オンライントレードで、新規に証券会社に口座開設の依頼をすると、最初にどのタイプの口座にしますか?と尋ねられます
特定口座とは、証券会社が上場株式を取引するために設けた専用の口座のことです。平成15年に創設されました。この特定口座で株の取引を行えば、売買益が出た時に証券会社が確定申告を代行して行ってくれるという特徴があります。

株の取引初心者には便利な制度ですから、多くの人が使用しています。

証券会社が確定申告を行ってくれるタイプの口座は特定口座ですが、2種類あり、一方が確定申告、つまり源泉徴収を行ってくれるタイプ、もう1つは、源泉徴収を行ってくれないタイプです。

〇特定口座(源泉徴収選択口座):源泉徴収を証券会社が行う。確定申告の必要はありません。売却益が出る度に証券会社が税金(所得税15.315%、住民税5%)を徴収して、税務署に代行して納付します。毎年1月になると、その年度の年間の売却益(損益)(配当所得を含める)を証券会社が計算して年間取引報告書という書類にして送ってくれます。

〇特定口座(簡易申告口座):このタイプは、源泉徴収は行ってくれません。このタイプも上記と同様、その年度の年間の売却益(損益)(配当所得を含む)を証券会社が計算して年間取引報告書という書類にして送ってくれます。年間の売却益が20万円を超えている場合は、確定申告が必要です。但し、売却益も所得の1種ですから、他の14種類の所得との合算となり、総合課税として計算申告しなければなりません。

特定口座のメリット、デメリット

〇売却益20万円以下の場合

源泉徴収ありのタイプ–売却益が出れば無条件で、そのたびに税金分が天引きされます。投資金額が減っていくデメリットがあります。

源泉徴収なしのタイプ—-売却益から税金が引かれないから、投資金額は減少しない。投資金額の面ではこちらが有利です。

〇売却益20万円以上の場合

源泉徴収ありのタイプ—確定申告の申告は必要ない。

源泉徴収なしのタイプ—確定申告が必要です。

売却益が出た時、源泉徴収ありのタイプなら所得の総合課税の対象とはなりません。従って、配偶者控除の優遇規定や国民健康保険料にも影響しないこともメリットです。

売却損が発生した時:株取引で売却損が発生した時、源泉徴収あり、なし両タイプいずれも確定申告することにより、合算、相殺が可能です。複数の証券会社で取引があれば、それを合算して申告が可能ですから、A社の売却益が出て、B社が売却損であれば、合算となり相殺されて、20万円以下ならば無税、以上であれば課税されます。

さらに、合算しても損が発生している場合は、翌年度以降3年間は繰越控除が可能です。送られてきた全ての年間取引報告書が必要です。これも特定口座のメリットと言えるでしょう。

おすすめは特定口座源泉徴収あり?

初心者の方や、株式取引額が少ない方は、特定口座源泉徴収ありを選択した方がいいと思われます。何故なら、税金のことは無視して投資が楽しめるからです。

源泉徴収ありのタイプでのこれが最大のメリットです。多くのサラリーマンがこのタイプで取引しているようです。

しかし、節税の面から考えると、必ずしもいいことばかりではありません。

特定口座源泉徴収ありでは税金は戻ってこない!

給与所得が2,000万円以下の方で、20万円の売却益が出た人は確定申告が必要です。源泉徴集ありの口座を選ぶと、20万円であっても無条件で源泉徴収されます。

つまり、税率おおよそ20%ですから40,000円が税金です。残り16万円に減額されています。

しかし、源泉徴収なしの口座であれば、売却益20万円ですから、確定申告の必要がありません。

税金の納付もありません。源泉徴収ありで天引きされた40,000円は残念ながら取り戻すことはできません。節税の面から考えると、源泉徴収なしの方が、節税効果が期待できるメリットがあります。

但し、ここにも例外事項があります。複数の証券会社の口座を持って取引している方は、確定申告をすることにより、上記の40,000円が戻ってくる場合があります。上述しましたように確定申告で複数の口座は合算ができるからです。

総合課税で他の所得と合算されます。株式だけは損が発生した場合は繰越できます。

まとめ

消費税を含めて税金は例外事項が多く、分かりにくいのが特徴です。

それもわざわざ難しい専門用語で書いてありますから、いっそう分かりにくい。

この株式の特定口座も基本的な事項と但し書きや例外事項があります。本文の後に但し、とか、例外として、などの文言がありますので、ここもしっかり読まなくてはなりません。

上記に書きませんでしたが、もう1つ例外事項があります。

NISA(少額投資非課税制度)です。NISA口座は特定口座に含めることができません。全く別口座です。取引の損得に関係なく申告が一切不要です。売却益がいくら出ても申告の必要がありません。

但し年間の投資額が120万円までです。当然他の口座との合算もできません。注意が必要です。