土地を相続した場合に、その土地を被相続人が生前賃貸していたとします。このとき、土地を売買取引額で相続税の課税価格としている場合は、節税ができます。また、土地の上に家屋を建てて、それを賃貸している場合に、土地だけを相続した場合も節税ができます。それではみていきましょう。

1.土地を被相続人が生前賃貸していた場合

被相続人がなくなったとしても、そのまま賃貸するとします。その土地を相続した場合で土地の売買取引額で相続税の課税価格としている場合は、相続税の課税価格が高くなっている場合があります。そうなると相続税も高くなっています。

2.土地の一部は土地を借りている人の持ち分

土地を賃貸している場合、土地の相続人の持ち分は土地の面積の100%ではありません。借地人に一部分が持ち分と考えられます。このとき借地人の持ち分のことを借地権といいます。借地権割合部分についての土地部分は、相続税の評価額から外して考えます。ですから土地を売買取引額で課税価格としている場合は、借地権割合部分だけ節税できるということになります。

3.相続税の評価額

相続税の課税価格は取引価額ではなく、固定資産税評価額または路線価方式による相続税評価額であると仮定します。この時の価額を土地Aの額とします。借地権を控除した残額が、被相続人が生前土地を賃貸していたその土地を、相続した場合の相続税評価額となります。

土地Aの額 -(土地Aの額 × 借地権割合)

4.借地権を相続した場合

土地の上の家屋とともに、借地権も相続したとします。このとき、借地権の相続税評価額はこのようになります。

土地Aの額 × 借地権割合

5.被相続人が土地の上に家屋を建てて貸していた場合の土地の相続税評価額

土地を売買取引価額で相続税評価額としている場合は、節税ができそうです。土地は貸していないから、借地権は発生しません。ですが、被相続人は土地の上の自分の家屋を賃貸していたのです。

つまり借家人がいるということになります。この場合は土地の一部が借家人の持ち分となるのです。借家人の持ち分部分は、相続人の持ち分ではありませんから、相続税評価額に加算しなくてもいいということになります。売買取引価額で評価していると、この部分も相続税評価額となってしまいます。

このとき、借家人の持ち分を、土地Aの額から控除した残額を、土地を相続した相続人の土地の相続税評価額とします。土地の上に家屋を建てて、それを貸している場合の、土地のことを貸家建付地といいます。貸家建付地の相続税評価額はこのようになります。

土地Aの額 - 土地Aの額 × 借地権割合 × 借家権割合

借家権割合という家屋の借家人の土地の持ち分部分は、土地の価額のうち、借地権部分の中で発生しているといえます。借地権は土地の一部で借地人の持ち分、借家権割合部分の土地部分は、土地のうちの借地権部分となります。

6.土地の上の建物が家屋でなくアパートなら相続税評価額も変化する

家屋でなく、アパートだった場合は、また違ってきます。アパートが全室満室ならいいのですが、空室がある場合に相続を受けた場合は、先ほどの借家権割合にかかわる土地部分のすべてが、土地Aの額から控除されなくなってしまいます。なぜなら、空室部分があるということは、その部分は借家人は使用していない(収益をえていない)となります。

この空室部分の持ち分は、借家人のものではなくなるということになり、結果、土地を相続した相続人の持ち分になってしまいます。ですから、空室部分を相続人の持ち分に戻すことをしないといけません。

土地Aの額 - 土地Aの額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合(実際に賃貸している部分の部屋の面積が、総部屋の面積に占める割合)となります。

まとめ

土地を相続した場合に土地の上に家屋がある場合や、アパートがある場合で土地を取引価額で相続税評価額としている場合は、借地権割合や借家権割合で、借地人や借家人の土地の持ち分を控除し、残額を相続税評価額とすることで節税になります。

https://www.nta.go.jp/taxanswer/hyoka/4614.htm
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4602_qa.htm