相続税額は、どうやって算出されているのでしょうか?相続税では遺産課税方式により相続人が得た財産によって相続税を課税する方式になっています。ですが、各相続人が取得した財産に超過累進税率のような財産が増加するほど税率が上昇するような形で課税したとすると、相続人の間で、財産を均等に分割し、税額を減少させることができてしまいます。

また、財産分与などで、土地などの相続税評価額が高い財産を取得した場合、その人が税金を沢山負担しないといけないという問題もあります。

1.相続税は法定相続分課税方式

各相続人が取得した財産を合計した課税価格の合計額を基礎に相続税額を算出していきます。この額から遺産に係る基礎控除額を控除します。課税価格の合計額 - 3000万円+600万円×法定相続人数の額が課税価格の合計額から控除されます。つまり、相続財産の合計額が、この額よりも少ない場合は、相続税は課税されないということになります。

2.課税遺産額にダイレクトに税率を乗じない

相続税額は、課税標準にダイレクトに税率は乗じません。法定相続人が受ける法定相続分という割合で課税遺産額をもう一度分けます。このときの法定相続分という按分割合で課税遺産額を按分するので、法定相続分課税方式と呼ばれています。そして法定相続分で按分された個々の課税財産に税率を乗じます。ですが、まだこの税額が各相続人の相続税とはなりません。このままでは、法定相続分での相続税額となってしまうからです。実際に各々が相続した財産に比例した税額を計算しないといけません。

3.相続税の総額を各相続人が実際にもらい受けた財産で按分する

法定相続人と相続人の違いは、法定相続人は相続税を計算するための架空の人数で、相続人は実際に財産を相続した人数です。具体的には、法定相続人には相続を放棄した人も入っています。被相続人が相続した財産の合計額を法定相続分で按分したものに、税率を乗じた各法定相続人の税額を合計した額のことを相続税の総額といいます。相続税の総額を今度は、実際に相続人が取得した財産の額で按分します。その各相続人に実際の財産の額で相続税の総額が按分された額が各相続人の相続税の額ということになります。

4.相続税では税額を20%加算される人がいる

相続人となる人は、配偶者または被相続人の第一親等である子または親である場合がほとんどです。配偶者と第一親等である子以外の人が相続人となり財産を取得した場合はどうなるのでしょうか?例えば孫が財産をおじいちゃんから遺言で得たとします。本来遺言がなければ、その財産は子に相続されていたのです。

ですが遺言があったために、子に渡らずに孫に財産が渡ってしまいました。その結果相続税では相続を1回スキップしたことになります。また、配偶者と子は被相続人が死亡したことにより、被相続人が稼いでくれていた財産の収入がなくなるということになります。それに対して配偶者と子以外の人が財産を遺言などで取得した場合、財産の収入も今後もなくならない上に、財産を得たということになります。担税力があると考えられます。

ですから、配偶者や子以外の人が遺言や代襲相続などで財産を得た場合は、遺産取得税方式で計算された各人の相続税において、その人の相続税については20%加算されて納付税額とされるというしくみになっています。ですが子が相続時に死亡している場合に、代襲相続人として孫が相続人と成ったケースについては、孫は相続税額の20%の加算はされません。

5.相続の放棄をしていても遺言による財産を得れる

相続の放棄をしている人というのは、財産の分割のメンバーになる事を放棄した人ということになります。その人に被相続人から遺言があったとします。相続は放棄しているものの、遺言を受けることはできるのです。このとき、相続を放棄した人で遺言による財産をもらい受けた人のことを、相続人ではなく、受遺者と呼びます。

6.代襲相続人で相続を放棄している孫

被相続人が死亡したとき、子も死亡していたとします。孫が二人いて、1人は相続を放棄していたとします。ですが被相続人は遺言を準備しており、遺言による財産についてだけは相続を放棄した孫は受け取ったとします。このとき、相続を放棄せずに、子の代襲相続人となった孫の相続税額は20%加算されません。

ですが相続を放棄している孫については、相続を放棄した地点で、子の代襲相続人ではなくなっています。この状況で遺言による財産だけをもらい受けたことになるので、代襲相続人でない孫ということになり相続人でなく受遺者となった孫には相続税の20%が加算された額が、相続税の額に加算されることになります。相続を放棄しないで勝つ、遺言による財産をもらいうけてもそれは相続人として遺言も受けたことになるので、相続を放棄しなかった孫には相続税の20%加算の適用はありません。

まとめ

相続税の額は法定相続分課税方式により算定されています。課税価格の総額を法定相続分で按分し、そこに税率を乗じ、その額を合計した額が相続税の総額と呼ばれています。相続税の総額を算出する方式が法定相続分課税方式だといえます。その後相続税の総額は各相続人の実際に相続した財産で按分されその額が各相続人の相続税の額となります。

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