消費税増税は本当にメリットがあるのか?議論百出、侃々諤々

前回「10%消費税増税の前に住宅は購入した方がいいのか?中古住宅は消費税がかからない?」に引き続き、今回も消費税増税について書かせていただきます。

いよいよ2019年10月には消費税が10%になりそうな気配です。

しかし、この増税に関しては色々な分野から様々な意見、反対論、賛成論が出ていて、庶民には非常に分かりにくい論議に見えます。

2014年には消費税5%が8%に増税されました。これで何が起こったのでしょうか。

庶民から見ると一見景気がよくなったように見えるが、我が家の財政は逆に厳しくなっている、収入が増えなくて値上げのラッシュで、とても景気がいいとは感じていません。

大企業は法人税減税などの大恩典のおかげで、利益に内部留保ががっちり貯まりました。

経済アナリストなどの意見も様々で庶民にはさっぱり分かりません。とにかく増税に関する意見が議論百出喧々諤々です。

庶民にとって本当に消費税増税のメリットはあるのか?

各界から出ている意見を少し拾ってみましょう

〇庶民にとって消費税10%の計算のし易さがメリットです。

〇現在25年公的年金に加入しなければ、1ヶ月でも加入が不足していれば、たとえ需給年齢に達していても1円も支給されない。消費税10%になれば10年以上加入すれば加入しただけの年金が受け取ることができる。

〇消費税が2%増えるだけで生活困窮者が一挙に増加する。

〇増税は悪だ。消費税は使い道が決まっていない普通税で、目的が決まっている目的税ではない。にもかかわらず、使い道を社会保障費として限定して使う、というのは嘘言で信用できない。官僚と自民党政治家の悪行です。

〇消費税が上がれば上がるほど輸出企業に莫大な消費税の還付金が入る。経団連の輸出企業が揃って消費税増税を賛成している理由がここにある。

〇社会保障制度の充実といいながら、既に国民年金保険料、厚生年金保険料引き上げ、高齢者医療費負担増、診療報酬引き上げなどが実施されている。

〇低所得者の庶民は少しの納税で多くの保障が得られる。

他にもたくさんありますが、利害関係が真っ向からぶつかっているようで、この収拾は難しそうです。

これらの意見の中には庶民にとってのメリットとなる内容は少ないです。

消費税増税で法人税が減税できる?

消費税が10%に増税されると同時に企業には法人税が減税される、ということが予定されています。

実は法人税減税は今回に限ったものではなく、1989年の消費税3%が導入された時から税率引き下げが行われています。当初40%だったものが、消費税が上る度に減税され今は23.2%になっています。

これがさらに税率10%になると引き下げられようとしています。

この減税によって膨大な国税がこの減税分を負担するために費やされています。

その国税とは消費税です。消費税のかなりの部分が法人税減税分負担で喰われてしまっている、ということです。社会保障費に使う金だ、というのは大ウソだ、という意見もまんざら嘘でもないような気がします。

一方、法人税減税が好景気をもたらすという夢のような意見もあります。

法人税減税という制度は利益の大きい企業ほどメリットも大きいです。赤字の中小企業には何のメリットもありません。

法人税減税―企業の経営が効率化するー利益が多く出るー安定した雇用が生まれるーベースアップが可能―税収が上がるー消費が増えるー企業が活性化するーお金が回り景気がよくなるー豊かな中流社会が出現するー経済成長のスパイラルが実現するー子育て支援のための資金が出るー子供を産みやすい環境となるー少子高齢化が解消する

こんな夢のようなスパイラルは、夢で終わってしまってはいけません。しかし簡単ではなさそうです。

棘の道ですね。我々も覚悟が必要です。

庶民のメリットとしてもう1つ。

増税によって社会保障が充実する(?です)-消費税を財源とするから経済が活性化するー財政が黒字化して国の資金繰りが楽になるー国民に消費税の1部を還付できるようになるー税収が多くなり高度医療の研究費に廻せるようになるー低所得者でも高度な医療が受けやすくなる。

どうですかね、そうなって欲しいと本当に思いますね。

まとめ

消費税10%に増税、軽減税率、法人税減税、輸出企業の恩典、などが同時に行われようとしています。庶民に関係する部分は軽減税率だけです。それも食品に限定。法人税減税に比べたら微々たるものです。

消費税が増税になっても、輸出の多い優良企業は、法人税減税と輸出企業の消費税還付で膨大な利益の積み増しが可能です。

庶民はこれを、指をくわえてみているだけなのでしょうか。理解が全くできない夢の世界の話でしょうか。

※増税のスケジュール
2019年10月消費税10%増税は本当か?消費税増税の今後のスケジュール