中小企業の新卒従業員募集方法として大学就職課へのアプローチ方法について書きたいと思います。

大学は中小企業にも門戸を開いています。大学新卒者の求人倍率は昨年度1.74倍です。

大企業の大学新卒者の採用を増加させていますので中小企業にとっては益々新卒者の採用が厳しくなっています。

大学新卒者の求人数は73万4千人、これに対して大学新卒者の就職希望者は42万1千人です。求人倍率は今後もこの傾向を示すと思われます。

中小企業に就職した大卒就職者の動向

ここで中小企業に就職した大卒就職者の動向を見てみましょう。

  • 中小企業は良い人材が採用できなければ募集定員に満たなくても無理に採用しない傾向にあります。無理に採用すると離職率が高いことを何度も経験しているからです。
  • 大卒者の3年以内離職率は32.3%と高率です。実体は厳しい状態が続いています。
  • 中小企業に就職した大卒新卒者の待遇面や仕事の内容が合わないといって容易に離職する傾向にあります。中小企業に就職した大卒新卒者の志望動機が弱く、積極的に企業の調査、研究も行わず、企業への順応性も弱く、仕事への積極性もないため離職と繋がっていきます。
  • 大企業への就活に疲れ、仕方なく中小企業に就職する人も少なくありません。

こうした傾向は今後も続くと思われますので、新卒者が簡単に離職しないように十分な対策が必要となってきます。

大学新卒者の採用方法

・大学就職課への働きがけ

大学就職課への求人票を提出すること、ここが新卒者求人の出発点となります。手続きは難しくはありません。費用もかかりません。

どの大学も大企業、中小企業分け隔てなく受理し、学生への案内及び求人票の掲示を行ってくれます。求人票はほとんど大学で決めた書式になっていますから、指定用紙を使います。

就職活動は3月1日から広報活動ができ、選考活動は6月1日からと決められています。就職シーズンとなると掲示板にズラリと各企業の求人票が並び、それを学生が食い入るように眺めている様子がテレビでよく紹介されています。

しかし学生たちはこの求人票だけで就職先が決まるわけではありません。

・企業の大学就職課へのアプローチ

採用を希望する企業は、就職課へまず、積極的にアプローチを行います。この際とても重要なポイントがあります。それは採用を希望する企業の特徴、セールスポイントです。

我が社の業績は業界の中ではNo1で優れた商品開発で常にリーディングカンパニーとして走り続け、社員の働く環境、給与などの待遇も抜きん出ています。

というようなトークが前提として必要です。会社の概要を示す会社のパンフレットを持って、度々就職課の責任者のところに訪問します。継続的な採用を行うのであれば就職シーズンだけでなく1年中、定期的なあるいは随時に訪問しなくてはなりません。

採用側の企業が行う最も重要な採用活動です。新卒者を採用できるメリットはありますが、手間と費用がかかるのがデメリットです。

・大学の就職イベントに参加

大学では学生を企業に就職させるために、非常に多くの活動を行っています。またそれは大学によって様々です。大きく分けて2種類です。

学生が企業と接触する前に就職課が主体となって企業側の就職情報を集める活動と、学生が直接企業側とあって話ができる活動です。この両方とも就職課がほとんど企画します。

・就職課が企業の就職情報を集める

訪問してくる企業の会社情報を聞き取る。年によって企業側では採用計画が異なります。業容も変わります。従って採用に熱心だった会社が今年は採用を見送るというところもあります。

企業の熱心さを確認する作業でもあるわけです。中小企業の場合は、この大学訪問時のセールスが非常に重要となります。前記のように企業の特色を全面に押し出し、我が社の印象を強力に訴求します。就職課の担当者は膨大な企業情報に接していますから、ごく普通のトークでは担当者の記憶に残りません。これでは無意味です。

この特別に担当者の記憶に残った企業は、学生たちが就職相談に来たときに、就職課が紹介する1つの企業になり得ます。

もう1つ、就職課が企画運営する、大学の数々の就職イベントへの招待です。この招待リストに掲載されなくてはなりません。求人票を提出した企業全部がイベントに参加できるわけではありません。

もちろん大学側が企業側にイベント参加を依頼する場合もあります。それは学生を就職させたい人気の企業だからです。

・就職セミナー、企業研究会、合同企業セミナー、就職説明会

新卒者を採用するためには特に中小企業は手間がかかります。費用もばかになりません。学生は平均的に大企業志向ですから、中小企業に目を向けさせるためには大企業と同じことをしていたのでは採用は難しいです。

大学側が行う様々なイベントには積極的参加しなければなりません。個別面談会には必ず参加できなくてはなりません。就職フェアーでは新規の中小企業のブースには1人も学生が寄り付かない場合があります。それでも頑張って続けていかなければなりません。

・大学の准教授、教授へのアプローチ

いわゆる縁故採用に繋がる就職活動です。ゼミの担当教授、准教授、運動部、文化部などのサークルの顧問にアプローチする方法です。大学側にとっても極めて有力な就職手段であり、大学側も積極的に応援しています。企業側もOBや知人などを頼って教授や准教授に接触をしてきます。そして熱心に我が社を売り込みます。その熱心さをかって教授が相談にきた学生に紹介する、というパターンです。

・インターシップの受け入れ

企業側から依頼する場合と、大学側から依頼される場合がありますが、学生にも企業側にも多くのメリット、デメリットがありますが、就職活動には極めて有力な方法で、今よりさらに普及していくと思われます。

中小企業も積極的に参加すべきです。しかし企業側には大きな負担がかかります。メリットも多いですが、十分な検討を要する就職活動です。

以上、大学就職課への新卒者の募集方法について書きました。

中小企業の従業員募集方法については中小企業の従業員の募集方法 ~ハローワークだけでは集まらない~でまとめていますので併せて参考してください。