企業を経営していく中で、必要な時に資金を調達し、可能性のある事業に投資をしていくことで事業を育てることが重要になっていきます。

また、新事業への参入だけでなく、事業構造の転換などにおいても、財務面を含めたあらゆる面でリスクや影響を少なくしたいものです。

資金調達方法として挙げられる融資には、多種多様な制度がありますが、特に今注目されているのが、中小企業経営力強化資金による融資です。

中小企業経営力強化資金とは

中小企業経営力強化資金による融資では、創業又は経営の多角化・事業転換などにより、新事業への投資を行う中小企業や小規模事業者は、日本政策金融公庫からの低利融資を受けることができます。

ただし、新規性・独自性を重視している制度のため、フランチャイズによる創業には利用できません。

貸付限度額は、中小企業を対象とした中小企業事業によるものが7.2億円、小規模事業者を対象とした国民生活事業によるものが7,200万円です。

貸付期間は、設備資金が20年以内、運転資金が7年以内です。この融資制度を利用するにあたって注意すべきは、2つの貸付条件です。1つ目は、事業計画や経営改善計画を策定し、日本政策金融公庫と認定支援機関(国が認定した中小企業等への支援機関)へ定期的に進捗を報告する義務があることです。

2つ目は、認定支援機関の助言と指導を受けなければならないことです。認定支援機関の専門家によるサポートを受けながら、計画策定や資料作成を行っていくことが重要です。また、この融資制度では、繰り上げ返済ができないので、その点を考慮したうえでの返済計画が必要です。

中小企業経営力強化資金のメリット

中小企業経営力強化資金による融資には、他の融資制度と比べて特徴的な、4つのメリットがあります。

1つ目は、低金利であることです。

この制度を利用すると、金融情勢によって変動するものの、年利1.45~1.85%程度の金利で融資を受けることができます。年利2~3%代の融資制度が多数ある中で、金利の低さが魅力です。

2つ目は、無担保・無保証枠が2,000万円あることです。

担保や保証という負担を緩和しつつ、融資という選択肢を選ぶことができます。

3つ目は、自己資金要件がないことです。自己資金が十分に用意できていない企業でも、融資を受けられる可能性があります。ただし、自己資金は融資を受ける際の、信用度の重要な判断基準ですので、計画実行に対する説得力を増すためにも、自己資金をできるだけ用意しておくのがよいでしょう。

4つ目は、申し込みから融資実行まで約1か月程度と、短期間で融資を受けることができることです。

中小企業経営力強化資金による融資には、さまざまなメリットがありますが、この制度を利用する前に、まず考えておきたいことがあります。

「何のために資金が必要なのか」「必要な金額はいくらなのか」「融資を使わなければならないのか」です。

創業も新規事業展開も、スピード感を持ったビジネス展開が必要ですが、その土台として、財務面も含めたあらゆる面での経営計画が重要になってきます。融資における、返済という義務と財務面の悪化というリスクを考えたうえで、積極的な投資により、企業を成長させていくことが重要です。