医療保険必要論、不要論は拮抗しています。

ここでいう医療保険とは、任意で加入する民間の医療保険のことです。

医療保険って本当に必要なのか?という議論が度々メディアなどで論じられています。

必要な理由、不要と思う理由、それぞれあります。保険会社は必ず必要と声高に言っていますが、中立的な立場のFP(ファイナンシャルプランナー)の人達の中には、例外はあるが不要、と主張している人もたくさんいます。あなたはどう思いますか?

現状の大勢から言えば、結論は医療保険が必要な人と必要でない人が居る、ということです。将来に不安がある人は間違いなく必要です。経済理論で考えて医療保険は損だと考える人は不要です。

高額所得者には全く無縁な保険ですが、標準世帯のサラリーマンでも150万円から200万円くらいの蓄えがあれば、医療保険は要らないと、とする意見もあります。

結局のところ医療保険が必要か必要でないかは人によって異なります。しかしみなさんは必要不要の判断をするのに必要な情報を得ているのでしょうか?単純に何となく将来が不安、保険屋さんに熱心に勧められたから、などの理由で加入するのは早計過ぎませんか。判断するのはあなた自身です。

判断の基となる情報を少し整理してみましょう。

日本の医療制度が破たんする?

医療保険を考える時の大前提は、土台となる日本の公的な社会保障制度が今後どのようになっていくのかというコアな予測です。日本の医療制度は破たん寸前と言われています。

この医療制度が破たんしたら、たちまち、国民にそのツケが回ってきて、医療費は大幅な負担増となることは避けられません。従ってそのような予測が立つなら、医療保険には加入せざるを得ないことになります。

しかし、本当に破たんするのでしょうか?

日本の医療制度は確かに問題が山積しています。

社会保障制度、医療財政、国民皆保険制度も破たん寸前、否、厳密には既に破たんしています。

国民皆保険とは名ばかり、保険であるなら相互扶助の精神で集めた保険料の中から、偶発的に病気になった人や、死亡した人に、経済的な援助をするものであるべきなのに、既に集めた保険料ではとても医療費が賄い切れない。そのため国の税金で不足分を補填しています。

日本の医療費総額は、2014年度は40兆円、2015年は41.5兆円、天文学的な金額で毎年増大し続けています。このままでは誰が見ても大丈夫とは思わないでしょう。

破たんを免れるために国は当然のごとく、対策を講じていますし、さらに一段と厳しい施策が実行されると思われます。

日本の医療制度は破たんしません。しかし確実に国民の負担が増加します。健康保険の保険料は値上がりするでしょう。現状一般の人の医療費自己負担は3割ですが、後期高齢者の負担は1割です。

これに手を入れることは悩ましいことですが、現状のままということはあり得ないでしょう。又、国民は誰でも受けたい医療を受けたいだけ受けられる自由な医療体制となっています。これに医療サービス提供者は出来高払いという、制限のない医療が行われています。医療サービスをする人、医療を受ける人全員で税金に群がっている構図です。

よくぞここまで、こうした青天井型医療制度が放置されていたものだと思わざるを得ません。

日本の医療費の多くは高齢者医療で費やされる

医療機関に行くと、待合室にいる患者さんの多くは高齢者です。それは当然で、統計的に入院する人の確率は40歳までに入院する人はわずか10%です、60歳で25%、75歳くらいから急激に増加します。

高齢者の医療費、健康保険加入者の保険料は、高齢者の慢性期による病気や延命治療にあてられています。終末期医療は特に医療費がたくさんかかると言われています。

とにかく高齢者はたくさんの医療費がかかるわけです。従って、ここにも現状改革のメスが入ることになるでしょう。高齢者の終末医療は任意保険でカバーして欲しい、という国の声が聞こえてきます。

まとめ

世界一充実度の高く恵まれた日本の医療制度、実体は火の車、欠陥だらけで不平等な構造が見えています。今後次から次へと制度の手直しが行われていくと思われます。

現状の公的医療制度のおかげで、民間の医療保険には加入しなくても、不測の事態が起こった時、最低限の保障は受けられます。これが医療費不要論の基礎となっています。この土台が怪しくなってきました。

高齢者になってからでは間に合いませんが、できるだけ早い年代から医療保険加入は考えた方がよさそうな雰囲気です。考える論点の最大の懸念は老後の生活費、医療費です。

若い人にはなかなか切迫したものがないのでしょうが、公的な医療制度では費用が賄え切れないことが、かなり分かってきました。だからと言って、いたずらに高い保険に入っても意味がありません。不要と思われる保険料は削るべきです。

有益な医療保険を選択するためには、情報をきちんと確保し、どの保険にするかは、医療保険の目的(必要な時期)を明確にした上でFPなどと相談して決めましょう。