サラリーマンでも年末調整を受けているにもかかわらず、確定申告をしないといけないケースがあります。どんなケースなのでしょうか?年末調整というのは、範囲がきめられていて、対象となる金額でない場合は、税務署へ納税義務者が直接に申告・納付をしないといけないのです。それぞれのケースについてみていきましょう。

1. 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人

給与や退職所得以外の所得を持っている人が対象です。例えば副業をしている場合や、不動産所得を得ている場合などです。このとき、給与や退職所得以外の所得の合計額が20万を超える場合は確定申告を年末調整以外でしないといけなくなります。

2.医療費を支払っている人

医療費を支払っている人は、確定申告の対象となります。年末調整では医療費が給与から控除されていないまま税金が計算されているからです。課税標準の5%と10万円のいづれか少ない金額以上の医療費を支払った年度は、給与所得からその額が控除されて税額が決定されるので確定申告をして還付してもらう必要があります。

3.住宅借入金をした初年度である場合

年末調整では住宅借入金特別控除の適用は、初年度に限りしていません。ですから、借入金の初年度は確定申告をして税額から一定の額を控除してもらうことが必要です。

4.同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人

同族会社とは株主等の3人以下並びにこれらと特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発行済株式の総数又は出資金額の100分の50を超える数の株式又は出資の金額を持っている場合のその会社のことをいいます。株主3人にかかわる特殊関係者がいて、これらの人々が保有する株式や出資の金額が会社全体の株式や出資額の50%超である場合のことをいいます。

このとき、役員であるAさん。Aさんは会社から給与をもらっています。ですがこの同族会社のオフィスはAさんが会社に貸していたとします。Aさんは毎月賃貸料を受け取っていたとします。このときAさんにとってはこの賃貸料は給与以外の所得となり、Aさんは確定申告の対象となります。

5. 2か所以上から給与の支払を受けていて主要な給与ではない給与の収入金額と両方の給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人

Aさんは2つの職場で働いているとします。年末調整をして受け取っている側の会社、つまりメインの会社ではない側の会社から受け取っている給与の額をBとします。さらにAさんは2つの職場以外にも副業や不動産の賃貸収入があったりしたとします。このときの所得をCとします。BとCの合計額が20万を超える場合、Aさんは年末調整を主要な会社ではしてもらうものの、確定申告で、AとBとCという所得の税金を計算しなおし、納付する必要があります。

ですが、2つの会社からもらっている給与の額を合計し、そこから災害や盗難や横領の被害による損失額、医療費、寄付金があった時のその額、つまり年末調整では考慮されない給与からの控除額と、基礎控除額38万円を控除した残額が150万円以下であったとします。さらにサブの会社の給与をその合計額から控除した残りの所得だけの合計額が20万以下であるという2つの条件を満たした場合は、Aさんは、サブの会社、副業、不動産収入があるにもかかわらず、確定申告はしなくてもいいということになります。

6.源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人

源泉徴収義務者でない事業主とはどんな場合でしょうか?2人以下の家事のお手伝いさんを雇っているという場合は、源泉徴収義務者にはなりません。また従業員が0人の個人事業主で外注で報酬や料金を支払っている場合や、弁護士費用などを支払ったなどと言う場合は、源泉徴収をする必要はありません。この様な状況で、報酬を受ける側は、源泉徴収がなされていない収入を得ていることになるので、確定申告を自分でして税金を納付する必要があります。

7.給与の年間収入金額が2,000万円を超える人

2000万を超える部分は税務署は会社に源泉徴収をまかせるのではなく、税務署が納税義務者から直接所得税を徴収するという考え方です。

まとめ

サラリーマンは基本は会社の年末調整で税金を納付したことになります。ですが損失を出した場合はその損失が給与所得を減らす要素になり、それは年末調整対象にはならないことがあるので、確定申告をしたほうがいい損失をおさえて、源泉徴収された税金が還付されるように節税をすることができます。

http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2732.htm
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http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1900.htm