2003年4月に厚生労働省によって試行雇用奨励金の制度がスタートしまして、安定した職業に就くことが難しいと考えられる方がこの制度によって雇用され易くなりました。
求人難が今後も続くと思われますから、事業主の方は当制度を積極的に使用することを期待したい、と同時に求職者の方にもこの制度の主旨を理解され、ハローワークで会社紹介、就職の機会を得ていただきたいです。
ここにトライアル雇用助成金の概要と申請方法をご説明しますので参考にしてください。(2018年7月より試行雇用奨励金はトライアル雇用助成金に名称が変更になっています)
トライアル雇用奨励金の概要
「試行雇用奨励金 職業経験、技能、知識等から就職が困難な特定の求職者層について、これらの者を一定期間試行雇用することにより、その適性や業務遂行可能性を見極め、求職者及び求人者の相互理解を促進すること等を通じて、これらの者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的として、試行雇用奨励金を支給します。」
厚生労働省試行雇用奨励金より引用
ライアル雇用奨励金(試行雇用奨励金)とは、これまで職業経験や知識、技術が十分備わっていなくて、安定した職業に就く事が難しい、と考えられる求職者の方々がおられます。
そうした方々をハローワークを通じて一定の期間、使用期間(3ヶ月)を設けて雇用した事業主が受給できる助成金です。
求職者の方と会社の間で特に雇用に問題もなくトライアル期間を終了した場合、引き続き従業員として雇用ができます。厚労省によると引き続き正規従業員として採用された方は80%にもなるようです。
試行期間を設けることにより求職者は仕事の内容や会社の環境を知ることができます。
事業主は求職者の方が会社の労働内容に適しているかどうかを見極めることができ、従って雇用のミスマッチが予防できるわけです。
トライアル雇用奨励金受給要件
トライアル雇用奨励金は求職者、事業主共に求職者としての条件、事業主としての条件にそれぞれ適していることが必要です。
求職者の要件
トライアル雇用奨励金の対象となる求職者の方は年齢や経験、労働環境などで、いくつかの条件を満たしていることが必要です。
- これまで就労したことがない分野の職業へ就労を希望する方(廃止)
- 学校卒業3年以内の方で、卒業後安定した職業に就いていない方(廃止)
- トライアル雇用開始前の2年間で2回以上離職、転職を繰り返している方
- トライアル雇用開始前に1年以上離職状態(仕事に就いていない)の方
- 妊娠や出産によって離職し、トライアル雇用開始前までの1年以上安定した職業に就いていない方
- 母子家庭の母親、父子家庭の父親、日雇い労働者、生活保護受給者、ホームレス、中国残留邦人等永住帰国者、季節労働者、住居喪失不安定就労者
- ニートやフリーター等で45才未満の方(追加)、生活困窮者(追加)
などのうちいずれかの方です。なお、平成31年4月1日からトライアル雇用制度の対象者が一部変更となりました。
変更点
- 対象者の追加:ニートやフリーター等で45才未満の方、生活困窮者
- 対象者の廃止:紹介日時点で就労経験のない職業に就くことを希望する方及び、紹介日時点で学校卒業後3年以内で卒業後安定した職業に就いていない方
事業主の要件
事業主についても以下の条件を満たしていることが必要です。
- 常用的な雇用を望んでおり、トライアル雇用について理解し希望している方。
- トライアル雇用終了後常用的な雇用に切り替えることが可能であること
- ハローワーク又は職業紹介事業者から紹介を受け雇用する
- 原則として3ヶ月のトライアル雇用ができること
- 1週間の労働時間が会社の他の労働者と同じ程度のこと
- 1週間あたりの所定労働時間が30時間(日雇い労働者、ホームレス、住居喪失不安定就労者の方は20時間)
- 一定期間解雇したことがない事業主
支給されるトライアル雇用助成金の金額
支給金額は、対象者1人あたり「月額最大4万円×3ヶ月」が支給される。
但し対象者が母(父)子家庭の場合は、「月額5万円×3ヶ月」が支給される。また求職者都合による使用期間途中での離職、退職の場合は実質の出勤日数に応じて計算され奨励金が減額されて支給される。
トライアル雇用奨励金の申請方法
求人から助成金申請までの手順は次の通りです。
- ハローワークに求人応募―所定の求人票をハローワークに提出、トライアル雇用奨励金受給対象の求人であることを伝える。
- ハローワークから(又は職業紹介事業者)から求職者の紹介をもらう
- 事業主は求職者と面接を行うー書類選考は行わない
- トライアル試行開始
- トライアル雇用実施計画書をハローワークに提出―雇い入れ日から2週間以内
- 3ヶ月のトライアル期間
- 試行期間終了―試行期間中及び試行期間終了後、試用雇用から常用雇用に切り替えができる。また常用契約に切り替え出来なくて、試行終了で採用に至らなくてもよい。
- トライアル雇用奨励金の申請―トライアル雇用結果報告書兼トライアル雇用助成金至急申請書をトライアル雇用終了から2ヶ月以内に提出のこと
- 奨励金支給―所定の金額を1ヶ月単位で支給される
⇒トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の申請様式ダウンロード
社会保険労務士に依頼
トライアル雇用奨励金の受給の一切を社労士に依頼することができます。
受給金額が小さい雇用奨励金ですから、採用人数1人か2人くらいなら、社労士に依頼しなくても、会社でできないことはないでしょう。
しかし、申請書の作成は結構煩雑ですから社労士に依頼することをおすすめします。申請人数が多ければ社労士の方が効率的です。
社労士に依頼する場合の料金は、相場的には手付金10,000円~20,000円、手数料給付金の20%~30%くらいと思われます。
各社労士事務所によって金額に幅がありますので、1度見積を取って比較されることがよいでしょう。
Web上で金額を公表している社労士事務所と手数料について参考になるサイトを下記します。
まとめ
トライアル雇用制度は3ヶ月間の期間限定であっても雇用対象者には他の従業員と同様の賃金をその会社の規定により支払いしなければなりません。当然労働基準法が適用されます。
トライアル雇用奨励金は返す必要のないお金です。人材を確保しつつ助成金によって資金調達できる大きなメリットがあります。ただ申請書類が少々面倒ですから社労士に依頼するのも1つの手です。
申請が難しい助成金制度ではありませんから積極的に申請したい制度です。