会社経営には経営者の強い情熱が必要です

特に創業時においては、会社を早く安全に立ち上げたいと、全ての経営者が思うことでしょう。会社を立ち上げるには大変なエネルギーが必要です。自分が思い描いたビジネスに強い情熱を持っていることでしょう。

その会社の目的完遂のためには、技術開発、販売計画、利益計画、財務計画などの整合性と具体性、実効性がなくてはなりません。経営者に大きなエネルギーが必要なのはこれらの計画実現のためにすべてその先頭に立って采配しなければならないからです。

技術屋経営者は製品開発に注力するあまり、営業や資金繰りを他人任せにする傾向があります。

技術を重んじることは重要ですが、販売がおろそかになって売り上げが伸びなかったり、開発資金を使いすぎて資金ショートを起こしたりしたら会社は頓挫します。経営者は技術、販売、利益、財務に等しく常に目を向けていなくてはなりません。

銀行融資の申し込みは経営者自ら行うべし

企業経営は技術、販売、利益、財務計画、(他に設備、投資計画など)などが毎日同時並行で動いている状態です。

特に財務計画の中の資金繰りはお金の収支を日次、週次、月次で見ていく重要な資料です。月次の資金収支が黒字でも週次で見たら赤字の場合は、会社は途端に危機を迎えます。お金が円滑に回っていないと、技術、販売、利益、あるいは投資計画などすべての計画に重大な影響が出てきます。

従って体の血液とも言うべきお金の収支は経営者自らが日日管理し、リーダーシップを発揮しなくてはならない仕事です。

資金計画や資金繰り表から、どの時点でいくらの剰余金が生まれ、いくらの資金不足が発生するかが分かります。創業時には資金計画で当初必要とする資金の額が分かります。

この不足する予定の資金や創業時運転資金、設備資金をどのように調達するか。その方法論が金融機関からの融資です。この融資申し込みは当然なことながら経営者自らが当たらなければなりません。

銀行融資を受けるために準備すること

銀行から融資を引き出すためにはいろいろな書類を作って提出しなければなりません。それらの書類は経営者の強い思いが詰まったものでなくてはなりません。その強い思いが書類に現れ、銀行の融資担当者に正確に伝わらなくてはなりません。ですからこの融資依頼は経営者でなければできないことなのです。

基本的に政府系金融機関であろうと民間の銀行であろうと提出する資料は同じです。

資料は、試算表、資金繰り表、決算書(前2期から3期分)、経営計画書(事業計画書)、設備投資計画書などです。

そしてその前に金融機関の担当者から間違いなく聞かれることがあります。

  • あなたの会社の事業は何ですか?扱っている商品やサービスは何ですか?
  • 作っている商品やサービスの販売傾向はどんな風ですか?粗利益はいくらですか?
  • あなたの会社の強みは何ですか?セールスポイントは?
  • お金はいくら必要ですか?何故そのお金が必要ですか?
  • 会社経営上何か不安なことがありますか?
  • 今後の事業展開はどのようになりますか?今期は?来期は?

大体このようなことを聞かれますから、経営者は融資申し込み時には、これらのことが概略でもいいですから明確に説明できなくてはならないのです。これは経営者にしかできないことです。

銀行融資の上手な申し込み方

銀行融資の申し込みには上記の資料が必要ですが、これらはそれぞれが関連性を持っています。

従って資料自体の数値や他の資料との整合性は絶対必要です。上手な申し込み方の基本は嘘がなく、誇張性もない素直な資料を作成することです。

そしてもう1つは、経営者がその資料の内容を深く理解し、それを誤りなく適格に融資担当者に説明することです。融資が不調に終わる場合の原因の多くは、中小企業経営者の融資依頼の資料不足、資料不完全、返済計画が不明瞭など、そして経営者の説明スキルの不足です。

銀行は石橋の上に鉄板を敷いて渡るぐらい慎重な融資姿勢が普通です。その融資担当者に「分かりました」と言わせるためには、説明のために事前学習は必須です。