相続税が2016年1月1日から増税となりました

相続税改正により相続税の対象者が拡大しました。具体的には相続税の基礎控除額が縮小しました。そのため、今まで課税対象にならなかった人達も課税対象となる可能性が出てきたわけです。

改正前 基礎控除額=5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

法定相続人が妻1人、子供1人の場合は、相続財産7,000万円まで課税されません。

改正後 基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人が上記と同じであれば基礎控除額は4,200万円となり、非課税粋がぐっと縮小したことになります。

こうした税制の改正により、相続税に無関心であった人達も、他人事とは言っておれず、何らかの節税対策を考えなくてはならなくなりました。

生命保険が相続税節税の対象となる理由

所有する財産で生命保険に加入すると、生命保険の保険金が全額損金扱いとなるためです。

そのポイントは2つあります。これがいわゆる節税テクニックです。

節税テクニック1:相続となる対象の財産から生命保険料を支払う。

保険料は損金扱いとなるから、生命保険に加入すれば相続税の対象となる財産が減少することになります。相続税の対象となる財産が減少しますから相続税の基礎控除額の範囲に入ってくる可能性が高くなり、それが非課税となる、又はたとえ課税対象となっても相続税率が低いところで済む可能性があります。

節税テクニック2:生命保険の受取金の非課税枠を利用

生命保険金(受取金)に相続税が非課税となる金額の枠が設定されていて、非課税となる金額の枠の中にあれば、遺族は非課税で相続財産を受け取れます。遺族が受け取れる生命保険の保険金、非課税分は500万円×相続人の数、です。

つまり、生前に財産のある人が、生命保険に加入して、保険料を払えば、その保険料が損金となって相続することになる財産が減ることになり節税できます。

そして遺族が生命保険金を全て受け取る時に、相続税が非課税となる金額の枠が設定してあるために、その枠内にあれば税金を払わなくてもよい、ということになります。

このように生命保険の加入は2重の節税対策を行うことができます。

生命保険金は納税資金として使える

生命保険金は納税資金として使えるメリットがあります。相続税は相続が始まってから10ヶ月以内に納めること、となっています。手持ちの資金があれば別に問題ありませんが、ない場合は分割納税や物納などの手段を考えなくてはなりません。こんな時に生命保険の死亡保険金が納税資金として役立ちます。

もう1つ保険を使った節税方法 解約返戻金

誰でも使える節税対策ではありませんが、解約返戻金を使用した相続税の節税方法があります。

低解約型保険に加入した場合です。契約者が父、被保険者が子、保険金の受取人が父の場合。

死亡保険金の相続税法上の評価方式は相続開始時の解約返戻金相当額です。

低解約型保険とは、保険料の払い込み期間中は解約返戻金が通常より大幅に低く設定されているのが特徴です。そのため払込期間中の解約返戻金の低い時点で相続が発生すると、保険料と解約返戻金の差額分が相続財産圧縮の対象となります。

この段階で相続財産を圧縮しておいて、相続時に解約しないで、名義を変更して保険金を払い続けて、解約返戻金が最も高い時点で解約すれば、節税した上に、払い込んだ保険料が回収できるメリットがあります。

まとめ

生命保険なら全て相続税の節税対策になるわけではありません。相続税対策が目的ならば、終身保険又は1時払い終身保険(保険料を一括で払う終身保険)がおすすめです。

定期保険や養老保険は期間が限定されていますから、それを過ぎると死亡保険金が支払らわれません。定期付き終身保険もおすすめできません。

また、節税をするためには保険契約者は死亡した人で、保険金の受取人は相続人でなければなりません。つまり契約者は夫、被保険者も夫、保険金の受取人は妻又は子、でなければなりません。

このように相続税の節税テクニックは色々ありますが、それぞれ節税の条件があります。

生前で節税対策を盛り込んだ遺言者の作成は非常に重要です。できればこの段階で税理士やFP(ファイナンシャルプランナー)の指導をぜひ受けていただきたい。

参考記事:もはや鉄板!生命保険を活用して相続税対策をする方法 まとめ