法人化してお金を借り入れたとします。この後事業がうまくいかなくて倒産したとします。このとき社長という個人や出資者の株主の資産にはどんな影響があるのでしょうか?個人が法人になるときの法人の種類とともに、法人が倒産した場合の個人の資産がどうなるのかについてみていきましょう。

1.株式会社の場合

株式会社は有限責任です。ですから出資者は、もし会社が倒産しても、投資した株式の範囲内での責任となります。

つまり法人が倒産したら投資した金額のすべてを会社の倒産の返済にあてるだけで、個人の資産には何ら影響がないということになります。議決権は出資した金額に比例して大きくなります。ですから大金持ちの素人に会社の意思決定権があるという会社にとっては危ないことも起こりえます。そのために会社の経営者がたくさん出資すればいいということになります。

2.合名会社の場合

株式会社以外の法人を持分会社といいます。持分会社では出資者のことを社員とよびます。従業員のことではありません。合名会社で出資した社員は全員が無限責任となります。会社が倒産したとします。出資者として出資していた金額が0円になっても、さらに自己の資産のすべてを会社の倒産による返済に充てないといけないということになります。

ですから一般の出資者は無限責任である合名会社の出資者にはなりにくいと言われています。その結果、会社は資本を集めにくいということになります。

3.合資会社の場合

合資会社は有限責任社員と無限責任社員がいる会社のことです。ここで有限責任社員についてなのですが、出資をした有限責任社員は間接有限責任社員と呼ばれて、会社が倒産した場合は出資額を限度額として会社の倒産にかかわる債務の返済にあてられます。

ですが、出資をしていない場合の有限責任社員は直接有限責任社員といい、会社が倒産したら出資額はもともと0円になるので、自己の資産を会社の倒産のための返済にあてるとされています。

そして無限責任社員は最初の出資をしようがしまいが、会社が倒産したのなら、自己の資産を会社の倒産のための債務返済にあてるとされています。合資会社で有限責任社員が0人となった場合は、合名会社に変更がなされることになります。

4.合同会社の場合

合同会社は有限責任社員のみで構成されています。ですから出資した社員は自分の出資額を超える会社の倒産による債務の返済に自己の資産を充てる必要はありません。

営利目的の法人のうち株式会社以外の会社を持分会社といい、合同会社、合資会社、合名会社の3つがありますが、合同会社はベンチャー企業には都合のよい会社のシステムであるといえます。

なぜなら議決権は株式会社の場合は出資額が多いほど大きくなるのに対して、持分会社の場合は出資の額にかかわらず、出資をしたということになれば、額の大小にかかわらず同じ議決権1つをもつことができるからです。

資金の少ないベンチャー企業が会社を立ち上げる場合に、出資を沢山してくれる出資者がいたとします。株式会社なら当然この出資者が意思決定権をもつことになりますが、合同会社なら少額しか出資していない経営者も同じ議決権を保有することができるからです。

5.会社の経営者はそうはいかない

会社の経営者である場合は、会社が融資をうけるときに連帯保証人になっている場合がほとんどです。ですからこの場合会社が倒産すると経営者は自己の資産も会社の倒産のための債務の返済にあてないといけません。

会社の経営者が連帯保証人にならなくても、銀行が融資してくれるには、様々な条件があるようです。

まとめ

会社が倒産してしまうと、経営者は借入の際の連帯保証人になっている場合は、個人の資産にも影響がでてくることになります。ですが出資者については、株式会社、合同会社、合資会社の一部の間接有限社員については会社が倒産した場合は自己が出資した額の範囲内で会社の倒産の返済額に充てるということになり、個人の資産には影響はないようです。