日本の企業の99.7%が中小企業です。国内の雇用の71%を占め、GDPの大部分は中小企業で、日本経済を支えています。

その中小企業が大企業と比べて資金調達で不利な状況におかれています。中小企業の資金調達の方法は、大部分が銀行からの融資によるものです。過度に依存している傾向にあります。そのため銀行の裁量が中小企業の経営に大きく影響する側面があります。

銀行からの資金調達方法とは、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、ノンバンク、政府系金融機関などの間接金融と言われる融資によるものです。

直接金融と言われる株式の増資や社債の発行による資金調達があるのですが、これを使用している中小企業は極めて少ないのが現状です。

第3の資金調達方法 ファクタリング

近年、注目を集めるようになった第3の資金調達方法としてファクタリングがあります。ファクタリングとは、請求書を発行した売掛債権(売掛金)をファクタリング会社に売却して、すぐに現金を確保する方法です。

現金残高がなくて支払いができない、緊急の資金が必要だが銀行の融資限度額が一杯なため借り入れができない。追加融資を断られた。入金予定にトラブル(入金のズレなど)が発生して支払いができないなど。

中小企業には様々な資金繰りに窮する場合が多く発生しています。このような状況になった時にファクタリングによる資金調達は有効です。

ファクタリングの種類

一般的に使われているのは一括ファクタリングという方法です。2者間取引と3者間取引があります。

ほとんど2者間取引で行われています。2者間とは企業とファクタリング間の取引によるもので、企業が直接ファクタリング会社に手数料を払って売却します。

3者間取引とは支払先(客先)に売掛債権を売却することを了解してもらい、売掛代金の支払いは客先からファクタリング会社に企業側を経由しないで行われる方法です。

当然売掛債権の譲渡が客先に知られることになり信用失墜の危険性がありますから事前に客先に対して十分な事情説明が必要です。(メリットは2者間取引より大幅に手数料が安くなることです)

他にも、医療報酬債権ファクタリング(医療関係のみ)、国際ファクタリング(LC 輸出債権)などがあります。

ファクタリングのメリット、デメリット

近年注目を集めているファクタリングですがメリットもあり、デメリットもあります。使用に際しては十分な認識が必要です。

メリットは、売掛債権があれば、即刻現金化できる、取引先に知られないで売掛金の売却ができる、例え取引先が倒産しても債務は発生しない、金融機関から融資を断られても使用できる、赤字になっても売却可能、などが挙げられます。

しかし一方デメリットとして、手数料が高い、審査があって誰でも使用できるわけではない、売掛債権の金額以内でしか資金調達できない、などがあります。

特に手数料が高いのが最大の特徴です。安易に使用できる資金調達の方法ではありません。

最も一般的に使われている2者間取引では手数料が15%から20%が普通です。つまり1か月後に入金の予定の売掛債権100万円を20%の手数料で売却すると80万円の入金となります。

これを金利計算すると月の利息は25%、年間にすると300%にもなります。これは通常の資金調達の方法とは言えません。売り上げによる利益を超える費用となって、折角の売上が赤字となります。

従って、あくまで緊急時に使用する資金調達方法と心得てください。中小企業の経営者にとって企業成長のためトラブル時の1つの資金調達の選択肢として知っておいてください。