税理士と一口に言っても、資格を取得した方法により、いくつかのタイプに分けられ、それぞれの税理士には特徴があります。それぞれの特徴をふまえた上で、自分に合った税理士を選ぶことが重要です。

それぞれ、どのような特徴を持っているのでしょうか。

税理士試験合格者の税理士

一般的に税理士と言うと、税理士試験に合格して税理士資格を取得した人を想像しますが、実際に税理士試験に合格して税理士になっている人は、約7万人いる税理士の半数以下と言われています。

税理士試験には、11科目の試験科目があり、一定の要件を満たした5科目に合格し、さらに実務経験を2年間積むことにより税理士として登録することができます。試験合格者の特徴は、必須となっている会計2科目の知識・計算力、受験した税法の3科目の知識については、一定程度担保されることです。

しかし、受験していない税法の知識の習得や、会計から税金・資金繰りなど様々な税理士としての経験は、日頃の勉強や実務を通して培われるものなので、その点を考慮した上で税理士の能力を見極めることが重要です。

税務署OBの税理士

税務署OBも一定の条件を満たせば、税理士になることができます。職務内容にもよりますが、税務署に10~15年勤務すると、税理士試験の税法の科目が免除されるため、会計2科目を合格することで税理士資格を取得することができます。

また、一定の条件を満たした上で、23年間勤務すれば、指定研修というものを受けるだけで、税理士になることができます。税務署OBの特徴は、税務署で税務署の見方から実務を経験しているため、税務調査に強い場合が多いです。

税務署が見るポイントや、税務調査の調査官の年齢や経験によって、どのようなところを探ってくるかを教えてくれたり、税務署側と交渉してくれたりと、税務調査には心強い存在となってくれる税理士は多いです。

ただし、中には、税理士として事業主・経営者側に立たないで、税務署側に立ち、事業主・経営者の不満を招く税理士もいます。また、税務署勤務時代の部署により、得意とする税法が異なるため、その点を確認して、税理士を選ぶのが良いでしょう。

大学院卒業者の税理士

法律・会計の大学院で、一定の要件を満たす会計や税務などの勉強をし、学位を取得すると、税理士試験の一部を免除されるため、残りの科目を合格することにより、税理士資格を取得する税理士もいます。

このタイプの税理士は、大学院で理論を勉強しているため、専攻した分野については、深い知識を持っています。

ただし、専攻しなかった分野や税理士試験で受験しなかった分野の知識は、日頃の勉強による部分が大きく、税理士としての経験も実務を通して磨いていく必要があります。

弁護士・公認会計士資格を持つ税理士

弁護士や公認会計士は、税理士試験を受けなくても、登録手続きをするだけで、税理士になることができます。特に公認会計士は、独立し、自分の事務所で税理士業務を行っている方が多いです。

監査法人に勤務経験のある方も多いため、経営コンサルティングやM&Aなどを強みとしている場合が多いです。ただし、公認会計士試験では、税法の細かい部分まで問われないため、日頃の勉強によって知識を深める必要があります。

どのタイプの税理士に頼めばよいのか

顧問税理士は、税理士試験合格者の税理士、または公認会計士資格を持つ税理士に頼むのがよいでしょう。

税理士業務では、違法にならない範囲で、お客様にとって有利な提案をするために、論理的にどのように税法を解釈できるかが重要になってきます。

これらの税理士は、税理士試験や公認会計士試験に合格しているため、税法を詳しく勉強してきた、または論理的に解釈する能力が一定程度担保されます。

一方、税務調査では、税務署OBの税理士が心強いです。税理士法人には、税務調査に関しては、所属する税務署OBの税理士が担当するところもあるので、税務調査が心配であれば、税理士法人と契約し、普段のサービスは担当するスタッフに対応してもらい、税務調査は所属する税務署OBに対応してもらうこともできます。

税制は毎年変わり、経済状況・経営環境は日々刻々と変わっていきます。どのタイプの税理士でも、そのように変化する状況を先取りして、その変化に対応していけるように、日頃から情報・知識を習得し、税理士としての経験を蓄積している税理士を選ぶことができれば、良きパートナーとして一緒に事業を発展させていくことができるのではないでしょうか。

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