被相続人に生命保険金がかけられ、生命保険会社から保険金を受け取った場合、被相続人から直接財産として受け取ったものではありません。生命保険金は間接的に被相続人から相続をうけたとみなされて相続税が課税されます。

被相続人の仕事上の死亡による退職金も会社から遺族に渡されます。退職金も間接的な被相続人からの相続とみなされて相続税が課税されます。生命保険金と退職手当金には非課税金額があります。それではみていきましょう。

1.受け取った生命保険金が相続ではなく遺贈になる場合

受け取った生命保険金のうち、被相続人が保険料を支払った分だけが相続税課税の対象になります。ですから、妻が被相続人である夫の生命保険金を受け取った場合で保険料を3分の1が夫が支払い、3分の1が妻が支払い、3分の1が子供が支払っていたとします。

この場合生命保険金が900万だとすると、900万を受け取った妻にとっては300万が相続税、300万が子供から妻への贈与税、300万が妻に所得税が課税されます。贈与税の申告は贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までとなっています。所得税は2月16日から3月15日までと成っています。

相続税は相続のあった日から10月以内にしなければならないとなっています。生命保険金を相続人以外の人が遺言などによって受け取った場合は、その人は遺贈を受けたことになるので相続税の課税対象となります。退職手当金も同様に相続人以外の人が遺言などにより受けた場合は遺贈となり、相続税の課税対象になります。

2.生命保険金と退職手当金のうち非課税となる部分の額

生命保険金を受け取るとすべてに課税してしまうと、税金で生活費が少なくなるということになります。そこで相続税では非課税金額を定めています。非課税金額は法定相続人の数に500万円を乗じた額です。この額よりも生命保険金が少ない場合は、すべての生命保険金が非課税となります。

ですが、この額よりも受け取った生命保険金の方が多い場合は500万に法定相続人を乗じた数の額が非課税額となります。このとき、生命保険金を妻と子供が受け取った場合は、生命保険金全額のうち、受け取った保険金の額部分の非課税額のみが、その相続人の非課税額となります。

妻と子供が生命保険金2,000万を受け取ったとしましょう。非課税限度額は500万 × 2人→1,000万 1,000万≦2,000万 この場合非課税限度額1,000万が非課税額となります。そして、妻と子が生命保険金を半分ずつ受け取っています。1,000万 乗じる 按分割合:分母2,000万 分子:1,000万(妻、子ともに)なので、それぞれ500万が非課税額となります。退職手当金も同様に計算されます。非課税限度額の計算の500万 × 法定相続人数は同じです。

3.法定相続人と相続人

相続人と法定相続人の違いは法定相続人は相続税額を課税逃れに利用されないために定められた人数のことです。相続人には順位があります。配偶者はどんな場合でも常に相続人となれます。配偶者以外の相続人には順位があります。1位が子です。子と配偶者で相続が行われます。

もし被相続人に子供がいない場合は親と配偶者となるので2位が直系尊属となります。被相続人に子も直系尊属もいない場合は、被相続人の兄弟姉妹と配偶者ということになります。兄弟姉妹は第3位ということになります。相続では相続を放棄する人もいます。相続人は配偶者と○○(子または直系尊属または兄弟姉妹)でした。配偶者と子供5人が相続人だったとします。相続人は6人となります。

このとき子の一人が相続を放棄したとします。相続人は5人に減りました。相続税では生命保険金の非課税の計算でもそうでしたが、課税所得を減らす要素の計算があります。このとき、相続人の数で計算していたのでは、相続人が6人で非課税額を計算するよりも5人で非課税額を計算する方が少なくなってしまい、納税者に不利になってしまいます。

そこで法定相続人が出てきます。法定相続人は相続の放棄があったとしてもなかったものとして、相続人をカウントする人数のことです。生命保険金の非課税額である500万 × 法定相続人数となります。もし、この部分が法定相続人ではなく、相続人数としたのなら、放棄した子1人を引いて5人となってしまいますので、課税価格が大きくなり納税者に不利になります。

いかがでしょうか?生命保険金を受け取った場合は相続税(相続・遺贈)、贈与税、所得税のいづれが課税されるのかということを知ってそれぞれの申告をすることが必要になってきます。

http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4114.htm