国内の中小企業、小規模事業者の経営に大きな利益をもたらす中小企業庁の経営改善計画策定支援事業ですが、同時に認定支援機関にも顧客の増加などで経営の安定化に繋がっています。

さらに、この事業において重要な役割を持つ金融機関にも大きなメリットがあります。

本制度は既に全国で6,000社に及ぶ企業で使用されています。新規融資のために経営改善計画策定において中小企業、小規模事業者だけで作ることは高いハードルでありました。また銀行で要求される経営改善計画の要求レベルも水準が高く企業のみでの作成も困難でした。

こうした状況を改善していこうとするのがこの制度の主旨であります。

事業者のメリット 経営改善計画策定にかかる費用の補助

借入金が多く、資金繰りに困っている中小企業、小規模事業者にとって経営改善計画策定は大きな困難が伴います。この計画策定に関して専門家に事業の分析をしてもらい事業計画を立てることが可能となりました。

専門家(税理士、公認会計士、中小企業診断士など認定支援機関)に事業者が依頼するとかなり高額なコンサルタント料が必要となりますがこの費用を国が総額の2/3(上限200万円)を補助してくれることになったわけです。

さらに事業計画の策定指導だけでなく、計画実行途中におけるモニタリング(計画実行具合のチェック、計画と乖離しておればその対策)も含まれています。従って事業者は費用の1/3を自己負担するだけで計画の策定ができます。

金融支援が受けられる

経営改善計画の審査(経営改善支援センターによる)が通れば借入金の条件変更(金利の減免、利息の支払い猶予、元金の支払い猶予、DDS、債権放棄など)や借換融資(借入期間の延長など)、債務の一本化、そして新規融資などの金融支援が受けられます。

こうした金融支援により資金繰りが改善して企業の再生が可能となります。

日本政策金融公庫などの制度が使用できる

リスケ(借金の返済計画の変更のこと)までは必要なく、追加借り入れでしのげる場合、貸出金利について優遇が受けられる支援機関の制度があります。例えば次の制度など。

  • 経営力強化保証制度・・信用保証料が0.2%減免される。
  • 中小企業経営力強化資金・・日本政策金融公庫が行う低利融資。
  • 経営支援型セーフティーネット貸付・・円高、デフレの影響を受けて、資金繰りに困難をきたしている中小企業、小規模事業者に対して、日本政策金融公庫が行う低利融資制度

認定支援機関のメリット

税理士事務所、会計事務所、弁護士事務所、中小企業診断士事務所、金融機関、などが中小企業庁の認定支援機関の認定を受けると、中小企業庁の経営改善計画策定支援事業の制度の中核をなす認定支援機関として登録され、中小企業や小規模事業者の金融支援に結び付く経営改善計画の策定が事業者より依頼されることになります。

こうした事業者の経営改善計画の助言、策定を通じて、新規の顧客が増加して事務所の経営の安定化につながり、信用力のUPに繋がります。

さらに経営改善計画の策定は国の制度であるため、高額な指導料の2/3が国から助成されます。1/3は依頼者の中小企業、小規模事業者から支払われます。そのため高度な経営改善計画の策定及びモニタリングを行うことができ、事務所のレベルアップに貢献します。

金融機関のメリット

経営改善計画策定支援事業の制度使用の申請は申請者(事業者)、認定支援機関及び金融機関が連名で経営改善支援センターに申請書を提出します。

金融機関は事業者の資金繰り改善のため各種の金融支援を行うことになります(借入金の条件変更、借換など)が一方いくつかのメリットもあります。

融資先の企業の現状と将来が明確となり、融資方針が決め易くなりますし、融資先が外部専門家(認定支援機関)のコンサルティングを受けることにより高度な企業分析が可能となり、またモニタリングで計画実行途中の企業の状況が正確に知ることができ、安心して融資支援ができます。

金融機関は当然のことながら、返済をストップさせることや返済期間を延長することは本意ではありません。通常金融機関は融資先を正常先、要注意先、破たん懸念先などと格付けしています。

格付けが下がると倒産に備えて引当金を積まなければなりません。引当金が増加すれば利益が減少し、金融機関の業績に影響します。ですから本来は一時的に返済を止めないと資金が回らない融資先であっても、金融機関としてはとにかく返済を依頼するしか方法がないのです。

そこで金融機関のメリットとして、返済が止まっている(リスケ状態)状態でも認定支援機関が再生計画を立ててもらえば、立てている途中の段階の状態であれば、金融機関は格付けを変更しないでよいケースが出てきています。

事業者も認定支援機関の指導支援を受けることで返済ストップを含めた金融支援に関する銀行交渉が格段にし易くなっています。

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