会計事務所は、企業経営や個人事業を運営していく中で、重要な役割を担っていく存在になるので、自身の企業や事業に合った会計事務所を選ぶことが重要です。

会計事務所といっても、サービスの提供範囲や得意分野は様々で、組織形態や規模によっても特徴があります。

個人経営の会計事務所

〇〇税理士事務所や〇〇会計事務所といった、住宅街から駅前まで様々な場所で見かけるこれらの事務所は、税理士が個人経営している会計事務所です。

規模は、税理士1人のみから、スタッフも含めて10人程度が一番多いです。

特徴は、スタッフも担当を持ってサービスを提供しますが、重要な判断などは税理士が行うため、税理士の考え方や能力がダイレクトにサービスの質に直結します。能力や経験が乏しい税理士の場合、間違いや、間違いではないが有利ではない方法を取ったりして、金銭的に損をする場合もあります。

税金は種類が多く、内容が年々複雑化する傾向にあり、全ての税金に関するサービスを税理士1人で網羅するのは難しくなってきているため、専門性の高い相続などの案件は、知り合いの専門の税理士にお願いするケースが多いです。

また、税理士は他の士業(弁護士、行政書士、社会保険労務士など)ともつながりがあったり、業務提携していることが多いため、税金以外の相談にものってくれます。

ただ、個人経営の会計事務所では、税理士が急な事故・病気等で業務を行えなくなった場合や、税理士が亡くなった場合、事務所内に税理士資格を持っているスタッフがいなかったり、他の税理士が引き継いでくれないと、税理士としての業務を継続できなくなります。

税理士法人という法人組織の会計事務所

税理士法人という言葉が名称に含まれる会計事務所は、税理士が2名以上在籍し、共同で運営している法人組織です。法人組織になると、支店が出せるため、東京と大阪など複数の地域に事務所を設置していることが多いです。

規模は、数十名から数百名まで幅広くあります。特徴としては、一般の会社組織と同様に、担当を持つスタッフ、プレイングマネジャーとしての管理職、税理士法人の経営に関わる役員などがそれぞれの役割を果たしています。

税理士法人には、相続や税務調査など専門性の異なる税理士が複数在籍し、他の士業や金融機関の転職組など幅広い人材を確保している場合が多いため、相続・事業承継・人事コンサル・M&Aなど企業経営に関わる総合的なサービスを提供している場合が多いです。

複雑な税務判断などは上司や所属税理士の判断を仰いだり、チェック制度を確立するなどのリスク管理をしていますが、担当スタッフが問題を抱え込むことにより、問題が大きくなってしまったケースもあるため、担当者の質によるところもあります。

また、教育体制を確立しているところは多いですが、どこの会計事務所においても、担当スタッフの質は様々です。必ずしも大手の税理士法人の担当スタッフだからといって、安心とは限りません。

専門特化型の会計事務所

事務所の規模は様々ですが、ある特定の分野に専門特化または、専門部署がある会計事務所も多くあります。一番多くみられるのは、資産税(相続税、贈与税、譲渡所得税)に特化または、専門部署のある会計事務所です。

信託銀行などと業務提携をし、富裕層の資産形成・運用から相続対策までを連携して行っている会計事務所もあります。相続対策に関しては、必ずしも節税を最優先するわけではなく、それぞれのお客様の要望・経済状況・税制などを考慮し、最適な提案をしなければならないため、経験と知識の差が如実にあらわれます。

また、医療(医科、歯科)に特化または、専門部署のある会計事務所など特定の業種に強い会計事務所も多くあります。特に医療においては、会計処理や提出書類などが一般企業と異なり、法人成りする場合にも手続きが煩雑なため、医療に特化し、開業コンサルティング・医療法人化・事業承継など開業してから引退するまでのサービスを展開している会計事務所もあります。

会計事務所は組織形態や規模によって特徴も様々ですが、実際に業務に当たるのは担当スタッフなので、実際に業務をしてもらう担当スタッフの質はどうなのか、担当スタッフの質に納得がいかない場合、会計事務所としてどういった対応をしてくれるかも、その会計事務所に継続してお願いするかどうかの判断基準となるでしょう。

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