業とは

経営改善計画策定支援事業(以下支援事業と言います)とは、中小企業が税理士や中小企業診断士などの専門家(経営革新等支援機関として認定されている専門家に限ります)とともに経営改善計画を策定し、金融機関からその計画の妥当性が認められ、金融支援(借入の条件変更、借換、借入金の一本化、リスケジュール、新規融資など)を受けることができた場合、専門家に支払う費用の2/3(最大200万円まで)を国が補助するものです。

大阪商工会議所は、支援事業の受付窓口として、大阪府経営改善支援センターを大阪商工会議所内に設置しています。

参考:大阪府経営改善支援センター

支援事業の利用対象者は以下の4つの条件をすべて満たす企業です。

1つ目は、借入金の返済で資金繰りが厳しいなどの、財務上の問題があることです。

2つ目は、自力で経営改善計画を策定するのは難しい企業であり、専門家(経営革新等支援機関に限ります)の支援を受けることです。

3つ目は、金融機関の協力が得られ、借入の条件変更などの金融支援を受けることが、支援事業の利用申請の時には見込まれており、その後実際に金融支援を受けたことです。

4つ目は、原則として大阪府内の中小企業・小規模事業者であることです。

助成金支払決定までの5つのステップ

支払決定までには、5つのステップがあります。

ステップ1では、経営改善支援について専門家に相談します。経営革新等支援機関に認定されている、顧問税理士や中小企業診断士などの専門家に、どのように経営改善したいのか、どのような金融支援を受けたいのか、または経営改善したいがどうすればよいのかなどを相談します。この際に、着手金や成功報酬などの専門家に支払うことになるお金について確認しておきます。

ステップ2では、専門家の同席のもと、金融支援を受けたい金融機関と事前協議を行い、協力を求めます。この時点で、大まかな経営改善案と必要な金融支援を提示することによって、金融機関に計画が認められず、結果的に金融支援を受けられなくなるリスクを避けることができます。また、取引のある他の金融機関にも、支援事業を利用して経営改善することを伝えておきます。

ステップ3では、専門家が利用申請書を提出します。

ステップ4では、専門家とともに経営改善計画を策定します。専門家としっかり打ち合わせを行い、現状の課題から、計画の基本方針や改善目標を練り上げ、数字に落とし込み、専門家が計画書という形にまとめます。数字の部分については、必要に応じて金融機関と調整しながら、実現可能な計画を策定します。

ステップ5では、計画策定に関わる代金を専門家に支払った後、専門家が経営改善計画と支払申請書を提出します。申請が認められると、かかった費用の2/3が国から支払われます。

支払決定後もモニタリングが必要

支援事業では、経営改善計画策定後3年間のモニタリングを実施することが義務付けられています。

専門家の指導のもと、四半期に1回など定期的に金融支援を実行した金融機関と計画の達成状況を確認し、適宜計画の見直しを行います。モニタリングでは、社長が自分の言葉で状況を説明できるように、専門家と事前に打ち合わせを行います。また、取引のある他の金融機関にも、定期的に状況を報告します。

モニタリングを実施するごとに、専門家はモニタリング報告書を提出します。モニタリングの費用も補助対象なので、計画策定費用と合わせて、上限の200万円を超えていない分は、申請書を提出して申請が認められると、かかった費用の2/3が国から支払われます。

どのような企業が利用するのか

実際にどのような金融支援を受ける場合に利用されているのでしょうか。事例1社目のA社は、過去の設備投資に伴う融資の金額が大きかったため、借入金の返済が大きく、資金繰りが厳しい状況でした。

経営改善計画を策定した上で、返済条件の見直しや新規借入などの金融支援を受けるために、支援事業を利用しました。事例2社目のB社は、黒字ではあるが、店舗の老朽化もあり、業況が良くないため、既存の借入金返済が厳しくなるおそれがありました。

そこで、売上・利益を増加させるための設備投資資金の融資を受ける手段として、支援事業を利用しました。支援事業の利用には、手間と時間はかかりますが、資金的に余裕がない中小企業においても、コストを抑えて経営改善に取り組むことができます。

支援事業を、経営改善に取り組むきっかけとして利用し、状況に応じた見直しはしつつも、3年や5年先を見据えた本質的な経営改善に取り組むことが重要です。

大阪府経営改善支援センターの補助金の具体的な申請方法についてはこちら(ERY総合会計事務所)