公的融資は中小企業にとってはありがたい資金確保の手段です

会社を立ち上げるための創業資金や立ち上げた後の運転資金、設備投資資金を全額自己資金で賄える経営者は極少数でしょう。大多数の中小企業は手持ち資金+融資による資金という形で会社の経営が行われます。

創業時には会社設立のための経費や設備資金、宣伝費、材料仕入れ代金、人件費、諸経費など収支は支出だけであり、大きな資金が必要です。

こうした創業に伴う大きな資金は、ほとんど経営者の自己資金だけではとても足りず外部から資金の導入を図ることになります。その時の資金調達先は公的資金が一般的です。

民間金融機関からの融資も担保があれば不可能ではありませんが、普段取引のない関係の中では難しいのが現状です。

また、立ち上げた後の運転資金や新たな設備投資資金の借り入れも公的資金の導入の資金計画が有効です。中小企業対策として国や地方自治体ではかなりきめの細かい施策を講じており、非常にたくさんの施策があります。

これらの資金は全て税金です。民間金融機関のように預金を貸出に向けるシステムではありません。従って融資条件に適合していれば融資が実行されます。

公的融資の方が、審査が通り易い傾向にあります。

中小企業の資金導入の方法

中小企業が会社運営のために必要とする運転資金や設備資金、研究開発資金、人材育成資金、その他の資金の導入先は公的機関、民間金融機関、ノンバンクなど多岐にわたっています。

  • 日本政策金融金庫(国金)
  • 商工会中央金庫
  • 独立行政法人中小企業基盤整備機構
  • 雇用能力開発機構
  • 労働福祉事業団
  • 全国都道府県の制度融資(保証協会の保証が必要)
  • 全国市区町村の制度融資(保証協会の保証が必要な場合がある)
  • JA、JF
  • 都市銀行
  • 地方銀行
  • 第二地銀
  • 労働金庫
  • 信用金庫、信用組合
  • ノンバンク(預金業務を行わない金融機関)

この中で一般的に普及している資金導入先は、日本政策金融金庫や商工会中央金庫、都道府県市区町村です。都道府県市区町村の融資は制度融資といいます。

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日本政策金融金庫への融資依頼の方法

最も多くの中小企業経営者が利用する金融機関です。前身が国民金融金庫や中小企業金融公庫で中小企業庁が管轄しています。中小企業対策の専門機関ですから中小企業に対する金融支援も非常に多くのアイテムがあります。

中でも特記すべき融資施策は「中小企業経営力強化資金」です。

無担保、無保証、融資限度額2,000万円、自己資金不要、1.45%の超低金利です。融資期間も5年から20年で設定できます。

この資金融資の目的は、新規開業や経営革新など新事業分野の開拓により市場の創出、開拓を行おうとする人達の支援融資で設備資金や運転資金として使用できます。但し認定経営革新等支援機関の指導、助言が必要です。

この支援機関は全国に25,000機関あり、公認会計士、税理士事務所、行政書士、中小企業診断士、経営コンサルタント事務所などで構成されています。機関リストは中小企業庁のホームページで公開されています。

当然経営指導を依頼するわけですので有料です。成功報酬型ならば概ね5%くらい(最低100,000円)くらいは必要と思われます。(各機関で確認ください)

他にも「新創業融資」や「新事業育成資金」「女性、若者/シニア企業家支援資金」「再挑戦支援資金」など企業経営の様々な分野での金融支援策が用意されています。

融資問い合わせ、融資依頼は全国の日本政策金融金庫各支店、商工会議所、商工会、及び中小企業事業の代理店(民間金融機関)などです。

融資申し込み資料

これは普段お付き合いのない金融機関で融資を依頼する場合も含めての基本資料です。そして経営者自らが申し込みに行く必要があり、さらに重要なことは、提出する資料の中身については完全に理解し正確に説明できる必要があります。

申請すれば誰でも融資が実行されるわけではありませんので安易な取り組みは控えてください。

日本政策金融金庫の資金や商工会中央金庫、制度融資などの申し込み資料は大体同じ資料が要求されます。また資料の作り方については認定経営革新等支援機関に登録された会計事務所などの指導を受けてください。

民間の銀行融資については⇒銀行の融資審査を通るためには?融資の流れ、事業計画書の作成について

提出資料

  • 会社案内、商品カタログ
  • 最新3期分の決算書、税務申告書(創業の場合は除く)
  • 納税証明書(創業は除く
  • 最近の試算表
  • 設備投資の場合は計画書、見積書
  • 担保が分かる資料(無担保の場合は除く)

この他に会社の事業内容の詳細や、会社のセールスポイント、業績見通し、粗利益、などが聞かれます。整理して書類にしておくことをおすすめします。また公庫の職員が会社訪問しての審査も行われます。