相続税対策は早く始めないと後で後悔します!

相続税や贈与税は重税です。しかし様々な節税対策があるため、課税を免れる人も多いのも特徴です。またもう1つの特徴として生前に行うと節税になる対策もたくさんあります。

財産のある人はなるべく早くから対策を施すことによって大きな節税を行う事ができます。

早くから始めることによって節税効果の高い対策を中心に紹介いたします。

1.そもそも相続税って何?

財産を多く所有している人は、なるべく早く財産の正味の資産額(遺産額)を掴んでおく必要があります。その資産額(遺産額)に応じて、相続税額の算出が可能です。

その前に、相続税がかる財産には基礎控除額があり、正味の遺産額が基礎控除額以下である場合は相続税がかからないのです。

この基礎控除額を超える財産を所有していると、超えている部分の額に対して課税されます。これが相続税です。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

妻と子2人の場合では、法定相続人が3人となりますので上記の式で計算すると、基礎控除額は4,800万円となります4,800万円を超える部分の遺産額に対して相続税が課税されます。

幸か不幸かは分りませんが、この4,800万円を超えて相続税を実際に納付する人は多くはありません。

2.相続税の計算

正味の遺産額から基礎控除額を引いたものが課税遺産額となります。この課税遺産額は法定相続人分で按分されます。そして妻、子のそれぞれの課税遺産額が決まります。そして鞍分された課税遺産額に対して相続税がかります。

相続税は課税遺産額の金額に応じて税率が異なります。又これにはさらに金額に応じた控除額が設定されています。

例えば、相続税の速算表で見ますと

課税価格1,000万円以下の場合、税率は10%で控除額は0です。
課税価格1,000万円を超え3,000万円まで、税率は15%で控除額が50万円あります。
課税価格3,000万円を超え5,000万円まで、税率は20%で控除額が200万円あります。
課税価格5,000万円を超え1億円まで、税率30%で控除額が700万円となっています。

高額なほど税率が高くなっています。

但し、配偶者は特別な税額控除があり、1億6,000万円までは税額軽減があり、これ以内であれば相続税はかかりません。

因みに、相続財産とは、現金預金、株式、土地(特例適用後)、建物、生命保険金(非課税限度額を超えた分)、死亡退職金(非課税限度額を超えた分)などで、借入金や葬儀費用は減額計算ができます。

3.早く始めなければならない相続税対策

① 生前贈与

子供や孫に行う贈与です。1度に多額の贈与を行うと贈与税の負担が高額となります。年間110万円の非課税が設定されていますので、これを長期間にわたって毎年この限度額以内で贈与していく方法です。

子供や孫が3人おれば、それぞれに毎年110万円、計330万円が節税となり、10年続ければ3,300万円が無税で贈与できます。早く始めればそれだけ節税額が大きくなります。

しかし計画的贈与と税務署に思われないようにテクニックが必要です。ある時は100万円であったり、ある年は120万円(少しの税金は払う)であったり、同じ金額ではない方がよいようです。

なお、相続開始3年以内は贈与とみなされ課税されますから、注意が必要です。早い方がいいのはこのためです。

② 教育資金の贈与

平成25年4月から適用となりました。祖父母からの教育資金の一括贈与にかかる贈与税が非課税となりました。子供1人につき1,500万円まで、30歳になるまで適用されます。

使い切れなかった分、残額は課税されます。110万円の基礎控除との併用は可能です。対象となる教育費とは、学校の教育費と言われる入学金、授業料、教材費、制服費、寮費などで学校に直接支払う費用です。

非課税額1,500万円の内、学校以外の販売店や塾、習い事の費用などは非課税限度額が500万円です。

手続き方法は、最寄りの金融機関で特別口座を作ってもらい、その口座に教育資金を振り込みます。出金管理は金融機関が行います。詳細は金融機関に問合せください。

早くから計画的に金融機関と相談しておくとスムースに対応できます。

③ 生命保険

生命保険の契約をして保険料の支払いを行う。保険料は、被保険者の年齢と健康状態によって決まりますので、年齢が高くなると医療事故の発生率が高まり保険料も高くなります。

健康状態によっては加入できない場合もあります。若い時から生命保険に加入すれば保険料も安く、加入期間が長ければ、受け取れる保険金も高額となります。早くから始めた方がよい代表的な対策です。保険料は全額課税されません。被保険者が亡くなられた時、すぐに保険金がおりますから、遺族の当座の生活資金や相続税の納付資金となります。

事前におおよその相続税額を算出して、それに応じた保険の加入が必要です。加入年数も計算しておくことです。但し生命保険はみなし相続税と呼ばれ上限額があり、500万円×法定相続人の数です。

参考:生命保険を活用して相続税対策をする方法をわかりやすくまとめました。

④ 死亡退職金

生命保険と同様でみなし相続税の1種です。課税方法は生命保険と同じで、500万円×法定相続人の数が限度額となります。

⑤ 土地の有効使用

賃貸マンションやアパートを建築すると、土地の相続税評価額が下がり、建物の評価差額を使用して相続税に節税に繋がります。土地にマンションやアパートが建っている、いないでは80%もの評価が違ってきます。

また金融機関からの借入によりマンション、アパートを建てれば返済資金には課税されません。また不動産会社に信託する方法もあります。いずれにしても早くから計画的に行わないと実現は難しい方法です。

⑥ 養子縁組

相続人を増やして税率区分を下げる方法です。相続人を1人増やせば1人当たりの基礎控除額が600万円追加されます。但し相続税法では実子がいる場合は1人までです。実子がいない場合は2人までで、1,200万円の基礎控除額となります。

但しこの方法は法定相続人が増えると遺産分割の局面でもめる原因となります。あまりおすすめできる方法ではありませんが、遺言書は必ず作っておきましょう。

参考:孫を養子にすると節税に!?養子縁組を利用した相続税対策まとめ

⑦ 小規模宅地の特例

小規模宅地の特例とは、事業用や居住用の宅地等の価格の特例のことで相続税対策の1つです。被相続人(相続財産を遺して亡くなった人)と同一生計親族の事業用又は居住用になっていた宅地であること。建物の敷地になっていること。の2つの条件を満たしていることが条件ですが、一定の面積までの土地について評価額を減額できるという制度です。計算方法が複雑ですが、大体50から80%の評価減が可能です。但し330㎡までです。この特例によって適用を受けると相続税が0になった人も多いようです。

この特例を受けるためには、相続税が0であっても相続税の申告が必要です。申告書及び減額金額の計算に関する明細書、遺言書の写し、財産分割協議に関する書類の写し、住民票の写しなどが必要です。

④その他の節税対策

④-1、遺言控除:遺産分割をめぐる裁判所の調停件数(相続人同士の紛争)が毎年増加しているため、遺言書の作成をより促進させることを目的として平成30年までには制度の導入がされる予定です。

現行法の基礎控除額3,000万円+600万円×法定相続人に数百万円上乗せする案になりそうです。

④-2、お墓や仏壇の生前購入:お墓、仏壇は祭し財産といいます。お墓や仏壇は相続財産ではありません。非課税財産です。従って生前にお墓や仏壇を購入しても相続財産とはなりません。無税です。生前に購入することをおすすめします。

④-3、葬式費用は控除できます:葬式費用とは、お通夜、告別式にかかった費用で、斎場使用料、お通夜の飲食費、御棺代、火葬、埋葬費用、お布施、戒名料、など。

含まれない費用は、香典返しの費用、お墓の購入費、仏具代、初七日、法事にからむ費用などです。

まとめ

相続税対策は、ある程度以上の財産がある人は頭の痛い問題です。なるべく相続税は少なく、なるべく多くの資産を妻や子供たちに残していきたい。誰もが考えることです。

しかし、上記のように非常に多くの節税対策があり、それぞれが簡単ではありません。かなり前から計画し、準備していく必要のある制度ばかりです。見てお分かりのようにほとんどが生前贈与の形をとった相続税節税対策です。

政府もこうした生前対策を積極的に応援しているわけです。それでも、遺産分割協議がもめる場合が多く、裁判所の調停件数も増加しています。

生前贈与と合わせて、遺言書の作成を政府も推奨しています。遺言書さえあれば、この分割協議の紛争もかなり減少すると思われています。やがて遺言控除の制度も使えるようになるでしょう。相続税の節税対策はなるべく早く準備に入る事が最も重要な対策です。

本格的な相続税対策は相続税専門の税理士に相談を

相続税対策は上記で紹介した通り、生前贈与や生命保険を活用した方法、土地を所有している場合の節税テクニック等、様々な節税方法があります。

生前贈与一つにしても法的に有効な方法で実施しなければ生前贈与として認められない場合もありますので、本格的に相続税対策をしたいのであれば、相続税専門の税理士に相談することをお勧めします。

相続税専門の税理士は税理士ドットコムに無料で紹介してもらうことができます。

他の税理士紹介サイトの場合は相続税に特化していない場合もありますので、相続税対策なら税理士ドットコムをご利用ください。