1年の間に支払った社会保険料は所得税の所得控除額から控除できます。社会保険料とはどのような種類があるのでしょうか?金額を書くときの注意点や、申告のときに気を付ける事などについてみていきましょう。

1.何が社会保険料の対象となるのか?

社会保険料の対象となるものは以下の通りです。

  • 国民年金、厚生年金それぞれの保険料、国民年金基金、厚生年金基金それぞれの掛け金
  • 国民健康保険の保険料
  • 国民健康保険の保険料
  • 雇用保険の保険料
  • 介護保険の保険料
  • 後期高齢者医療制度の保険料

2.健康保険は3種類

①国民健康保険
保険者は市町村です。出産手当金や傷病手当金がうけれます。前年の所得をもとに保険料は算出されます。自営業者や退職者が対象です。

②政府管掌健康保険
保険者は全国健康保険協会です。対象者は会社員です。会社が半分保険料を負担してくれます。全国一律、どこでも保険料が同じ額です。

③健康保険組合管掌健康保険
保険者は健康保険組合です。対象者は大手会社員です。会社が半分保険料を負担してくれます。政府管掌健康保険とどちらがお得なのかというと様々です。儲かっている会社なら、保険料負担も安くなっています。ですが赤字企業なら保険料が高い会社もあります。また扶養基準が政府管掌保険よりも厳しい会社が多いようです。扶養親族を減らして保険料を下げないようにするためです。

3.同一生計親族の分も支払っている場合は、その額も社会保険料控除として所得控除にできる

遠くに下宿している子供の社会保険料や施設で介護をうけている親の保険料を支払っている等の場合は、納税者本人の分に加えて、同一生計親族の分も所得控除額とできます。

3-1所得控除で同一生計親族の所得の制限がある場合とない場合

①同一生計親族の所得に制限がある場合
雑損控除:同一生計親族の所得が38万以下、収入が103万以下:収入から控除額をひいた残額が所得です。収入が180万以下の人は最低控除額の65万が収入から控除される額となります。ですから所得が38万となるには収入は103万以下でないといけないということになります。

  • 障害者控除:所得が38万以下でないといけない。
  • 寡婦控除:子には所得制限はありませんが、親は所得が38万でないといけません。
  • 勤労学生控除:合計所得金額が65万、収入が115万以下であるとともに、給与所得がある人は給与所得以外の所得の金額が10万以下(収入は170万以下)でないといけません。
  • 配偶者控除:所得38万以下(収入103万以下)でないといけません。
  • 配偶者特別控除:所得が38万以上76万円以下でないといけません。
  • 扶養控除:所得が38万以下でないといけません。

4.納税通知書は実際納付額ではない

納期限がきていても、実際に支払っていない分は社会保険料控除の対象にすることはできません。国民健康保険をみてみましょう。秋に国民健康保険税通知書というものが送付されてきます。このとき、第1期から第9期(市町村によって違う場合があります。)までが記されています。このとき表紙には国民健康保険税納税通知書と記入されています。納税通知書を納付済み通知書と間違えやすいですよね。そして2枚目には合計欄に保険料の合計額が計上されています。確定申告のとき慌ててこの額を記入してしまいがちです。こんなときは注意しましょう。

4-1納税通知書は納付済み通知書とは違う

今年の国民健康保険料がいくら払ったのかを知る場合は、翌年の1月末くらいに今年中に実際に納めた国民健康保険料の通知書がハガキで送付されてきます。この額が実際に今年に納付した国民健康保険料となります。この額には、納税通知書内の今年分の合計額よりも少ない場合があります。この場合は未納の額が発生しているという目安にもなります。

いかがでしょうか?社会保険料の金額を社会保険料控除欄に記入するときには、実際の納付額を記入するようにしましょう。

<国税庁>https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1130.htm