例えば資産を購入したとします。領収書には100万円とあります。経営者が中小企業者の場合は少額減価償却資産の減価償却という措置が適用されます。

少額減価償却資産の減価償却とはどのようなものなのでしょうか?普通の減価償却とどのようにちがうのでしょうか?それではみていきましょう。

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1.少額減価償却資産の減価償却とは?

会社が減価償却資産を購入した場合、その金額が30万円未満である場合に適用されるものです。本来減価償却というのは、取得価額が30万円であったとしても、その金額を購入年度に損金算入することはできません。

ですがある一定の条件を満たすと減価償却資産が30万円未満の場合は、その資産の取得価額の全額が購入年度に損金算入でき節税になります。ではある一定の条件についてみていきましょう。

1-1.中小企業者で青色申告をしていること

青色申告は必須なようです。では中小企業者とは具体的にどんな企業なのでしょうか?それは資本金が1億円以下であること。1億円である場合は中小企業者になります。そしてさらに制限があります。

資本金1億円以上の大法人にその企業の発行済み株式総数の2分の1以上取得されていないこと。または複数の資本金1億円超えの大法人に発行済み株式総数の3分の2以上を取得されていないこと。

資本金5億円以上の大企業による完全支配関係がないこと。これらを満たせば中小企業者になります。

1-2.取得した資産は10万円以上30万円未満でないといけない

取得した資産が8万円の場合は適用されません。ですが、10万円未満の資産になると少額(10万円未満)の減価償却資産の減価償却が適用されて実際はこの場合も全額が取得年度に損金算入となります。

つまり取得価額が10万円未満の場合は、大法人でも全額が取得年度に全額が損金算入されるということになります。

2.100万円の資産を購入して分割して30万円にした場合は?

100万円の資産を取得したとします。領収書を30万ずつに分割してもらった場合は全額損金算入になるのでしょうか?

この場合はNGです。

資産の価額が1個あたりの取得価額が30万円未満の場合に限って、全額が取得年度に損金算入になるからです。ですが次に紹介する場合は全額が損金算入になります。

3.300万までは全額損金算入となる!

1台あたり30万円未満の資産であれば300万円までは全額損金算入となります。

例えば1台数あたり10万円の資産の場合は30台までは全額損金算入となります。では35台購入した場合はどうなるのでしょうか?

16台目は10万円未満の減価償却資産を購入した場合の取得年度の全額損金算入が適用されます。そして17台目からは本来の減価償却、つまり毎年一定額のみが損金算入されていきます。

10万円未満の減価償却資産を購入した場合の取得年度の全額損金算入については、耐用年数が1年未満の減価償却資産についても適用があります。

たとえ10万円を超えていたとしても耐用年数が1年未満であるなら、全額が取得年度に全額損金算入されるということになります。

4.20万円未満の資産を購入したら?

もう一つあります。大法人でも中小企業者でも、あらゆる法人に適用があるものです。20万円未満の資産を購入した場合は、本来の耐用年数という期間で損金化するのではなく、3年という短い期間で損金に算入できるというものです。

耐用年数が長い資産であれば、その分毎年の損金という償却費が少額になり節税になりません。

ですがこの制度を使うと3年で全額が減価償却でき節税にもなったりします。ですが本来の減価償却のほうが1年あたりの償却額が大きい場合もありますので、どちらを採用するのかということは、実際に減価償却費を計算して、損金できる額の多い方を選択するということになります。

5.常に損金が多くなるように減価償却をする必要がある

30万未満の資産を購入した場合に、一番節税になるのが30万未満の減価償却資産の一括償却です。この場合は、中小企業者であること、300万円が限度額ということになります。

このとき、300万を超えてしまった場合でかつ、この資産の他に20万円未満の資産を購入した場合は、20万円未満の資産については3年で償却できる方法または本来の減価償却方法のいづれかを選択することです。ですが、10万円未満の場合は全額が一括で損金算入するべきです。

まとめ

いかがでしょうか?減価償却資産は30万円未満、20万円未満、10万円未満と損金できる額が違ってきますので、購入した資産がいくらなのかという事や、事業主様が中小企業者であるかなどが条件にみあえば、どんどん節税のための減価償却をしていくことがポイントです。

より節税効果の高い償却方法については節税に強い税理士に相談するようにしましょう。