通勤手当は給与を受け取る従業員や役員が通勤に要するために会社が支出する現金です。通勤手当で節税とするテクニックがあります。通勤手当の性質とともにみていきましょう。いくらまでは課税されないのか、会社側と従業員側のどちらにもメリットがあるという通勤費について紹介いたします。

1.通勤手当はいくらまで非課税なのか?

通勤手当は電車通勤の場合は最大毎月10万円まで非課税となります。10万円を超えると所得税が課税されることになります。従業員や役員の場合は10万円までなら通勤手当は源泉所得税の計算には算入されないことになります。

2.通勤手当は社会保険料の計算の基礎となる給与の額には含まれる

通勤手当は、所得税においては10万円まで非課税であるものの、社会保険料の計算では通勤手当を込みで給与収入として厚生年金保険料や健康保険料などを計算します。ですから通勤手当の額が多い人ほど社会保険料の負担額も大きくなります。

3.通勤手当を支払った会社に与える影響は?

通勤手当を従業員や役員に支払った会社では、通勤手当の額が非課税限度額つまり10万円までなら、その額は全額損金算入できます。

4.従業員の給与から差し引かれる所得税は会社が納付する

会社が支払う従業員の給与には所得税が課税されます。負担するのは従業員ですが、そのお金を支出するのは元はといえば会社のお金です。

5.給与と通勤手当の割合で節税できるか?

従業員の給与の額が30万だったとします。通勤手当が5万だったとします。通勤手当は10万円までは源泉所得税がかからないのです。そう考えると従業員の給与の額を25万にし、残りを通勤手当に回した場合、25万だけに源泉所得税がかかるということになり、結果所得税を負担する人は少ない所得税の支払ですむということになります。

会社が35万ちゃんと支給するというものであれば、25万の給与分の所得税だけが差し引かれ、本来の30万からの源泉所得税分との差額は、従業員がもらえるということになります。また、会社の節税を考える場合は、25万に課税される源泉所得税と30万に課税される源泉所得税の差額を給与から差し引いた額を支給額と設定すれば会社が節税をしたことになります。ですがこれは不正な節税になります。

6.節税できる人は自動車通勤の人

通勤距離が片道55キロメートル以上である場合の非課税限度額は31,600円になります。このとき55キロメートル以上の通勤距離なため、毎月9万円の支給を受けている人がいたとします。90,000から31,600を引いた差額分は課税されてしまうことになります。課税されるということは、所得税をこの額について支払っているということです。電車通勤にした場合は、たとえ9万円かかったとしても非課税になります。

ですから片道55キロメートル以上である場合で自動車通勤をしており、31,600円以上の通勤手当をもらっている人は、公共交通機関での通勤に変更し、所得税を減らすことで節税になる事も考えてみてはいかがでしょうか?従業員はともかく、個人事業主である場合に、役員などが遠い所から通う場合などは、会社の節税のためにも協力してもらうという事も出来るかもしれません。

7.新幹線のグリーン車を使う場合も節税ができる

新幹線のグリーン車を使って通勤している人などは、毎月かかる通勤手当の全額が課税されています。ですから通勤手当として毎月同じコストがかかる場合はグリーン車通勤でない新幹線通勤に切り替えてもらえば、通勤手当が10万円までは非課税となります。

8.パートやアルバイトも非課税限度額は適用される

パートやアルバイトなので給与支給額に通勤費が含まれている場合は、所得税が課税されています。通勤手当として区分して計上すれば給与そのものにかかる所得税は節税されることになります。

いかがでしょうか?通勤手当の限度額までは非課税なのでぜひ所得税の節税のために見直してみるというのはいかがでしょうか?

https://www.nta.go.jp/gensen/tsukin/