有価証券には郵便切手や手形や商品券は含まれるでしょうか?会計上は有価証券扱いになりますが、法人税では有価証券ではなく資産扱いになります。法人税ならではの有価証券の考え方と会計上の考え方との認識のずれがあると損金、益金のそれぞれに計上して調整をすることになります。このとき損金で調整することになると節税ということになりそうです。

1.売買目的外有価証券というその他有価証券の期末評価

法人税法上では、その他有価証券は原価で評価することになっています。これに対して会計上は時価評価しています。法人税では税務上の金額に会計上計上した費用収益を損金益金に修正することになります。ですから時価評価しているその他有価証券を原価評価した額に修正することになります。

1-1.会計上の経理方法を全部純資産直入法を選択していた場合

全部純資産直入法というのは、法人税法上の原価評価と、会計上の時価評価の差額を資産と純資産に計上しておくというものです。つまり費用収益では会計上認識していないということになります。いくら差異があってもその差額は資産と純資産に計上されることになるので、税務上の修正としての損金益金の額は発生しないことになります。

1-2.会計上の経理方法が部分純資産直入法であった場合

その他有価証券の期末評価にかかわる経理方法が部分純資産直入法であったとします。評価益の場合は、期末の時価>会計上の帳簿価額ということになるので、資産借方と、純資産貸方で評価替えが行われるので、費用収益は何ら発生していません。ですから別表4での調整は不要ということになります。

1‐3.別表4での調整が必要なのは評価損のとき

会計上では期末の時価≦帳簿価額のときは評価損が発生します。この時会計上の仕訳では、費用借方と資産貸方で評価替えが行われています。つまり会計上では費用が発生したことになります。ですが税務上は原価法で評価しますから、時が経過しても評価額は取得価額のままです。

つまり会計上で計上している費用は、法人税法上では不要な費用ということになるので、修正して消滅させる必要があります。この時の調整科目は別表4で加算・留保となるような金額だということになります。ですから別表4ではその他有価証券計上もれ(加算・留保)という科目が計上され、会計上の費用を消滅させることになり、結果、会計上も原価評価をしたことになります。

1‐4.その他有価証券の期末評価では節税にならない

その他有価証券の期末評価のうち、評価損では会計上で費用化したものを打ち消す働きを法人税の別表4でつくることになるので、節税になるどころか、費用を打消しになってしまい、法人税が減らないという結果になったようです。

2.売買目的有価証券の場合

売買目的有価証券の場合は会計上も法人税法上もいづれも時価評価で期末評価をします。ですから、ほとんど差異がでることはありません。ですが会計上を間違えてしまし、時価評価でなく帳簿価額で評価してしまっている場合などは、別表4で時価評価の額に会計上の額を損金益金科目を使って修正することが必要です。

もし会計上の簿価≦時価のときに、間違えて原価評価をしていた場合は、時価評価に別表4ですることにより、節税になります。

3.満期保有目的有価証券の場合

満期保有目的有価証券は法人税法では償還有価証券といいます。償還有価証券も額面金額と発行価額との差額を取得日から償還日までの期間で均等償却するために損金計上したり、益金計上したりします。この時の経理方法は会計上とおなじ償却原価法になります。

ただ、税務上では償却原価の額の計算要素である償還期間の計算方法が2通りあり、法人は平価発行のときは会計上と同じ金額となりますが、打歩発行の場合は毎年の益金算入金額がより小さくなるように償還期間の選択ができるので、ここで会計上の打歩発行のときの償却原価との差異が発生することになるので、別表4でより少なく選択した法人税上の益金算入額に、会計上の収益の額を修正することになるので、節税ができることになります。

3‐1.割引き発行のときは?

割引発行の時も同様で、今度は会計上で計算した償却原価という費用の額よりも、より多くの損金の額となるような償還期間を選択できます。ですから会計上の費用は法人税上のより多くなるよう償還期間を選択した後、計算された損金の額に修正することになるので節税となります。このように満期保有目的有価証券の場合は額は少ないものの、節税になる場合があります。

まとめ より最適な節税は専門の税理士に相談がおすすめ

いかがでしょうか?有価証券の期末評価で節税になる場合があったり、節税どころか、費用の効果さえ消滅させてしまうような場合もありました。

節税になるかもしれない場合には、法人税法上の有価証券の期末評価と、会計上なされている期末評価の額を比較してみるというのはいかがでしょうか?

このように税は知っているか知らないか、どちらを選択するか等で大きく納付金額が変わってきます。できるだけ税金を減らしたいのであれば、やはり税のプロの税理士に相談するのがおすすめです。

ただ、法人税の節税を専門にしている税理士に依頼するとしないとでは、大きく支払う税金の金額も変わってきます。

その点、税理士ドットコムを利用すればあなたの会社にとって最適な税理士を紹介してくれます。

まずは無料で相談してみるといいでしょう。