不動産投資事業とは、利益を得ることを目的にして、不動産事業に資金を投入することです。その方法として2つあります。

1つは、投資した不動産を人に貸して、定期的に賃料という形で利益を得ます。

2つ目は、投資した不動産を、購入時の金額以上で売却して売却利益を得ることです。

不動産投資事業のリスク(デメリット)

不動産投資も投資である以上、当然不確実で、リスクが伴います。

賃貸アパート、マンションの場合、賃料の下落、空室率が高くなる、賃料の滞納がある、不動産価格が下落する、修理・管理費用が大きく発生する。などを理由として、予定した利益が得られない。

何らかの理由で購入価額以上に売却ができない。あるいはすぐに売却現金化できない。

そして、不動産関連の法律や税制が変わって、賃料利益や売却利益が少なくなる。などのリスクが考えられます。

不動産投資事業のメリット

〇毎月安定収入が見込める:入居者が確実に居れば、その入居者が転居するまでの間、安定的に収入が見込まれます。これが年金を補う手法として一般的に言われている一番大きな魅力です。入居者が確実に居れば、が大前提となります。

〇売却益が見込まれる:投資した物件の売却益が見込まれる。経済が好調で、地価の上昇があり、売却益が期待される。

〇投資事業への参画:賃貸借経営に参画することができる、ということがメリットの1つです。価格交渉から管理会社の選定まで行うという経営参加が、その良し悪しにより収益に影響することになります。

〇資金調達がし易くなる:不動産を担保に金融機関から借り入れが可能となります。担保は投資する不動産とそこから生まれる収益です。購入する不動産を担保にお金を借りる場合、毎月の賃料収入を返済にあてることができます。

場合によっては、賃料収入から借入金の返済を差し引いても、なおかつ手元に残金が残る場合もあります。これはかなりの優良物件でなければこのようにはなりません。

逆に不動産を担保にして融資を受けた場合、収益が出ないと、毎月の給与の中から返済しなくてはならない事態となりますから、慎重に判断する必要があります。

不動産投資事業の節税方法について

では、不動産投資事業でどのような節税ができるかみていきましょう。

〇所得税が節税できる

不動産から得られる賃料収入は不動産所得として所得税の対象です。計算は、賃料収入から実際にかかった経費を差し引きます。経費とは、固定資産税、都市計画税、管理費・修繕費、借入金の金利、減価償却費、などです。

税務上の所得金額は減価償却費を経費として計算しますから、実際のキャッシュフローは手元にその分の現金が残ります。

要するに、建物の減価償却費相当分が課税されないで所得税が軽減されることになるわけです。節税となります。

さらに、不動産所得は総合課税となっていますから、サラリーマンなら給与所得と合算されて課税されます。

この合算された合計額に対して課税されますが、不動産所得が赤字になっている場合は、合算された合計額が少なくなっていますから、課税対象額が減少して節税となります。

サラリーマンの場合、年末調整で所得税は納付済みですから、その後の確定申告で不動産所得が赤字で申告すれば、その分税金が還付されることになります。

これが、不動産投資をすれば税金が還付される、という不動産投資会社の営業トークとなっている所以です。

〇相続税が節税できます

一定額以上の資産を残して亡くなられた場合です。その資産を相続した人が、その相続資産に応じて納付する税金が相続税です。かなりの高税率です。

この相続する資産の評価は不動産の建物の場合は固定資産評価額で計算されます。

固定資産評価額とは、固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税を計算する時の基準となる価格のことで、3年に1度評価変更があります。

さらに、不動産は一般的な不動産の時価より相続税評価額が下回っている場合が多いです。(ex、建物は購入額の40~60%で評価、マンションで賃貸住宅の場合は市場価格の1/3の評価になる場合がある)

相続税評価額とは、相続税、贈与税などを計算する時に基準となる評価額のことで、固定資産税評価額で評価することになっています。

このように、不動産の評価額は不動産の時価と相続税評価額に大きな差額が発生し、相続税評価額の方が下回りますから、その差額分が相続税を減額させる根拠となり節税となります。

〇不動産所有期間で節税

不動産の売却益に対する税率は、その不動産の所有期間によって大きく異なります。

所有期間は毎年1月1日時点でその不動産を何年所有していたかによって決まります。

5年以上(長期)の場合は、所得税15% 住民税5%で計20%です。

4年以下(短期)の場合は、所得税30% 住民税9%で計39%です。

既にお分かりのように、どうしても売らなければならない理由がない限り、4年で売ることは得策ではありません。1年待って売った方が売却益に対する税金が倍近く徳です。これも節税対策の1つです。

〇複数物件の節税

購入額より売却額が下回った場合は課税所得がありませんから、課税されません。(売却額に売却に伴う経費を加える)

複数の物件を同じ年に売却する場合、その利益を合計して申告することになります。同じ年にAとBの不動産を売却した時、Aが400万円の黒字、Bが200万円の赤字なら差し引き200万円の黒字で200万円に対して課税されます。

複数の不動産を売却すると時は同じ年に売却すると節税となります。

まとめ

不動産に投資して、その収益を年金の足しにしたい、生活資金の補充としたい、売却利益を期待したいなど、不動産投資事業に参画する人は、依然として少なくありません。

また、不動産投資事業会社からの有利な投資事業としての勧誘もあるようです。

しかし、不動産投資事業は、情報を正しく正確に理解していないと、投資して大けがする場合があります。決して甘くはないことを念頭においていただきたい。不動産に投資すると、税金が還付される、というフレーズはとんでもないことです。

確かに、不動産投資で利益を得ている人はいます。よほどの好条件の不動産でない限り投資は難しい、と理解して欲しいものです。