相続税のかかるほど財産のある人は意外と少ない

相続税は、法定相続人が財産を相続した時に課税されます。資産のある人にとってはとても悩ましい問題です。しかしそんな相続税で頭の痛い思いをする人、つまり相続税を払うほどの財産を残して亡くなった人は意外と少ないのです。

国税庁によります平成25年度で死亡者数1,268,436人、課税対象者54,421人でわずか4.3%に過ぎません。ですから平均的な庶民には関係ない相続税法です。

しかし、本当に関係ないと思っていていいのでしょうか?

実は地方には大きな土地を先祖から受け継いでいる人がたくさんいます。普段は余り気に留めることもないようなことですが、その土地の名義人が亡くなった時、家族の人は土地があるのかも知らない、知っていても土地の大きさまでは知らない。相続の段階で初めて評価額が算定されびっくりする場合があります。

土地はあれども現金はない。被相続人が亡くなって10ヶ月以内に現金で相続税を納付しなければならない。

先祖伝来の土地を手放すわけにはいかない、仮に売ろうにも、評価額はあっても買う人はいない。あなたならこの場合どうしますか。大変なことです。

被相続人は亡くなる前にこうした事態が起こることを知っていなければなりません。このような不幸なことにならないように生命保険に加入しておけば、こうした事態は防げます。

生命保険を使った相続対策

被相続人が生命保険の契約者で保険料も被相続人、相続人が生命保険金の受取人として加入しなければなりません。この場合

1、 被相続人は生命保険金(死亡保険金)の受取人が指定できます。これは相続人が複数の場合に相続人同士の相続争いが起きることを防止できます。保険金は直接、確実に指定した相続人が現金で受け取りできます。

2、 相続人の納税準備金:もともと生命保険はご本人が亡くなった時に残された家族が当座生活に困らないようにあらかじめ加入しておく性格のものです。しかし仮に預金があった場合は、銀行預金などは被相続人が亡くなった途端に口座が閉められて、おろすことができなくなります。

相続人が複数おれば遺産分割協議が完了するまでおろすことができません。

生命保険ならすみやかに現金で手にいれることができ、当座の生活資金や納税資金として使えます。

3、 相続税の負担軽減:生命保険の死亡保険金及び死亡給付金には相続税非課税枠という優遇措置があります。

相続税法第12条による相続税非課税枠は500万円×法定相続人の数です。但し非課税の優遇措置は法定相続人が生命保険の死亡保険金を受け取った時に課税されます。

ではどんな生命保険に入ったらいいのか

相続税が非課税となる基礎控除額は、新たに課税範囲が拡大して

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

になりました。

そこで相続税対策として相続財産から被相続人が生命保険に加入して保険料を払っておくことです。生命保険料は全額損金算入となりますから、相続税の対象となる財産が減少します。

つまりは相続税額も減ることになります。先の基礎控除額範囲に収まってくるかもしれません。

そして生命保険金を受け取った場合は、非課税となる金額が設定されています。それが前記した500万円×相続人数です。
基礎控除額+生命保険の非課税枠を使うことが相続による節税対策のポイントです。

生命保険は色々ありますが、ズバリおすすめは終身保険です。

死亡保険が一定期間に限定されている定額保険や養老保険は節税対策にはなりません。死亡した時に保険期間が終了していますから意味がありません。

定期付き終身保険は△です。一生涯の死亡保険はつくが、一定期間を過ぎると死亡による保険金が減少するからです。

終身保険が最も適切な生命保険です。終身ですから期間の満了はありません。保険が一生涯続き、死亡した時に保険金が出る生命保険は終身保険しかありません。

まとめ

財産のある人、あるいは土地がたくさんある人は、ご自分が亡くなった後、家族が困らないように準備しておくことは必須です。田舎の長男の人は家から離れて生活していると、親父の土地がどのくらいあるか知らないし、関心もないでしょう。

親父さんが亡くなって大騒ぎするケースは意外とこれも多いのです。被相続人だけでなくその子供も、相続対策はどうしても知っていなければならないことです。

できるだけ早くから、信頼できる保険屋さんか、あるいは税理士に相談をかけておくことをおすすめします。簡単に述べましたが、相続税という法律は結構難しいのです。