病院の災害対策、備えについて ~DMATの病院支援業務 ライフラインの確保~
災害の発生というのは全く予想ができません。熊本の震災では将来における大震災の確率はわずか8%と言われていました。
しかし病院で働く私たち看護師は病院の災害対策について熟知しておかなければなりません。DMAT隊員の業務の一つとして被災したり人手が足りない医療機関の支援業務というものがあります。
そのような医療期間などの状態の把握をしながら支援業務を行います。皆さんの病院では自然災害をはじめいろいろな災害に対応するためにどのような対策をされているでしょうか?
病院における災害への備えは?
いつ発生するかわからない災害に対して平時の備えほど大切なことはありません。
被災した医療機関のスタッフや災害支援に参加した方々はそれを身を持って感じたと思います。勤務する病院で年に2回くらい防火防災訓練をします。少しでも災害が起きたときのために備えるためです。
院内の災害対策本部はどこに設置するか?傷病者の受け売れ対応は?医薬品や人員の配置は?非番スタッフの連絡の方法は?参集基準は?ライフラインの確保は?などを再度見直します。
DMATの病院支援業務 ライフラインの確保
DMATの病院支援業務の一つとして被災した医療機関の状態を把握して災害対策本部に報告するという業務があります。
建物の現状は?例えば全壊してしまって全員避難状態か?診療は軽傷者のみか?転搬送する傷病者はどのくらいいるのか?などです。
その中でも重要項目となるライフラインすなわち電気、ガス、水道、食料、医薬品、通信などです。
ライフラインの確保 電気
まず電気ですが、震災などで電力会社からの電気の供給がストップされた場合はたいていどの医療機関などでは非常電源が作動すると思います。
非常電源が作動した場合において電気が供給されるコンセントはどのコンセントなのか?ご存知でしょうか?
赤い色をしたコンセントですね。
院内には電気の供給がストップされた場合大変のことが起きてしまいます。
生命維持装置(人工呼吸器など)の使用をしている患者さんもたくさんいらっしゃると思います。手術中などでは無影灯の使用ができなくなってしまい手術野がよく見えなくなってしまいます。
電気で作動する医療器具がたくさんあります。電気がストップしたらどのくらいバッテリーは持つのか無駄な電気を使わないようにするとかマニュアルがあると思いますので確認しておきましょう。マニュアルの確認はすべてのことにおいて大切なことです。
ガスを使わなくても食事の提供ができるように
ガスですがガスは主に使われるのは入院している患者さんのために調理することに主に使われます。万が一ガスの供給が止まってもガスを使わなくても食事の提供ができるような対策をしなければなりませんね。給湯にも使われることもあるのでその対策も大切だと思います。
貯水
水道ですが病院という特殊性から災害時には多量に消費することが考えられます。震災など外傷が主な傷病者に対しては傷口の治療方法として洗浄を行います。その他として飲料水、水洗トイレ、透析の時、検査、手洗い、滅菌業務などたくさんの用途が水にはあります。
貯水槽、雨水の備蓄、ペットボトルやポリタンクでの備蓄などストックの方法や供給の方法も考えておきましょう。飲料水や食料においては参考までに私が勤務している病院の中に売店がありますがそこから供給ができるように提携が結ばれています。
食料や飲料水の確保
食料ですが先ほどもお伝えさせていただきましたが入院患者さんに対してはインスタントのものやレトルトの物になる可能性は十分にあります。その中で活動する医療スタッフもその可能性になリますが入院患者さんが優先となります。
できるだけ数日分の食料や水など自身でストックするのが望ましいと感じます。院内でも活動するスタッフのために食料や飲料水の備蓄はあります。
ちなみに私が院内で個人的に備えている食料は火を使わない缶詰が多いです。
飲料水はペットボトルのものでお茶や水、糖の補給のために果汁入りの飲み物まで用意してあります。DMATとして災害地に派遣された場合も持参できるものです。
医薬品は手当や治療するためには欠かせないものになってきます。
院内にはある程度備蓄はあると思いますがそれは平時においてのこと。災害が発生してしまえば沢山の怪我人や病人が近隣の医療機関に殺到されることが予想されます。消毒液や点滴、注射液が多量に消費することが考えられます。
消費された分の医薬品の供給路は?どのくらいの備蓄があって持ちこたえられるのか?生死に直結する事柄の一つになってしまいます。院内の薬局がどのように備えているのか確認しておく必要があります。
通信について 無線機の活用も
最後に通信です。以前において私の記事で情報を制するものは災害を制すということをご紹介させていただきました。突然発生する災害は情報が混乱してしまいすべてが麻痺してしまいます。
非常時の電話回線、携帯電話、院内電話、防災FAX、インターネット回線、衛星電話、防災無線などの通信網を確保しておかなければなりません。通信の手段が少なければ少ないほど発生した災害に対して脆弱になってしまいます。
無線機も重要なコミュニケーションツールとして大切です。時々取り扱いの方法を皆で確認しています。大変かと思いますがこのような備えや確認事項は災害が実際に発生してからは遅すぎることがとても多いです。
私もDMAT隊員としてしっかりと備えを確認したいと思っています。
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