会社の中には色々な目的を持った部署がありますが、例えば機械設計課に配属されれば、基本的に図面が読める、書ける、がスキルの条件となります。経理課も同様に簿記は基本的に知っていないと、経理課の中でやりとりする情報が理解できません。そして経理マンと言われるためには決算書くらいは理解できなくてはなりません。

しかし新人または他の部署からの転属者で経理が全く分からない人もいます。知らなければ勉強しなくてはなりません。一から勉強しましょう。日本の会社にいいところです。アメリカではこのように経理に全く疎い人が経理課に配属されることはあり得ません。

日商簿記1級への道

日商簿記1級は税理士試験受験資格が与えられる、魅力的な試験です。2016年度の合格率は10.8%でした。平日は2時間、休日は朝から晩まで休みなしの勉強を1年続けて、ようやく合格できるレベルです。計画的に2年、5年くらいかけて勉強している人もいます。

税理士試験への挑戦を考えている人は当然、挑戦しなければなりません。

しかし、会社の中では1級でなければならない仕事は何もありません。2級3級程度で十分です。

大企業の経理課には、公認会計士、税理士、簿記1級の人はいっぱいいます。資格があっても資格手当はありません、他の人より給料が高いわけでもありません。

では、何故多くの経理マンが挑戦するのか。簿記1級の資格を取ることで目標が完結してしまっている人がいます。そうではなく、簿記1級を取ることにより、会計への深い知識、理解力が増します。それは財務会計から管理会計への移行をスムースに行えることになります。企業のマネージメントに直接関わることができる、総合的なスキルであるからです。

日商簿記は2級でも合格率24.3%、3級で33%です。経理課新人は厳しいですが、仕事をやりながらでもいいですから簿記2級は取るようにしましょう。

公式テキストは東京商工会議所で確認してください。

税務会計検定

この検定試験は経理課の中にあって、やがては税務申告を自らの手で行うことができるようにするため、あるいは税理士試験への挑戦のスキルアップ試験です。税務に特化した資格試験のため日商簿記のようなメジャーな資格試験ではありませんが、経理課のメインの仕事となる決算業務の遂行には大きく役立つ資格です。

あまり難しい試験ではありません。基本的なテキストを勉強すれば誰でも合格できます。能力検定は3つあります。それぞれ1,2,3級があります。

消費税法能力検定:昨年度合格者1,162人合格率91.7% 試験内容は、課税標準額の計算、税務控除の計算、地方消費税の計算など他。

所得税法能力検定:昨年度合格者1,570人合格率82.54% 試験内容は、各種所得税の金額計算、事業所得の金額計算と会計処理、給与所得の金額の計算など他。

法人税法能力検定:昨年度合格者1,233人合格率76,06% 試験内容は、益金の額と損金の額、法人の会計処理、青色申告制度、法令、基本原則などの文章問題など他。

公式テキスト、公式過去問題集及び申し込みは、社団法人全国経理教育協会(03-3918-6133)まで問合せて下さい。受験申込はNETでも可能です。

この他多くの資格があります

  • 税理士、行政書士、司法書士、社会保険労務士
  • 公認会計士
  • 中小企業診断士
  • 情報処理技術者試験
  • ビジネス実務法務検定
  • ファイナンシャルプランナー
  • 建設業経理事務士  他

これらは全て経理課に関係するスキルです。経理課に勤務しながらではとても手の届かない資格もありますが、経理課での勤務経験が重要なベースとなります。

新人経理マンにおすすめの本

とにかく経理に関係した書籍は非常にたくさんあります。毎年多くの新しい本が出版されています。

どれでもいいですが、できれば2~3冊に絞って勉強されることをおすすめします。目標が定まったら、そのジャンルの公式テキストで勉強しましょう。

参考までにいくつか紹介します。

経理部長が新人のために書いた経理がわかる本 近藤仁著 日本実業出版社

超高速会計勉強法 国貞克則著 PHP

儲けるための会計 田中靖浩著 日本経済新聞社

会計の基本 岩谷誠治著 日本実業出版社

わかる、使える経営分析の基本 永野良佑著 PHP

まとめ

経理課に配属されて、どんな経理マンになりたいか、あるいは経理課の体験のその先にある目標は何か、によって経理課での仕事に対する心構えが違ってきます。この段階でのビジネスでのライフプランは描きにくいでしょうが、なるべく早く将来展望を描く必要があります。

経理課は往々にして単なる帳簿付けマンとして埋没する危険性があります。そのためには若いうちに資格試験に挑戦することは、自分のモチベーションを高く維持するためには大変役立つ方法です。

社内で役立つ人間に、また組織を統括する人間になるためには、経理の財務、管理に対して深い知識が不可欠です。