社員や社長のスーツは経費で落とせるか?
結論から先に言えば、経費で落とせないことになっています。
工場や建設現場での作業着と言われる衣服は、その現場で着用義務があり、また普段着として着用するものではありませんから、業務上必要なものとして経費です。消耗品か雑費あるいは福利厚生費。
営業担当者が使用する会社のロゴや社名が入ったスーツも業務上で使うだけですから、これも経費です。芸能人やエンターテナーの衣装もステージ用であれば経費でしょう。
どんな職種であっても、業務上必要であれば、それが洋服であれ、靴であれ、アクセサリーであっても消耗品や雑費で落とせます。ここで大事なのは、あくまで「業務上で必要」がキーワードとなります。業務上でのみ使っているか、個人用でも使っているか、個人用だけなのかが分かれ目となります。
ビジネススーツは社名やロゴは入れませんから、個人用でも使いますし使えます。従って経費で落とすのは無理、というのが税務当局の判断です。
経費で落としている人はいっぱいいる
しかし、基本的に落とせないことが分かっていても経費で落としている企業や事業所は少なくありません。
スーツを経費で落とそうとすると、勘定科目は雑費か消耗品、交際費、仕入れ、福利厚生費などでしょう。
その前にどこで落としても税理士や税務署の確定申告書の精査でわからなければ、そのままパスします。
分かる、分からないが分岐点です。
税務調査で指摘された場合は最悪重加算税が課せられますし、税務調査の頻度が増えることになります。その前に税理士が通常は見逃さないでしょう。これは明らかに違和感を覚えるほど突出した費用計上がある場合です。
目立たないほどの金額では、パスすることになります。雑費で落とせば領収書が不要ですから、全体経費の5~10%以内なら分かりません。
消耗品は領収書が要りますが、1件10万円未満であってスーツではなく作業着としておけば通るかもしれません。交際費でも落とせます。贈答品名目になりますので領収書に相手方の会社名、個人名が記載されていないとダメですから、相手側への配慮が必要です。
仕入れで、特に衣料品事業者の場合は、仕入れで購入した中に潜り込ませれば、分からない可能性があります。ここまでくると脱法行為です。税理士はゆるさないと思いますが、こういう方法もあるということです。
このぐらいの事は、税務署でもよくわかっていますから、これが何年に1回の税務調査で発見されると大変です。一件でも出てくると、過去に遡って徹底的に調査され、厳しく追及されることになります。
いずれにしてもおすすめできる節税対策ではありません。税理士と相談の上、正しく計上した方が結局は節税となります。
節税テクニック
節税テクニックとしては、上記にあげた方法などが該当します。
もともと社員や社長が個人的でも使うスーツですから上述しましたように経費で落とすことはできません。
落としても税務署に分からなければ経費として落ちたことになり、節税対策となったわけです。
しかし後から税務調査などで分かったならば、かなりのペナルティーが課せられることを覚悟しておきましょう。
社長、役員を含めて全従業員に通勤用でも使える、抵抗感のないロゴの入ったスーツを配った場合の費用は、経費として認められる可能性は高いでしょう。これは節税対策としておすすめできる方法です。
イベント用でイベントの事業名や、企業名が入ったデザインのいいスーツは広告宣伝費として経費化できます。これも立派な節税テクニックです。
スーツを経費で落とすのは基本NGだが・・・税理士に相談
基本は上記の通りスーツを経費にするのはNGです。
ですが、抵抗感のないロゴを付けるなど、事業として認められる方法もあるようですね。
スーツに限らずこういった私用でも使うものを経費に入れたいときは税理士としっかりと打ち合わせしておくことがおすすめです。
節税に強い税理士は税理士ドットコムで無料で紹介してもらえます。
税金対策をしっかりして資産を守るようにしましょう。
まとめ
以上、社員や社長のスーツを経費で落とすかどうか、ですが、税務署はこの費用に関しては厳しく見ています。
金額の多少にかかわらず、スーツの使用に関して個人的使用の部分があるならば、経費で落とすのは無理があるということです。
税務署の厳しいのは、サラリーマンには元々給与所得控除があるからです。
給与所得控除はサラリーマンとして勤めるためには誰でも経費がかかる、ということでサラリーマンに限らずパートでも給与所得者には最低限年間65万円が、最大230万円まで控除されています。
この中にサラリーマンのスーツや靴などが入っているという見解です。
税務署からすれば、すでにスーツ代は経費として認めて給与から控除しています。にもかかわらず会社の経費で再度落とすのは2重取りですよ。ということになるわけです。だから見る目が厳しいのです。
いずれにしても社員や社長のスーツを経費で落とすのは難しいということを知っておいてください。
節税対策の対象とするならば、上記のような業務上でしか着用しない工夫が必要です。