若い人が減り、お年寄りが増加している人口構造が益々顕著となり、年金や健康保険料を払わない人も急増しているようです。

将来的な予想から、どうせ年金はもらえないのだから、払うつもりはない。と思っている人たちです。公的年金の将来の不安や問題点が浮き彫りになってきています。

基本的には、国民年金への加入は義務です。20歳以上60才未満の人は必ず加入しなければなりません。

国民の義務ですから、払わなければ当然ペナルティーが課せられます。強い強制力がかかります。真面目に払っている人がほとんどですから、公平を期すためには仕方がないことです。

年金は滞納しても支払時に全額税額控除となります。

法人で社会保険料を滞納しても、納付すれば、その年度に納付した金額だけ税額控除となります。もし控除するだけの所得がない場合は、翌年以降3年にわたり繰り越して所得金額から控除することが可能です。

しかし、社会保険料の滞納分を納付すれば、その分は全額税額控除となりますが、3年も無条件で待ってくれるほど甘くはありません。

社会保険料の納付は、毎月保険料納入告知書が年金事務所から届きます。納付は翌月となり、保険料納入告知書には納付期限が記載されています。納付期限までに納付がなかった場合は、納付期限から1週間後に年金事務所から督促状が届きます。

督促状には納付期限が記載されています。督促状が送付されてから年金事務所から電話がかかってきます。納付を促すと同時に納付が難しいなら相談に来てください、という主旨です。

ここで、年金事務所に出かけて、納付計画書を作るよう指導されます。分割納付などが提起されまして。分割納付を承諾すれば、この納付計画書に基づいて具体的に納付を行っていきます。

納付した分のみ確定申告で税額控除となります。

督促状に記載されている納付期限までに完納しないと、納付期限の翌日から完納の日の前日までの期間の日数に応じて保険料額に一定の割合を乗じて計算した延滞金が徴収されます。

納付期限から3か月以内なら約7.3%/年、3か月を超えると14.6%/年です。(但し特例があります)

延滞金は税額控除の対象とはなりません。

督促状を無視した時

社会保険料は、会社が赤字でも容赦なく徴収されます。

督促状が届いても年金事務所に行かなかった場合は、督促状の届いた日から10日後くらいに財務調査が行われます。取引金融機関の預金残高、債権、不動産など全財産の調査です。調査員に対して質問の応答は自由です。

これでも財産の確認ができない場合は捜査ということになります。これは強制調査です。一切拒否ができません。自宅や会社など全てつぶさに調査します。これでもし滞納金額相当分が見つかれば差し押さえ処分が行われます。

ここまで行きますと、実質的に会社の経営は頓挫します。社会的な制裁をうけることになり、信用が失墜して経営が成り立たなくなるでしょう。

社会保険料の滞納をここまで犠牲を払って行う必要はないでしょう。社会保険の滞納は他のどの債務より優先すべきものです。

国民年金の加入者(第1号被保険者―自営業、学生、アルバイト)など厚生年金に加入していない人達に対しては、保険料滞納金の徴収が上記法人の社会保険滞納の徴収ほど厳しくはありません。

おまけに2年間の時効があり、市役所から何も言ってこなかった場合は、滞納金が消滅します。さすがにこのような事例は少なくなっています。最近特に徴収強化策が実施されています。強制徴収(差押さえ)される人も増えています。

何度かの催告状の後、支払されないと督促状が届きます。

この督促状の支払期限を無視すると延滞金がかります。利率は14.6%/年です。消費者金融並みの高利で、そして次は差し押さえとなります。経済的な理由で払えない場合は免除や猶予という制度もありますから督促状が来るまえに市役所の相談窓口に出かけましょう。

年金保険料滞納金で節税?

年金保険料も払えないほど生活が困窮した時期を脱し、ようやく滞納金や追納金が払えるような経済環境に改善されてきた。1日も早く年金の延滞金は払い終えたいでしょうが、ちょっと待ってください。

社会保険料控除は全額控除となります。納付した時、納付した金額だけ全額税額控除となります。

所得税の計算は、基礎控除、配偶者控除、生命保険料控除、社会保険料控除、などがあり。これらの総額が例えば100万円で所得金額が200万円、年金保険料滞納金が150万円あった場合、控除額合計250万円となり、所得金額200万円から引き切れません。50万円の損です。もったいないです。

一括納付ではなく、控除後の所得金額が0になるよう工夫して、つまり延滞金を分割して引ききれない分は翌期に移行すれば、節税が可能です。

但し時間が経てばその期間だけ延滞金がかかりますから、そのバランスをよく勘案して計算してみてください。

まとめ

年金は滞納しても支払時に全額税額控除されます。とにかく納付すれば、その分はその納付した年度に税額控除となるわけです。滞納しているから当然延滞金がかかります。これは控除対象とはなりません。

滞納金が全額納めればその分全額税額控除されるからと言って、滞納期間が長くなると延滞金というペナルティーが課せられます。法人の社会保険料なら3か月以内なら7.3%/年、3か月を超えると何と14.6%/年です。

国民年金加入者の延滞金利率も14.6%/年です。ものすごい高利率です。滞納しても納めれば全額税額控除という恩典がある代わりに、不公平感を感じないように、しっかり滞納すれば延滞金を徴収するというわけです。