会社の設立は、定款を公証役場で認証してもらい、その認証後の定款と登記申請書、その他提出書類を添えて法務局に提出、申請すれば会社ができます。

しかし、登記しただけでは会社は動きません。登記は開業の入り口に過ぎません。

登記後のいくつかの作業を完了して、初めてビジネスをスタートさせることができます。

会社設立手続きは、今では司法書士や税理士に依頼しなくても、Freeeや弥生の会計ソフトを使えば簡単に申請書類などができ、自ら公証役場や法務局に出向く手間は必要ですが、専門家に依頼するより安価にできます。

参考:個人の会社設立手続きにfreeeがおすすめな理由について

そして、登記後の作業も税理士や司法書士に依頼しなくても自分でできます。但し、専門家の助言が必要な場合が出てきます。

申請、届出の手続はかなりの量となり、専門家に依頼しないで行っていくのはおすすめではありません。

会社設立手続き 会計ソフトか税理士か?

開業は登記だけでは終わらないことを前記しました。

登記後に非常に多くの申請、届出が必要なことも述べました。

つまり会社設立手続きだけをピックアップして、会計ソフトか税理士かを云々しても余り意味がありません。

会社設立手続きはビジネスを行うための、入り口の作業です。スムースにビジネスがスタートできるためには、税理士などのサポートを求めた方が有利です。

会社設立手続きだけを考えた時、会計ソフトで行うか、あるいは税理士に任せるか、ですが、確かにクラウド会計のFreee又は弥生で面倒な提出書類が出来ます。

費用も司法書士や税理士に依頼するよりも安くできます。しかしその費用差は大きくはありません。

従って、会社設立手続きだけを考える時は、費用の差が大部分を占めます。

ポイントは定款を公証役場で認証してもらう時に印紙代40,000円です。電子認証で行えばこの費用が不要です。これを司法書士は専用のソフトプログラムを使って電子認証を行い、手数料の1部にしています。個人でも電子認証は可能です。

そのためには多少の設備投資が必要で約40,000円は最低かかります。

これだけ見ても電子認証が40,000円の印紙代が節約できても、電子認証するために40,000円の投資が必要なら個人で書類を作る意味がありません。

結局のところ費用面で考えると、手間やお金、時間を勘案すると電子認証設備を持った税理士や司法書士、行政書士に依頼した方が得策であることが分かります。

会社設立手続きの費用はトータル、個人の場合は約240,000円(定款印紙代含む)、司法書士に依頼した場合の相場は260,000から300,000円くらい、当然差はありますが、手続きの手間を考えたら、その差はほとんどないと思われます。

ここは専門家に依頼して、登記後のもっと大変な役所に対する申請手続きの段取りを行う時間を確保しましょう。

⇒会社設立手続きは税理士ドットコムへ

登記後の申請手続き

登記後、開業までに必要な申請、届出業務は概略次の通りです。

・ 税務署:法人設立届書、青色申告承認申請書、給与支払い事務所等の解説届書、源泉所得税の納金の特別承認に関する申請書など。棚卸資産の評価方法の届出書、減価償却資産の償却方法の届出書、個人事業の開廃業届書(これらの届出書は税理士の指導が必要)

・ 地方自治体:地方税の届出書

・ 年金事務所:健康保険、厚生年金保険新規適用届、健康保険、厚生年金保険被保険者資格取得届、健康保険被扶養者届。

・ 労働基準監督署:労働保険・保険関係成立届、労働保険概算保険料申告書

・ ハローワーク:雇用保険適用事業所設置届、雇用保険被保険者資格取得届

これだけでも、もううんざりします。税理士や司法書士、行政書士に代行してもらう人がほとんどです。もちろん上記も全て個人で行う事ができます。年金や監督署の関係は社労士の分野です。

もう1つ重要な手続きがあります。ビジネスによって許認可があります。

許認可には、届出、登録、認可、許可、免許の5種類あります。飲食店の場合は食品衛生法に基づいて保健所の許可が絶対条件です。建設業も許可申請をします。不動産業は免許です。

資格がないと免許が交付されません。ガソリンスタンドは登録です。

その他、非常にたくさんの許認可事業があります。

事業を始めるためには、その事業の種類によって許認可が必要な場合があります。これらの許認可をビジネスを始める前にとっておかないと、法律で罰せられます。

ここまでの種々の手続が全て完了してからようやく開業になります。

これらを個人で全て行う人がいますが、本来のビジネスに向けてのモチベーションを上げていくためには、これらの煩雑な手続きは大きな障害です。できれば専門家に依頼する方がお得です。

また、一連の手続には専門家の知識や経験を必要とする部分がかなりあります。効率的に開業に漕ぎつけるためにも税理士や司法書士との関係を持つことは、その後の経営の過程の中でも大いに役立ちます。

まとめ

会社設立当初にはなるべく初期投資は抑えたいのは当然です。少しでも安くするには、自らの時間を削って専門家に依頼しないで会計ソフトなどの方法で行う。

多くの人がこの方法で行っていますが。実際には時間的な制約や、ソフトの理解力が不足して頓挫し、あわてて司法書士や税理士に依頼する人も又多いです。本当に多い開業までの種々の手続、確かにうんざりします。

事業が開始されても、結局は税理士などのサポートが必要ですから、そんなことなら、会社設立時点から専門家に税務顧問までを含めて、依頼する方が得策です。

そうすれば、会社設立手続き費用は格安になると思われます。但し税理士なら誰でもいいわけではありませんから、選択は慎重を要します。