所得税は「1年間に儲けた額」に税率を乗じて税額が算出されます。1年間に儲けた額が少なければ少ないほど税金の額は減ります。

このとき、1年間に儲けた額を減らしてくれる要素があります。それが「所得控除」というものです。

税額控除は税金そのものを控除する要素、所得控除は儲けの額を減らす要素であることをおさえましょう。

1.医療費控除は税額控除ではない

医療費控除は税額控除だと思っている人は多いと思います。税金から引かれるのは税額控除であり、医療費は儲けを控除する要素になります。それでは医療費控除をできるだけ所得控除にするための方法についてみていきましょう。

1-1納税者だけでなく、その家族なども対象

医療費控除は納税者だけでなく、その家族なども対象になります。ここで家族などというのは、同居している場合の他の人でも、医療費控除額とすることが出来る人がいます。それは同一生計親族である人です。

1-1-1同一生計とは?

親が納税義務者だったとします。親は地方に住んでいて子に仕送りをしてくれているとします。そのときの子は親にとって、同居はしていませんが経済的援助をしています。この場合、親にとって子は同一生計親族ということになります。また子が納税義務者だったとします。このとき、親が施設で生活をしている場合、子にとって親は同居はしていませんが同一生計親族ということになります。このように経済的負担をしている人の医療費は同居していなくても納税者の医療費とすることができます。

1-1-2親族とは?

3親等以内の姻族、6親等以内の血族ということになります。姻族というのは、血がつながっていない人のことです。具体的には子の配偶者、配偶者の親などになります。

2.結婚した娘の医療費は医療費控除になるのか

娘が結婚して同一生計親族から別生計親族になった場合をみてみましょう。娘は結婚する前にお医者様で治療をうけました。実際に支払のための支出があったのは結婚した後であった場合は娘の医療費は親の医療費控除の額とすることができるのでしょうか?この場合は受診のときに同一生計親族であれば、医療費を支出したときに結婚していたとしても、親の医療費控除の額とすることができます。受診時に同一生計親族であればいいのです。

3.前年に受診した医療費を今年の2月に支払った場合は医療費控除になるのか

昨年に受診したのだから、今年の確定申告の時の医療費にしたい。そう思います。ですが、この医療費は支払った日が今年の2月になりますから、今年の確定申告の医療費となってしまいます

4.医療費の支払いに補てんされた保険金の額は医療費控除になるのか

医療費の支払いに保険金がでたとします。このとき、保険金で補填された医療受診を3度うけたとします。このとき、保険金は年間の医療費総額から年間の保険金を引くのでしょうか?いいえ、保険金は治療ケースごととなります。

入院を年間3回した場合は、入院ごとの医療費から保険金を引いた額が医療費控除対象の医療費になります。確定申告のときにまとめて控除することはできません。これは保険金の額がその入院費よりも多かった場合、多い分の医療費は他の治療費を減らせないということになります。

5.医療費控除の対象とならない医療費

医療費控除の対象とならない医療費というものがあります。

  • 健康診断や人間ドックは治療ではないので、医療費になりません。ですが、健康診断や人間ドックで病気が発覚され、そのまま治療となった場合はその健康診断量も医療費控除額とすることができます。
  • サプリメントは医療費控除額にはなりません。これは治療ではなく予防だからです。
  • コンタクトレンズは弱視や斜視、変性近視、緑内障手術後などの治療とともに購入する場合は医療費控除とできます。ですが、近視や乱視、老眼の場合は治療とみなされないので医療費控除とすることができません。カラーコンタクト、レーシックも医療費控除とできません。
  • 病院へ車やタクシーで通院した場合
    医療費控除になる場合・・・突然の腰痛で公共交通機関が利用できない場合などは医療費控除額とすることができます。この場合高速料金も医療費控除とできます。
    医療費控除とならない場合・・・公共交通機関が使えるのに、今日は寒いからなどという理由であえてタクシーを利用する場合は医療費控除額とできません。また、自家用車で病院までいったときは、ガソリン代や駐車場代は医療費控除の対象とはならないので、できるだけ公共交通機関を使うと節税になります。
  • 美容整形費用・・・美容整形は治療とみなされないようです。
  • 診断書作成費用・・・会社から診断書の提出を求めれらた場合などです。この場合は医療費控除にはなりません。

6.すべての医療費が医療費控除の額となるわけではない

医療費が年間300万かかったとします。この場合は、所得税の医療費控除額とできるのは、200万までです。さらに制限があります。その年度の儲けの合計額である課税標準額の5%と10万円のいづれか少ない方の額がAだとします。医療費控除となる額は、A円より少ない額の場合は、確定申告では医療費控除の欄には書けません。

<国税庁>https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1120.htm