クラウド会計ソフトのシェアは弥生が57%、マネーフォーワードが21.5%、freeeが18.2%で、この3社だけで96.7%にもなり、ほぼ寡占状態となっています。

ただ、従来型のインストール型の会計ソフトの使用率は72.3%であり、依然として高い割合を堅持していますが、毎年この割合は減少傾向にあり、クラウド会計が確実にシェアを拡大しているのが際立っています。

今後もこの傾向は続くと思われます。特に人出不足は深刻な状況になってきましたし、税制改正や行政手続きの電子化、電子帳簿の保存に対応した会計ソフトの導入が進むと思われます。

こうした諸要因が後押しして、人件費の削減に繋がる会計ソフトや高次元の会計処理ができるクラウド会計の進展は益々大きく進むと思われます。

今回は小規模事業者の方々の会計ソフト導入に関して、料金の面から選択の指針となるべく解説をしてみたいと思います。
(出典:MM総研

会計ソフトの料金比較

上記しましたように現在、弥生、マネーフォワード、Freeeの3社が国内の中小企業市場をほぼ独占しています。

この3社の陰に隠れた存在ですが、一定のシェアを確保し、今後の拡大が見込まれるフリーウエイ経理を含めて料金比較をしてみましょう。

① 弥生の料金

・白色申告オンライン  フリープラン    0円/年
ベーシックプラン  8,000円/年
トータルプラン   14,000円/年

・青色申告オンライン  セルフプラン    8,000円/年
ベーシックプラン  12,000円/年
トータルプラン  20,000円/年

*マネーフォワード、Freee共に白色、青色申告は同じソフトを使用していますが、弥生は白色、青色にソフトを分けています。

*フリープランと有料プランの違いはサポート有り無しです。メール、電話などの使用ができるかできないかの違いです。弥生は現在1年間の無料キャンペーンを行っていますから初年度は有料プランでサポートを受けながら始めて、帳簿付けなど、慣れてきたらフリープランに移行するのが上手な選び方です。

*白色申告では他のソフトより安く使用できますし、フリープランがずっと無料ですから個人事業主で青色にする予定がなければこのまま使い続けるのも料金を安く抑える方法です。

②マネーフォワードの料金

マネーフォワード確定申告は2019年5月から料金プランが変更され、1部を覗いて値上げされました。新プランでは個人事業主向けの会計ソフトのマネーフォワードクラウド確定申告を始め、5つのサービスがセットで提供されるようになりました。

その5つのセットとは、クラウド確定申告、クラウド請求書、クラウド給与、クラウド経費、クラウドマイナンバーを一括セットにすることです。さらに2019年11月からマネーフォワード勤怠が加わり6つのサービスがセットで提供されるようになりました。今後はそれぞれのサービスの単体での契約はできませんので注意が必要です。

・マネーフォワード確定申告 パーソナルライト  1,280円/月  11,760円/年
パーソナル      2,480円/月  23,760円/年
パーソナルプラス  なし       35,760円/年
(上記全て6サービスセットになっています)

* パーソナルライトはクラウド確定申告のベーシックプラン相当の機能にクラウド請求書機能がついたもので、帳簿付けと確定申告素類作成がメインの方向けです。

* パーソナルはクラウド確定申告のベーシックプラン相当の機能に加えてプロプラン相当の機能が付き、請求書の機能を頻繁に使う方向けです。

* パーソナルプラスは個人事業主用の最高位で、電話サポート付きでさらにプロプラン機能なみの請求書機能が付いています。

③ Freeeの料金

Freeeは2016年5月に料金プランが改定されましたが、個人事業主プランは2020年2月に再度料金プランが改定されることが予定されています。

・ Freee個人事業主向けプラン 現状スターター   980円/月    9,782円/年
現状スタンダード  1,980円/月  19,800円/年
現状プレミアム   なし       39,800円/年

・ Freee個人事業主向けプラン 改定後スターター  1,180円/月  11,760円/年
改定後スタンダード 2,380円/月  23,760円/年
改定後プレミアム   なし       39,800円/年

2,000円から4,000円/年くらい値上げとなります。各プランには1ヶ月の無料お試しがついています。

*フリーランスや個人事業主の方にはフリープランがおすすめです。飲食店や小売、美容院などで従業員のいる型はスタンダードプランが法人化を考える段階になってきた事業主の方はプレミアムプランが適しています。

*前々年度の売上高が1,000万円以下の方は消費税の納付が不要です。こうした事業所はスタートプランが適しています。

会計ソフトfreeeはなぜ評判が高いのか?

④フリーウエイ経理

料金プラン
・無料版     月額使用料 無料(使用期間無制限)
・有料版     3,000円/月(使用期間1年ごとに更新)

* 無料版は個人事業主や小規模中小企業、有料版は中小企業が適当です。
* インストールもバージョンアップも無料で、無料期間が無制限、ずっと無料です。
* 既に累計ユーザーは17万3千にのぼっています。
* 従業員5人まで永久無料のフリーウエイ給与計算が使えます。
* 法人の方はフリーウエイ税務で決算書から法人税の申告まで無料です。
* 個人事業主方でフリーウエイ確定申告を使用すれば帳簿付けから確定申告迄費用がかかりません。
* フリーウエイマイナンバーは従業員20人までマイナンバー管理は無料です。
* フリーウエイタイムレコーダーは従業員10人まで勤怠管理の収集や集計も自動化可能です。
* 有償版では銀行口座やクレジットカードの明細から自動仕分け記帳が可能、2500種類の金融機関に対応しています。(フリーウエイ経理URL:https://freeway-keiri.com/#plan)

料金だけを比較すれば弥生が圧倒的安いですが、最近になってマネーフォワードもFreeeも値上げしました。

次は弥生かもしれません、注意深く見ていないといけません。

しかし値上げは機能がupしていて、付加価値がさらに付加されるのですから、決して反対ではありません。

もっと大切なことは、会計ソフトの機能が事業主の会計処理の目的と合っていることが大前提です。中小企業あるいは小規模事業者であっても会計業務は様々な意図があります。

行おうとしている会計処理の内容が会計ソフトの機能とマッチングしていないと、ムダが発生し費用の浪費につながります。

それぞれの会計ソフトの仕様はますます複雑化して分りにくいですが、上記4社のプランには無料バージョンがありますから、まずは所定期間内に試用してみることが大事です。

会計ソフトの料金を安くする方法

単純に料金だけ安くする方法は会計ソフト提供会社の安いソフトを選ぶことです。

基本的に機能を無視して料金だけで選ぶのは感心しませんが、もっとも気になる部分ですのでいくつか抽出してみましょう。大別してクラウド型とインストール型(パッケージ型)がありますが、直接の比較はできません。

クラウド型は使用料がかかります。月あたり、年あたりで費用がかかります。使用している間はかかります。

インストール型は、料金の購入費が1回限りです。機能の追加変更のたびにオプション費用として別途に必要です。

クラウド会計ソフト会社の中ではミクロ情報サービスのフリビズbyマネトラが378円/月で断然安く、続いて弥生の670円/月、Freee1,180円/月、マネーフォワード1,280円/月と続きます。フリーウエイは3,000円/月、ネットde会計は3,600円/となっています。

パッケージ型ではBSLシステム研究所の会計らくだシリーズが12,000円で最も安く、オービックの奉行会計シリーズは86,400円です。

大きく価格が異なりますが、機能の種類が多く、使い勝手の良いソフトであれば当然高くなりますので、インストール型であっても値段だけでの比較はおすすめできません。

もう1つあります。それは各社の無料プランを徹底的に使用することです。上記4社ともに無料プランがあります。

使える機能や期限に制限はありますが、小規模の事業所から多くの従業員を抱える中小企業まで、無料プランの使用は無視できません。費用を安く抑える手法です。

弥生の無料(フリー)プラン

無料プランとうたっていながら実際は取引の登録数が20件までとかに制限され、又機能も1部制限されるサービスが多いです。弥生の白色申告オンラインは全て無料です。

確定申告に特化した個人事業主向けのクラウド会計ソフトですが、これまでは有料でしたが、現在は無料です。制限は一切なく、銀行明細、クジットカードなどの取引データ、レシートや領収書のスキャナーデータ、スマホアプリからのデータなど全て自動仕分け機能付き、各種帳簿作成から確定申告用の書類まで行います。

小規模事業所なら弥生の白色申告オンラインだけで会計業務か可能ですから、経理にかかるコストは最小に抑えられます。

出典URL:https://www.yayoi-kk.co.jp/index.html

マネーフォワードの無料プラン

パーソナルライト、パーソナル、パーソナルプラスの3コースありますが、代表的なパーソナルプランが1ヶ月無料でトライアル可能です。

マネーフォワードの会計ソフトを選択する際に、自社の会計方針や相性が合うかどうか、使ってみてから選択するかどうか決めよう、という企業に適した無料サービスです。安く会計ソフトを使うためには必要な手順ですから、ぜひ行って欲しい選択です。

出典URL:https://biz.moneyforward.com/accounting

Freeeの無料プラン

月払いと年払いがあり、年払いの方が2ヶ月分お得な料金体系になっています。個人プランのスターター、スタンダード、プレミアム、法人プランのミニマム、ベーシック、プロフェッショナル、エンタープライズの各プラン、全てに1ヶ月のお試し期間があり、全ての機能が使えますが、1ヶ月経過すると自動的に無料プランに切り替わります。

無料プランには機能制限(処理できるデータ量やサポート範囲)が入りますので注意が必要です。お試し期間以後無料プランのまま継続して使用する場合は色々な制限が入っていますから、よく確認しながら使用しましょう。

出典URL:https://www.freee.co.jp/

フリーウエイの無料プラン

永久無料をうたっている会計ソフトです。ほぼ弥生の無料プランに似た内容となっています。法人にも個人事業主用にも対応しており、データの登録数や保存期間などの制限はありません。

但し、入力に際しては、複式簿記形式となっていますので、初級の複式簿記の知識が必要です。マニュアルも充実していますから、初級レベルで十分対応ができます。会計業務の経費節約には大きな武器となります。

出典URL:https://freeway-keiri.com/

まとめ

現在はまだインストール型会計ソフトが圧倒的に多く使用されています。長年の歴史があり、特に中小企業では業務の中にしっかり組み込まれ、定着しています。

インストール型からクラウド型に移行が進んではいますが、まだ相当に時間がかかるでしょう。理由は劇的な機能の差がないからです。

弥生やフリーウエイの無料版は、会計業務の経費を安くしたい事業所には大変ありがたい会計ソフトですが、企業が成長しているにも関わらず、いつまでも使っていると安く使っているつもりが効率化が犠牲になっている場合もありますから、注意が必要です。

会計ソフトの種類は一度決めてしまうと、長期にわたって使うものですから、安さだけで会計ソフトを決めないようにしましょう。会計業務のトタールの経費削減のためにも無料プランで相性をよく確認してから決めましょう。

会計ソフトで最も売れている人気のソフトはどれか?比較分析