消費税節税対策の中で最も節税効果が高いのは免税事業者になることです。

消費税は、事業を営む人は誰でも平等に納めなくてはなりません。但し免税事業者は特例として消費税納付が免除されています。

免税事業者とは、2年前の課税売上高が1,000万円以下になっている事業者のことです。

個人事業者は暦年2年前、法人は2期前の売上高が1,000万円以下は免税事業者として、消費税の納付はありません。(消費税法第9条第1項)

但し、第1期目の最初の6ヶ月間の売上高と給与(役員報酬を含む)の額が1,000万円を超えた場合は消費税を収めなくてはなりません。

また、初年度中に増資され、資本金が1,000円以上になると2期目から課税事業者となります。

この税法では、個人事業者や中小企業者の事務負担を軽減することを目的として納税義務が免除されているわけです。

創業4年間は消費税免税事業者?

消費税のかかるタイミングで個人事業廃止して法人になった場合が最も消費税免税効果が高い時点です。

事業を起こして2年間は個人事業主として小規模ながら年商1,000万以下で商売を行う。しかし徐々に事業として基礎が備わりつつあり、対外信用力を高めるために法人化を考える。売上高も1,000万円を超えるようになる。

3年目に事業を法人(株式会社)として改めて法人設立を行い、登記を行い、税務署にも届け出を行った。(法人成り)
こうした経緯をたどる事業主の人は多いと思います。

この場合、個人事業から始めた2年間は、先の説明とおり、年間売上高1,000万円以下であれば、消費税の納付は必要ありません。

しかし、2年目に1,000万円を超える売上高になったとしても、ここで個人事業を廃止し、法人化すれば個人事業の間の消費税は納付の必要がありません。そして3年目に法人化して届けますと、法人1期目が始まります

これも前述のように、第1期目、第2期目は免税事業者のため消費税の納付はありません。売上高に関係なく2期前は会社が存在していないからです。従って、この工程で進めば4年間は消費税の納付は必要ありません。4年間は消費税免税事業者です。

注意事項があります。

期間中に資本金又は出資金が1,000万円を超えると免税されません。

法人成りになった時の決算月の設定の問題です。

個人事業は暦年計算ですから決算日は12月31日です。

しかし、法人は任意に決算月が決められます。できればできるだけ長く免税業者であり続けるためには、第1期目を最大にとった方がいいでしょう。10月が最適です。確定申告期限が12月となりますから10月がベストです。

逆に課税業者になった方がお得?

法人成りで事業を法人化した時、消費税免税のために売上高1,000円を守り抜くのは、本当に得策かどうか、よく考えてみる必要があります。

事業を開始すれば、経営計画や経営目標がそれぞれあり、通常は徐々に売上高は増加し、年商1,000万円は単なる事業の通過点でしかありません。それでたまたま免税業者として免税特典があったとしても、それは経営目標ではないでしょう。
事業規模が小さい事業者には、かなりの恩典です。

法人成りの時に、多大な設備投資や不動産購入の場合で、売上高より仕入れ高の方が多い場合そして、輸出取引がある場合は課税業者のほうが差し引きメリットは大きいと考えられます。

まとめ

消費税は2015年度から税率8%で等しく徴収されています。8%の内訳は、消費税6.3%、地方消費税(換算して)1.7%です。消費税10%への増税も近く行われる予定です。個人、法人共に、消費税については関心度の高い税です。

消費税の節税テクニックは、上記のように、免税業者が最もその効果が高いのですが、その他にも多くの節税テクニックがあります。そのほとんどが、法人が条件のものが多いです。

消費税の免税額と、法人の各種の節減額のそれぞれの総額の差は、法人の課税業者の方が、メリットが大きいことが考えられます。

単純に消費税の免税だけを考えることは得策ではありません。