もし遠い親戚から財産をもらいうけたとします。この財産には税金がかかります。贈与税というものです。贈与税というのは相続税の一部です。贈与税にも相続税にも税率があります。相続税の税率のほうが、贈与税の税率よりも低くなっています。相続税法では贈与としてもらいうけた財産を相続財産とし、相続税率を適用できるという制度があります。これを相続時精算課税といいます。

そうするとすべての受贈者が税率の低い相続時精算課税を適用したくなりますよね。ですが、相続時精算課税というのは贈与税を相続税に変えるものですから、受贈者は将来の相続人でなければいけません。遠い親戚の場合は財産を貰い受けた人はその親戚の相続人になることはできないので、贈与財産として贈与税の課税の適用をうけるしかありません。

相続人の判定

配偶者は必ず相続人となります。相続人には順位というものがあります。配偶者は順位関係なしで相続人になれます。ですから「配偶者 と○○」ということになります。この○○部分について順位があるということになります。親を子よりも大事にしている人でも遺言書がない場合は相続人には子を優先して選ばれます。

第一順位は子供です。子供が既に死亡している場合はその孫ということになります。孫に財産を与えるというのではなく、子の代理人としての孫ということになります。第2順位に親がきます。子供が全員いないときは親が相続人になります。

ただし、旦那様、奥様の親ではなく、血縁関係のある自分の親ということになります。また自分の親の親つまり祖父母がいるときは、親を優先して相続人とします。おばあちゃん子でも遺言書がない限り、親を優先して相続人にしなければいけません。親が死亡している場合で祖父母がいる場合は、親の代わりとして祖父母が相続人となります。

第3順位が兄弟姉妹となります。例え姉妹が仲良しであっても遺言書を用意しない場合は、子→親→兄弟の順番で相続人は決められます。子が死亡していたのなら親、親が死亡なら姉妹ということになります。注意したいのは内縁の妻です。内縁の妻は遺言書がない限り相続人にはなれません。また、生きていても相続を放棄した人がいる場合はその人は順位争いからはずします。

相続時精算課税の適用者:平成27年以後

相続時精算課税適用者は、相続人でなければならないことはわかりました。ですが、すべての相続人が相続時精算課税適用者であるということにはなりません。

そして注意するのが贈与者はまだ生きているということです。まだ若い40歳のお父さんから贈与をうけたとしても、相続時精算課税の適用を受ける財産とすることはできません。贈与者の年齢は贈与をした日の1月1日において、60歳以上であることが条件です。相続人には順位がありました。60歳以上の人は孫がいる場合があります。

また、子も年齢を重ねていることから子が親よりも先に死んでいるという場合もあります。ですから、財産を貰い受けた人を受贈者といいますが、受贈者は60歳以上の贈与者にとって子、または孫という条件となります。受贈者は子または孫です。そして、孫といえども、5歳の孫というわけではありません。孫や子にも年齢の条件があります。

ともに財産をもらいうけた日の1月1日において、20歳以上であることが条件です。平成27年よりも前は親と子の間でだけ相続時精算課税が適用されていました。ですが、平成27年以後は相続時精算課税適用者は親子にかぎらず、贈与者は親と祖父母、受贈者は子と孫という風に拡大されたのです。

相続時精算課税適用財産適用者は一生続けることになる

一旦、相続時精算課税適用者になったのなら、翌年以後もその贈与者からもらいうけた贈与財産については相続時精算課税適用財産として贈与税が課税されることになります。今年は相続時精算課税適用者、来年は贈与税の適用者という風に変更することはできません。親が生きている孫の場合でおじい様から贈与を受けた場合は、将来相続人となる可能性は少ないので、この場合は税率がより低い相続税の課税対象となる相続時精算課税適用者となったほうが得ということになります。

また、将来において相続財産がないまたは、少ない場合も相続時精算課税適用者となったほうが得となります。もらいうけた相続財産から基礎控除額をひいた後の残高つまり課税遺産額0となる場合は、もらい受けた贈与財産を加算しても0となる可能性が高いからです。その場合、相続税は0円となり、支払った贈与税が還付されるということになるからです。

相続時精算課税適用制度は、税率の低い相続税率を贈与財産にもかかわらず適用できるというメリットがあるものの、すべての財産受贈者が適用できるという訳ではなさそうです。