サラリーマンは通常年末調整によって申告を会社が代行してくれていますから確定申告の必要はありません。

しかしサラリーマンでも確定申告をしなければならない人や確定申告をした方がいい人もたくさんいます。

した方がいいのではなく確実にしなければならない人は、確定申告しないと罰則規定があり、厳しいペナルティーが課せられるので、これは要注意です。

確定申告をしなければならない人

年間の所得が多く、2か所以上から給与所得のある人などが該当します。

  1. 給与が年間2,000万円以上ある人。
  2. 1か所から給与を受けている人で、給与所得及び退職所得(退職金など)以外の所得の金額の合計額が20万円を超えている人。
  3. 2か所以上から給与を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人。

その他、多くの規定がありますので詳細は国税庁のHPをご覧ください。
(国税庁 給与所得者で確定申告が必要な人)

確定申告した方がいい人

税の申告は、あくまで個人の意思による自己申告が基本です。確定申告することによって、納付すべき税金が安くなったり、還付される税もあり、節税となりお得です。しかし、確定申告を行わなければ何も起こりません。

1. 特定支出控除により節税

特定支出控除とは、サラリーマンで比較的収入の多い人の場合、キャリアアップのための資格取得費や研修費、書籍費、旅費などの経費が一定の条件の下で控除されることです。今までは特定支出の金額が給与所得控除を超えた額が適用されていましたが、平成25年度分からは、給与所得控除の半分を超えた額から適用されることになりました。

  • 収入金額1,500万以下  給与所得控除額の1/2
  • 収入金額1,500万を超える  125万円

通勤費、転居費、研修費、資格取得費、単身赴任者の旅費、図書費、衣服費などが該当します。但し、条件があって所属する会社の証明が必ず必要です。

会社の規定で支払われる経費補填の費用はもちろん除外しなければなりません。源泉徴収票も必要です。

2.医療費控除

よく知られた制度です。医療費が家族で年間10万円を超えると一定の金額の所得控除があります。必ず家族全員の病院や薬局などの領収書は1年間保管して集計してみてください。10万円超えていれば、確定申告にいきましょう。

3. 住宅ローンを組んだ人

住宅ローンを組んで、住宅の購入や増改築した人は確定申告により所得税の還付が受けられます。一定の条件下で入居後10年は、ローン残高のおおよそ1%くらいが還付されます。1年目は確定申告で2年目からは年末調整で申請します。

4. 寄附をした人

寄附金控除(ふるさと減税など)住民税から控除されます。

5. 中途退職で年末調整がしていない人

確定申告により税金が戻ってくる場合があります。

確定申告すべき人がしないとどうなる?

確定申告は毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得を合計し、その所得に対して税額を確定して翌年2月16日から3月15日までの間に申告、納税を行うことです。

この間に確定申告をすべき人がしないと、とても厳しい罰則が課せられます。

・ 無申告加算税

確定申告を3月15日の期限内に提出しない場合の罰則です。申告しなかったために税務署の調査を受けた場合は、税額が50万円以下の人は15%、50万円を超えると20%の無申告加算税が別途にかかってきます。しかし止むお得ない理由がある場合は5%に軽減される時もありますし、期限から2週間以内であれば、自己申告により税務署の判断でペナルティーなしの場合もあるようです。

・ 延滞税

確定申告の納期限は3月15日です。この日までに完納しないと、3月16日から納付完納した日までの期間が計算されて、その期間に対して延滞税がかかります。延滞税の税率は毎年変わります。納付期限から2ヶ月間はおおよそ1%くらい、2ヶ月を超えるとおおよそ7.3%くらいかかるようです。(計算の詳細は国税庁のHPをご覧ください)
(国税庁HP 延滞税)

・ ほ税(脱税)

ほ税とは脱税のことです。所得税だけでなく各種の税に適用されます。改正法は平成28年8月30日以降の違反行為から適用されます。故意の申告書不提出犯は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金又はその両方が課せられます。

その他、不正無申告脱税犯はもっと厳しく10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金またはその両方が課せられます。ほ税は脱税で犯罪です。意思を持って脱法行為をすることですから見つかれば当然警察のお世話になることになります。

まとめ

最近はインターネットの普及にともなって、会社からもらう給与以外に副収入を稼ぐ人が多くなってきました。従来の副収入といえば会社に内緒で友達の商売を手伝ってのアルバイト収入とか競輪、競馬、競艇などの公営賭博、あるいはパチンコの賞金、株や投資信託の売買利益などが多かったのですが、これに加えて、インターネットによるネットビジネスが現在大ブレイクしています。

クラウドソーシング、ネットショップ、ネットオークション、代行サービス、コピーライティング、アフリエイト、など、まだこれからも新ビジネスが拡大していくと思われます。

そうした中で、20万円を超える副収入は確定申告の対象となり、3月15日までに申告、納税を完了しなくてはなりません。しかし今時20万円や30万円くらいの副収入があったくらいでは、申告しない人が多いのではないでしょうか。

申告するためにはかかった経費の領収書や預金通帳などこまめに保管、コピーして整理しておく必要があります。収入からかかった経費を引いた残りが20万円超えておれば申告の必要があります。面倒ですね。

税務署はこうした少額申告例に対して、追跡する術を持っているのでしょうか。現実の問題としては、限られた税務署員の数では、とてもここまで細かいところまでは手が届かなくて見過ごしているのが現状と思われます。

しかし、だからと言って申告しないと、意図的な無申告となって見つかればペナルティーが課せられます。実は見つかる場合があります。取引は必ず相手がありますから、当事者の考えも及ばないところで発見される場合があります。

税務署をなめてかかると手痛いしっぺ返しがあります。税務署の情報収集力は、我々の想像を遥かに超える大きな力があることを知っておいてください。